親や祖父母から住宅購入資金の贈与を受ける場合に覚えておきたいこと
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月30日 9時10分
「そろそろマイホームを!」と考えたときに、両親や祖父母から資金援助を受けるケースもあると思います。その場合の資金援助は、原則、生前贈与として贈与税の課税対象となります。 そこでよく知られているのが「直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税制度」(以下、「住宅取得等資金の非課税制度」)です。また、一定金額まで贈与税が非課税となる「相続時精算課税制度」があります。 ここでは、直系尊属から住宅資金援助を受ける場合の現行法令での特例措置について、あらためて確認してみたいと思います。
相続時精算課税制度の特例
前述のとおり、住宅取得資金などの贈与に関する特例措置には、大別すると「住宅取得等資金の非課税制度」と「相続時精算課税制度」があり、さらには両者を併用することで、より大きな非課税枠を適用することもできます。
また、相続時精算課税制度には、2021年(令和3年)12月31日までに住宅取得資金の贈与を受ける場合の特例が設けられています。
通常の相続時精算課税制度と特例との主な違いは、贈与者(直系尊属)の年齢要件であり、通常の制度では贈与のあった年の1月1日時点で60歳以上となっているのに対して、特例では贈与者の年齢制限なしに直系尊属からの贈与について適用できます。
つまり、2021年12月末までに利用できる特例措置は、以下の3種類とその組み合わせとなります。
(1)住宅取得等資金の非課税制度
(2)相続時精算課税制度
(3)住宅取得等資金の相続時精算課税の特例
(1)住宅取得等資金の非課税制度
両親や祖父母から住宅取得資金の援助を受ける場合の特例措置として、最も知られている制度ではないでしょうか。
適用する場合の1つ目のポイントして、住宅の取得に関する契約締結期間の違いによって非課税の限度額が以下のように定められています。
※国税庁 「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」を基に筆者作成
さらに、消費税が10%の場合と、それ以外の場合で限度額が違います。それ以外の場合とは、例えば個人間による中古住宅などの売買など、消費税が課税されないケースが該当します。また、省エネや耐震性の要件を満たす住宅については限度額が増加します。
2つ目のポイントは年齢制限です。贈与者(直系尊属)には年齢制限はありませんが、受贈者は贈与を受けた年の1月1日において20歳以上で、贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下であることが条件となります。
また、この制度は「相続時精算課税」または「暦年課税」のいずれかと併用が可能です。
例えば、暦年課税との併用の場合は、住宅取得等資金の非課税額+基礎控除額(110万円)までは贈与税は非課税となります。
(2)相続時精算課税制度
この制度は、住宅取得資金の援助に限らず、60歳以上(贈与をした年の1月1日における年齢)の直系尊属から20歳以上(贈与を受けた年の1月1日における年齢)の直系卑属に対する贈与に適用することができます。
非課税枠は2500万円までで、贈与財産の種類や価額、回数には制限はありません。そして、非課税枠(2500万円)を超える部分については、一律20%の贈与税が課税されます。
(3)住宅取得等資金の相続時精算課税の特例
前述のとおり、2021年12月31日までの住宅取得等資金の贈与に限り、贈与者(直系尊属)の年齢制限なしに特例で相続時精算課税制度が適用できます。
(1)と相続時精算課税制度の併用適用の場合
現行法令で贈与税の非課税枠を最大限活用できるパターンは、(1)と相続時精算課税制度を併用して適用する場合です。
例えば、(1)住宅取得等資金の非課税制度の非課税額が1000万円(消費税10%の一般住宅)だった場合、相続時精算課税制度を併用することで、1000万円+2500万円=3500万円まで贈与税が非課税となります。
さらに、それ以上の金額を贈与した場合でも、3500万円を超える部分に対してのみ一律20%の贈与税が課税されることになります。
まとめ
そのほかに、(1)住宅取得等資金の非課税制度や(3)特例を適用する場合には、対象となる住宅物件について、それぞれ一定の要件を満たす必要があります。
特例措置を最大限活用するポイントは、住宅取得等資金の非課税制度と相続時精算課税制度を併用することです。ただし、相続時精算課税制度の場合には、贈与税は非課税となりますが、贈与者が死亡した際に相続税の課税対象となる点についても留意しましょう。
出典・参考
国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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