突然、給料が下がった……。そんな場合厚生年金保険料はどうなる?
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月30日 3時10分
![突然、給料が下がった……。そんな場合厚生年金保険料はどうなる?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_114776_0-small.jpg)
不景気や降格により給料が下がった方の中で「給料が下がっても毎月の厚生年金保険料は同じなのか知りたい」と思っている方は多いのではないでしょうか。 結論からいえば、給料が下がると厚生年金保険料も少なくなる可能性があります。ただし、給料の変動幅など条件を満たしていないと、厚生年金保険料に影響はありません。 ここでは、厚生年金保険料の決まり方や保険料変更の条件などについて解説します。
収入増減があると厚生年金保険料は変わる
給料などの収入に増減があると、厚生年金保険料が変わる可能性があります。厚生年金保険料は、給与をもとにした標準報酬月額に一定の保険料率を掛けて計算するからです。そのため、収入が減ると標準報酬月額が下がり、厚生年金保険料が少なくなる場合があります。
ここでは、厚生年金保険料が変わる仕組みや条件について見ていきましょう。
厚生年金保険料の決まり方
厚生年金保険料は、標準報酬月額または標準賞与額に保険料率を掛けて算出され、事業主と被保険者で半分ずつ負担します。標準報酬月額は給与を厚生年金保険料額表の報酬月額区分に当てはめ決定したもので、標準賞与額は税引き前賞与額から1000円未満の端数を切り捨てたものです(150万円/1回が上限)。
これまで保険料率は段階的に引き上げられてきましたが、2017年9月以降は18.3%(9.15%ずつ)で固定されています。
厚生年金保険料が決まるのは、原則年1回です。4月〜6月の3ヶ月間の給与をもとに標準報酬月額が決まり、9月から翌年8月までの厚生年金保険料が決定します。
このように、毎年1回標準報酬月額を見直すことを定時決定といいます。
ただし、大幅な収入増減があった場合は、年度の途中でも例外的に厚生年金手数料を見直すことが可能です。定時決定を待たずに標準報酬月額を改定することを随時改定といいます。
給料が下がった場合は、随時改定により厚生年金保険料が下がる可能性があります。
随時改定の条件
年度の途中で標準報酬月額を改定する随時改定は、次の3つの条件をすべて満たす必要があります。
●昇給・降給などで固定的賃金に変動があった
●変動月から3ヶ月の間に支給された報酬の標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額に2等級以上の差がある
●3ヶ月間とも支払基礎日数が17日以上ある
これらの条件をすべて満たす場合に随時改定が可能です。
厚生年金保険料の減少ケース
随時改定による厚生年金保険料の減少ケースには、次のようなものがあります。
●降格など給与形態の変化で給料が減った
●歩合給の単価が変動して収入が減った
●会社の経営が傾き給与がカットされた
一方、随時改定の対象にならないケースには、次のようなものがあります。
●固定的賃金が変動したが標準報酬月額に2等級以上の差がなかった
●変動したのは一時的な手当など非固定的賃金だった
●標準報酬月額は2等級以上下がったが支払基礎日数が17日未満だった
随時改定は3つの条件をすべて満たす必要があります。条件を満たしていない場合は、随時改定の対象にはなりません。
厚生年金保険料が変わると将来の年金額にも影響する
標準報酬月額が下がり厚生年金保険料が少なくなると、将来受け取る年金額に影響する場合があります。厚生年金の年金額は「定額部分+報酬比例部分+加給年金額」で算出されるためです。
「報酬比例部分」は給与の平均額(標準報酬)によって変わります。よって「厚生年金保険料が少なくなる=収入が減る」と、将来受け取る年金額が減る可能性があります。
随時改定の対象になったら速やかに月額変更届を提出しよう!
給料が下がり標準報酬月額が随時改定の条件を満たせば、年度途中でも厚生年金保険料は下がります。しかし、随時改定の条件を1つでも満たしていない場合は給料が下がっても、厚生年金保険料は変わりません。
随時改定の対象になる場合は、事業主が「被保険者報酬月額変更届 厚生年金保険70歳以上被用者月額変更届」を記入して日本年金機構へ提出する必要があります。
給料が下がった場合は、随時改定に該当するか確認し、該当する場合は速やかに担当部署に連絡して月額変更届を提出してもらいましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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