厚生年金の加入期間が10年未満……。年金は受給できる?
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月27日 23時0分
![厚生年金の加入期間が10年未満……。年金は受給できる?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_114535_0-small.jpg)
老齢年金を受け取るためには、原則として受給資格期間の合計が10年以上必要です。以前は25年でしたが、無年金となる人を減らすため平成29年8月から10年とされました。 厚生年金は加入期間が1ヶ月でも受給できますが、国民年金の受給資格期間を満たしていない場合には受給できません。 短大卒業後の8年間、地元の会社で勤めた後に28歳で結婚して専業主婦になったAさんは、老齢年金の受け取りはできるのでしょうか。
受給資格期間は10年
日本は「国民皆年金」です。原則として20歳から60歳になるまで、国民年金、厚生年金のどちらかに加入しなければなりません。厚生年金の加入者は国民年金と厚生年金の両方に加入しているのです。
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2021/08/75e53d4448e1e2458319d198b7c42715-26.jpg)
※筆者作成
老齢基礎年金(国民年金)を受給するためには、「保険料納付期間」「保険料免除期間」「カラ期間(受給資格期間には入るが年金額には反映されない期間)」の合計が10年(120月)以上あることが必要です。
受け取れる年金(令和3年度)は、以下の計算になります。
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2021/08/b21aa6e7a5229bdbdbdb6524b66d20f0-19.jpg)
※筆者作成
受給できるといっても、国民年金の加入可能期間である40年間(480月)全ての期間で保険料を納付した場合の年額(満額の78万900円)と比べ、保険料納付済期間が10年の場合では19万5225円と少額です。
上記は、老齢基礎年金の受給資格期間(保険料納付済期間)を基にした例ですが、老齢厚生年金の受給要件は以下のとおりです。
・65歳以上
・老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていること
・1ヶ月以上の厚生年金保険の被保険者期間があること
※昭和36年4月1日以前生まれの男性・昭和41年4月1日以前生まれの女性には、65歳以前に受け取れる特別支給の老齢厚生年金があります。
このように、厚生年金保険の加入期間は短くてもよいのですが、基礎年金の受給資格期間である10年を満たしていないと厚生年金も受け取ることができません。先ほどのAさんの場合は、退職後の国民年金の加入状況によって厚生年金の受け取りの可否が判断されます。
会社員の期間(8年間)は厚生年金に加入していますので、国民年金保険料も納付済みとなります。退職後に2年以上、国民年金に加入していれば、基礎年金の受給資格期間10年を満たし、老齢厚生年金の報酬比例部分まで受け取れるのです。
国民年金の手続き
国民年金の種別変更の例
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2021/08/476be8e45b7adbf739e617808e27fe26-7.jpg)
※筆者作成
国民皆年金ですから、年金の手続きを漏れなくすれば、20歳から60歳になるまでの40年間国民年金に加入します。注意すべきは、自分でしなくてはならない市区町村役場でする手続きです。手続きをせずに保険料を納付しないままにしておくと、未加入となってしまいます。
Aさんの夫が自営業者で、退職後に第2号から第1号への変更をせず、未加入のままとなっていた場合、受給資格期間に足りないので年金を受け取ることができません。
一方、Aさんの夫が会社員で、退職から60歳になるまで3号被保険者となっていた場合には、その期間は国民年金の納付月数になります。
例えば、Aさんが昭和21年4月2日以降生まれで、退職したのが平成15年3月以前、在職中の平均報酬月額20万円とした場合、老齢厚生年金の報酬比例部分は以下の金額となります。
20万円×7.25/1000×96月(8年)=13万9200円
この場合、Aさんは老齢基礎年金(満額79万900円)に、上記の老齢厚生年金の報酬比例部分を合わせて受け取ることができます。
日本の年金は2階建てといわれます。1階部分が国民年金で、2階部分が厚生年金です。1階が無ければ、2階は存在できません。
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士
この記事に関連するニュース
-
将来は年金を「月20万円」受け取りたいです。大卒の“初任給”くらいあれば老後も暮らしていけると思うのですが、無謀ですか?「年収350万円」ですが、転職で年収を上げるべきでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月26日 5時40分
-
夫の遺族年金は「月5万円」。ただし妻が40歳以上だと、さらに「5万円」追加される?“中高齢寡婦加算”について解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月17日 4時30分
-
定年後は最低でも「月15万円」の年金がほしいです。40歳で「年収300万円」ですが、それだけ受け取るために収入をいくら増やす必要がありますか? 今後も独身の予定です
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月4日 4時40分
-
現役時代の年収は「600万円」でした。老後は「時給1200円・1日5時間・週3日」働く予定ですが、年金額は増えるでしょうか? 少しでも暮らしが楽になればと思います
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月4日 4時30分
-
40歳の専業主婦。子どもが「大学」を卒業するまで、15年ほど「年収200万円」の仕事をする予定です。将来の年金額はどのくらい増えますか? 手取りは減ってしまうでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月2日 4時30分
ランキング
-
1「身代金」「初動対応」、"KADOKAWA事件"の教訓 凄腕ホワイトハッカーが語る日本企業への警告
東洋経済オンライン / 2024年7月31日 8時0分
-
2【速報】日銀が追加利上げを決定 政策金利0.25%程度に 長期国債買い入れは26年1~3月に月間3兆円程度に
日テレNEWS NNN / 2024年7月31日 13時12分
-
3「キャンプブーム」は終わった アウトドア業界はどの市場に“種”をまけばいいのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月31日 7時30分
-
4海外の優秀なエンジニアが日本企業を選ばない訳 人気が落ちている要因は「企業の体質」にあった
東洋経済オンライン / 2024年7月30日 16時0分
-
5部屋に泥棒がいる!〈高級老人ホーム〉で優雅に暮らす86歳母からのSOS…急ぎ駆けつけた51歳長男の目に飛び込んできた「まさかの光景」【FPの助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月30日 11時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)