期限を過ぎると年金を受け取れなくなる! 年金の時効消滅ってなに?
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月31日 0時0分
![期限を過ぎると年金を受け取れなくなる! 年金の時効消滅ってなに?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_114921_0-small.jpg)
年金はどなたでも、確実に受け取れるものとは思っていませんか。実は、場合によっては受け取れなくなるケースがあります。今回は、年金の時効消滅とは何か、基本権と支分権の違いや年金の時効消滅の計算方法などを詳しく解説します。 本来受け取れるはずの年金が、受け取れないことのないように、本記事をしっかりとチェックしていきましょう。
年金の時効とは
年金を受ける権利は、権利が発生してから5年以内に手続きを行わないと時効消滅してしまいます。しかし、年金には大きく分けると基本権と支分権があり、それぞれに内容が異なります。
まずは、年金の時効に重要なポイントとなる、基本権と支分権の違いについて詳しく解説します。
基本権
年金を受ける権利のことを、基本権とい言います。基本権は、権利が発生してから5年を経過すると時効によって消滅(国民年金法第102条第1項・厚生年金保険法第92条第1項)します。
ただし、時効が消滅するまでに、事情があって請求ができない方は、申し立てをすれば時効消滅させないことが可能です。なお、平成19年7月7日以降に受給権が発生した年金について、時効を援用(えんよう)しない場合は、申立書を提出しなくてもかまいません。
なお、時効の援用とは、時効の完成によって利益を受けるものが、時効の完成を主張することを言いいます。時効の効果を発生させるために、意思表示を行わなくてはいけないため、国が時効を援用しない限りは、時効の効果は発生しません。
支分権
支分権は、受給権が発生した日付によって変わってきます。
平成19年7月6日以前に受給権が発生した年金は、合計法の規定により5年経過すると時効により消滅します。ただし、年金時効特例法に基づき、年金記録の訂正がなされたうえで裁定が行われた場合は、支分権が時効消滅していても全額支給されます。
平成19年7月7日以降に受給権が発生した年金は、年金時効特例法の制定に伴う、「厚生年金保険法及び国民年金法の一部改正」により、5年経過しても自動的に消滅しなくなりました。
時効消滅させるには、国が個別に時効を援用しなくてはいけません。また、下記で挙げる条件に該当する場合は、国は時効を援用しないことが決まっています。
・時効援用しない事務処理誤りと認定されたもの
・年金記録が訂正されたうえで裁定されたもの
年金の時効消滅の5年の計算方法
年金にはいくつか種類があり、そのなかでも時効が5年のものは老齢年金・障害年金・遺族年金・未支給年金です。死亡一時金と脱退一時金の時効は「2年」と5年よりも短いので気を付けてください。
時効の起算日は、そのほとんどが支給事由が生じた日の翌日となっています。そのため、ポイントは、「いつから年金の受給権が発生したか」ということがポイントとなりますです。
5年という歳月は長く思えますが、意外と短い期間です。年金が受給できる年齢になったら、忘れる前に必ず手続きを行いましょう。
なお、年金のなかでも障害年金は、原則として初診日より1年6ヶ月が経過したころの「障害認定日」がポイントです。診断書の等級が一定以上であり、現在も継続して症状が続いているなどの条件を満たせば、最大5年遡ってさかのぼっての遡及請求ができます。
遡及請求は、遡れるさかのぼれる年数の時効が5年であるため、早めに手続きをしなくては損する可能性があります。しっかりと内容を理解して、時効消滅までに手続きを行いましょう。
基本権と支分権の違いをしっかり理解しよう
年金を受ける権利は、権利が発生してから5年以内に手続きを行わないと時効消滅します。年金にはいくつか種類がありますが、その多くは支給事由が生じた日の翌日が時効の起算日となるため、いつから年金受給できるかは時効における重要なポイントです。
年金の時効消滅をきちんと理解しておかないと、年金が受給できなくなる恐れがあります。何か不安なことがあれば、早めに日本年金機構に確認してください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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