厚生年金に加入していた夫が死んだら遺族年金はいくらもらえる? 手続きはどうする?
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月30日 10時30分
厚生年金保険に加入していた会社員の夫が死んだら、妻と子どもたちだけで暮らしていけるのか不安でしょう。夫が亡くなった場合に受け取れる遺族年金は、いったいくらなのでしょうか。 今回は、厚生年金保険に加入していた夫が亡くなった場合に受給できる遺族年金額と手続きについて解説します。公的年金制度でもらえる額を計算してみましょう。
夫が亡くなったときにもらえる遺族年金とは
公的年金制度で受給できる年金には、老齢年金、遺族年金、障害年金があります。老齢年金は老後に受け取る年金で、障害年金は病気やけがで仕事や生活が困難になったとき一定の要件を満たすことで受け取れる年金です。
遺族年金は被保険者が亡くなった場合、生計を維持されていた遺族が受け取れます。遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、厚生年金保険に加入していた夫が亡くなった場合は両方が支給対象です。
遺族年金の詳細と受け取るための手続き方法をご紹介します。
遺族年金は2種類
遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。自営業者や学生などが加入する国民年金では遺族基礎年金のみ受給対象ですが、会社員・公務員などが加入する厚生年金保険では両方とも対象です。
遺族基礎年金は、子のある配偶者または子が受け取れます。子は高校卒業までの未婚の子ども、または障害等級1・2級の20歳未満の子どもです。そのため、高校を卒業している子どもがいる方や子どもがいない方は受給できません。
しかし、遺族厚生年金では子どもの有無は問われません。
年金を受け取るための手続き方法
遺族基礎年金のみを受け取る場合は、お住まいの市区町村役場の窓口で手続きをします。年金請求書と年金手帳、戸籍謄本、世帯全員の住民票の写し、死亡者の住民票の除票、請求者や子の収入が確認できる書類、死亡診断書のコピー、受取先金融機関の通帳などが必要です。
遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受け取る場合は、遺族基礎年金と同様の書類をそろえて、お住まいの年金事務所に提出します。
遺族基礎年金の受給要件と受給額
遺族基礎年金は、亡くなった方によって生計を維持されていた子のある配偶者または子が受給できます。
生計維持の条件は同居していることですが、別居していても仕送りをしている、健康保険の扶養親族になっている場合は対象です。受給要件が厳密に決められているので、詳しく解説します。
また、受給額は子の人数によって異なります。子の人数が多いほど受給額が上がるため、試算してみましょう。
遺族基礎年金の受給要件
遺族基礎年金の受給要件は、被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある方が亡くなった場合です。ただし、死亡日の前日時点で、保険料免除期間を含めた保険料納付済期間が加入期間の3分の2以上ないといけません。
受給できる方は、死亡者によって生計を維持されていた子のある配偶者または子です。
子とは、以下の状態の子どもを指します。
●18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
●障害年金の障害等級1級または2級の20歳未満の子
子どもがいても上記の条件に該当しない場合は受け取れません。
遺族基礎年金の受給額
遺族基礎年金の受給額は「78万900円+子の加算」(令和3年4月分から)で計算します。子の加算は、第1子・第2子がそれぞれ22万4700円、第3子以降は各7万4900円です。
例えば、子ども1人の家庭なら、78万900円+22万4700円=年額100万5600円受け取れます。
子ども2人の家庭なら78万900円+(22万4700円×2)=年額123万300円、子ども3人の家庭なら78万900円+{(22万4700円×2)+7万4900円}=年額130万5200円です。
遺族基礎年金は子どもが18歳になる年度末まで受け取れます。
遺族厚生年金の受給要件と受給額
遺族厚生年金は、遺族基礎年金と違って子どもがいない場合も受給可能です。受給額は、死亡者の標準報酬月額や厚生年金保険の加入期間によって異なるため、個々人で変わります。
また、高校を卒業した子どもがいる妻、子どものいない妻は中高齢寡婦加算によって支給額が加算されます。
ここでは、遺族厚生年金の受給要件と受給額を見ていきましょう。受給額については平均額をご紹介します。
遺族厚生年金の受給要件
遺族厚生年金の受給要件は以下の通りです。
●被保険者が死亡、または被保険者期間中の病気やケガが原因で初診日から5年以内に亡くなったとき(遺族基礎年金と同じく、死亡日の前日時点で、保険料免除期間を含めた保険料納付済期間が国民年金加入期間の3分の2以上であること)
●老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある方が亡くなったとき
●1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる方が亡くなったとき
受給できる方は、死亡者に生計を維持されていた以下の方です。
●妻
●子や孫
●55歳以上の夫、父母、祖父母
子のない30歳未満の妻は、5年間だけの給付となります。子や孫は、18歳到達年度の年度末を経過していない方、または障害年金の障害等級が1・2級の20歳未満の方です。
55歳以上の夫、父母、祖父母については、60歳から支給開始となります。ただし夫は、遺族基礎年金を受給している期間、遺族厚生年金も併せて受給可能です。
遺族厚生年金の受給額
遺族厚生年金は、標準報酬月額や厚生年金保険の加入月数などによって計算され、実際に支給される金額は「老齢厚生年金の報酬比例部分×3/4」です。
受給額は死亡者の収入や被保険者期間によって異なりますが、厚生労働省年金局「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、遺族厚生年金の受給者平均月額は8万3285円でした。年間では99万9420円です。
さらに次の条件を満たす妻は、中高齢寡婦加算として40歳から65歳までの間、年額58万5700円が支給されます。
●夫死亡時に40歳以上65歳未満で、同一生計の子がいない(子とは、18歳到達年度の末日を経過していない、または障害等級1・2級の20歳未満の子)
●遺族厚生年金と遺族基礎年金を受け取っていたが、子が18歳到達年度の末日に達し(障害の状態にある子は20歳)、遺族基礎年金を受け取れなくなった
遺族年金額を計算してもしものときに備えよう
厚生年金保険に加入していた夫が死んだら、妻や子は遺族年金を受け取れます。遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、受給要件や受給額が異なります。
一度、受け取れる遺族年金額を計算してみると良いでしょう。そのうえで、足りない額はしっかりと貯金したり、生命保険などで備えたりするのがおすすめです。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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