毎月いくら年金をもらえたら仕事を辞める? 年金受給額と就業の関係は?
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月28日 23時0分
![毎月いくら年金をもらえたら仕事を辞める? 年金受給額と就業の関係は?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_114701_0-small.jpg)
老後も生きがいや収入面のゆとりのために仕事を続けたいと考える方もいれば、年金で生活費を賄えるなら仕事は辞めて、悠々自適に生活したいと考える方もいるでしょう。 老後の生活費は希望する生活水準などによって異なるため、年金がいくらあれば仕事を辞めても問題ないか、一概にはいえません。 この記事では、老齢に必要なおおよその生活費の金額と、働きながら年金をもらう場合に知っておきたい制度について解説します。ぜひ両方を参考に、老後の資金計画や働き方を具体的に想像してみてください。
老後の生活費はいくらくらいかかる?
総務省「2020年家計調査年報(家計収支編)」によると、世帯主が60歳以上、世帯人員2人以上の無職世帯では、1ヶ月の平均支出額は26万5890円です。
この結果をもとにするなら、年金収入と貯蓄などを合わせて毎月27万円程度の支出を負担し続けられる目算があれば、仕事を辞めても平均的な生活が送れると考えてよいでしょう。
一方で、公益財団法人 生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」では、夫婦2人でゆとりのある老後生活を送るのに必要と考える金額は平均で月額36.1万円という結果が出ています。
趣味やレジャー、孫への援助などにお金をかけるゆとりのある生活をしたい場合は、さらに9万円から10万円程度を加算した支出を見越して、老後の資金計画を立てる必要があるといえそうです。
さらに、住宅の補修や家財の買い換えなど突発的に大きな出費があることも考えられます。そのため、老後にかかる生活費には十分なゆとりをみて、生涯にかかる費用を試算するとよいでしょう。
働きながらの年金受給は「在職老齢年金制度」に注意
年金を受給しながら仕事も継続する場合は、「在職老齢年金制度」に注意する必要があります。
《在職老齢年金制度》
70歳未満の人が就職して厚生年金被保険者になった場合に、老齢厚生年金と給与および賞与との合計金額(総報酬月額相当額)に応じて、年金支給が制限または停止される制度です。
総報酬月額相当額が年金支給の制限や停止の基準を超える場合、退職したり報酬が基準内に収まるように調整したりするほうが、その時点でもらえる年金の支給月額は多くなります。
しかし、退職や報酬の調整をすると、給与と年金を合わせた総収入額は減少することに注意が必要です。また、働き続ければ、厚生年金の加入期間が延びるぶん、退職後の年金受給額が増えることも見逃せません。
さらに2022年4月には「在職定時改定」の制度が新設されます。
《在職定時改定》
65歳以上の在職者の厚生年金保険料が、毎年10月の改定時に年金額に反映される制度です。
従来は65歳以上の在職者であっても退職などで厚生年金被保険者の資格を喪失するまで、年金額は改定されませんでした。しかし、在職定時改定制度によって、継続して働く効果が早期に年金額に反映されることになります。
安易に退職などを選択せず、在職老齢年金制度による年金の支給額減と、継続して働くことで増える将来的な年金支給額とを比較して考えることが大切です。
以下の、年齢別の在職老齢年金の計算方法も参考にしてください。
60~65歳未満の場合
在職老齢年金制度を適用した場合の年金支給月額の計算式は、次の5パターンです(金額は令和3年8月時点)。
a…総報酬月額相当額(当該月の標準報酬月額)+(以前1年間の標準賞与額の合計)÷12)
b…基本月額(加給年金額を除く特別支給の老齢厚生(退職共済)年金の月額)
(1)aとbの合計が28万円以下※2022年4月以降は47万円以下に緩和⇒全額支給
(2)aが47万円以下でbが28万円以下⇒b-(a+b-28万円)÷2
(3)aが47万円以下でbが28万円超⇒b-a÷2
(4)aが47万円超でbが28万円以下⇒b-{(47万円+b-28万円)÷2+(a-47万円)}
(5)aが47万円超でbが28万円超⇒b-{47万円÷2+(a-47万円)}
65歳以上の場合
在職老齢年金制度を適用した場合の年金支給月額の計算式は、次の2パターンです(金額は令和3年8月時点)
a…総報酬月額相当額
b…基本月額
(1)aとbの合計が47万円以下⇒全額支給
(2)aとbの合計が47万円超⇒b-(a+b-47万円)÷2
必要なお金と年金受給額を比較して働き方を考えましょう
年金をいくらもらえれば仕事をやめると判断できるかは、老後にどのような生活を送りたいか、貯蓄や退職金など年金以外の資金がどのくらいあるかによって異なります。
老後に必用な費用を試算し、働く場合と辞めた場合の年金の月額や賃金・賞与、働き続けることで増える将来の年金額などを比較して、働き方を考えることが大切です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
退職後は、すぐに老齢厚生年金を全額受給できるのでしょうか?
オールアバウト / 2024年7月28日 11時30分
-
在職老齢年金の合計金額50万円の対象となる総報酬月額相当額の算出時期を教えてください
オールアバウト / 2024年7月23日 8時10分
-
老後に年金を受け取りながら働くと「在職老齢年金」という扱いで年金が減ると聞きました。月いくらまでに抑えればいいのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月20日 8時40分
-
定年後も「月収20万円」で働く予定ですが、収入があると「年金が減る」ってホントですか? 老後は働くだけ「損」なのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月19日 2時20分
-
母は70歳まで働き続けるようなのですが「収入をいくらにおさめよう」と悩んでいました。稼ぎすぎると何かあるのですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月4日 2時10分
ランキング
-
1「身代金」「初動対応」、"KADOKAWA事件"の教訓 凄腕ホワイトハッカーが語る日本企業への警告
東洋経済オンライン / 2024年7月31日 8時0分
-
2【速報】日銀が追加利上げを決定 政策金利0.25%程度に 長期国債買い入れは26年1~3月に月間3兆円程度に
日テレNEWS NNN / 2024年7月31日 13時12分
-
3「キャンプブーム」は終わった アウトドア業界はどの市場に“種”をまけばいいのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月31日 7時30分
-
4海外の優秀なエンジニアが日本企業を選ばない訳 人気が落ちている要因は「企業の体質」にあった
東洋経済オンライン / 2024年7月30日 16時0分
-
5部屋に泥棒がいる!〈高級老人ホーム〉で優雅に暮らす86歳母からのSOS…急ぎ駆けつけた51歳長男の目に飛び込んできた「まさかの光景」【FPの助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月30日 11時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)