遺産の取り分が変わる? 知っておくべき遺留分制度とは
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月30日 11時10分
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遺産相続の取り分を考える上で、避けて通れないのが「遺留分制度」です。遺留分を配慮せずに遺言書を作成すると、後々残された親族の間で無用な争いを生む可能性があるので注意しましょう。 今回は、相続を考える上で知っておきたい遺留分制度や遺留分が侵害された場合に行使できる遺留分侵害額請求権についてご紹介します。
遺留分と法定相続分の違いとは
遺留分と法定相続分の違いは、遺産の取り分です。遺留分は例外もありますが、原則、法定相続分の半分と民法で定められています。
遺留分とは、法律によって保護された相続財産の最低保証額のことです。法的に効力が強く法律によって守られているため、遺言書で無効にすることはできません。
法定相続分は、民法に定められた遺産の取り分です。ただし、法定相続分で遺産分割をする必要はなく遺言書の効力が法定相続分を上回ります。
つまり相続の割合について遺言書で指定がない場合には法定相続分に従う一方、指定された相続の割合が不公平であれば、相続人は遺留分を請求できるのです。
「遺留分」と「自由分」
遺言書を書く被相続人は、遺留分があるために自分の財産を誰にどれだけ渡すか自由に決めることができません。遺言書に自由に書き遺しても、覆される可能性があります。
法律で定められた遺留分以外は、自由分と呼ばれています。
遺留分の割合とは
ここでは、遺留分の割合を法定相続分と比較してみましょう。
民法では被相続人の財産処分の自由を保証しつつ、相続人も保護できるよう遺留分制度を定めているのです。
遺産の取り分が少ない? 遺留分を侵害された場合の対応
遺言書の内容から自分の遺産の取り分が少ないと分かったら、どうすれば良いのでしょうか? 遺留分を侵害された相続人(遺留分権利者)は、被相続人の処分の効力を失わせるために請求権を行使できます。
ただし、遺留分に配慮していないからといって遺言書が無効になるわけではあません。権利行使がなされるまで、遺言書は有効だと知っておきましょう。
遺留分を守るために遺留分侵害額請求権を行使
遺留分を侵害された相続人(遺留分権利者)は、遺留分侵害額請求権を行使して侵害された遺留分に相当する金銭を支払うことを請求できます。
その際の請求先は、遺留分を侵害するほど遺産を多く受け取る他の相続人に対してです。一般的に、内容証明郵便で行います。
相手方との協議がまとまらない場合には、調停の申立てや訴訟の提起を行う流れになります。
遺留分侵害額請求権を行使できる期間
遺留分侵害額請求の行使するにあたっては、いわゆる時効に注意しましょう。時効を過ぎると、権利が消滅します。
遺留分侵害額請求を行使できる期間は次のとおりです。
●相続の開始および遺留分を侵害する遺贈や贈与があった事実を知ったときから1年以内
●相続開始時から10年以内(相続について何も知らなかった場合)
遺留分侵害額請求権には時効があり、例え相続が発生したことを知らなかった場合でも、相続開始から10年経過すると請求できなくなります。
「遺留分減殺請求権」との違い
民法等の改正(2019年7月1日施行)に伴い、かつて「遺留分減殺(げんさい)請求」と呼ばれていた請求権が「遺留分侵害額請求権」となりました。
大きな違いは、物権的な効力から金銭債権化された点です。改正前の民法では、「遺留分減殺(げんさい)請求」によって贈与や遺贈を受けた財産そのものを返還する「現物返還」が原則でした。
改正後は「遺留分侵害額請求権」と名称を変え、金銭による支払請求に一本化されたのです。
「遺留分」を知っていれば遺産の取り分が変わる
相続税を節税する目的で生前贈与に注目が集まっていますが、相続について生前から家族間でうまく話し合える場合ばかりとは限りません。そこで相続によって残された親族間でもめないように、遺言書を作成しておくことが大切です。
遺産を受け取る側としては、万が一自分が遺言などで不公平な扱い受けたときの場合に備えて、遺留分制度を知っておきましょう。遺留分について知っていれば、遺産の取り分が変わりますのでぜひ当記事を役立ててください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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