相続は毎年コツコツ。「暦年贈与」の活用術とは?
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月31日 3時30分
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1年間の贈与額が110万円以下だった場合、贈与税がかからない仕組みを使った暦年贈与という相続税対策があります。この記事では、暦年贈与についての詳しい解説や暦年贈与の活用術を紹介します。 相続税対策で悩んでいる方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
暦年贈与とは
暦年贈与(れきねんぞうよ)は、年間110万円までの贈与であれば非課税になるという贈与税の仕組みを使用した贈与のことです。110万円以内の贈与なら贈与税がかからないため、贈与税の申告をしなくて済みます。
贈与税は、個人から財産を贈与されたときにかかる税金のことです。1月1日から12月31日までの1年間で贈与を受けた財産の合計額から、基礎控除額の110万円を引いて計算します。
(1年間で贈与を受けた金額総額(財産)-110万円)×税率=納税する贈与税額
注意するべき点は、110万円以下となる財産には土地や建物などの贈与も含まれることです。ただ、不動産の暦年贈与は非常に複雑で手間・費用がかかることから、あまり利用する人はいません。
暦年贈与の活用術
実際に多くの方が利用している暦年贈与の活用術を3つ紹介します。
定期贈与・連年贈与・孫への暦年贈与の特徴を、しっかりとチェックしていきましょう。
定期贈与
定期贈与は、一定期間・一定の給付を目的に贈与を行うことです。例えば、1500万円を100万円ずつ15回に分けて、毎年贈与すると取り決めをすれば、定期贈与としてみなされます。
ただし、定期贈与は贈与の開始時に、1500万円の贈与をする意思があるとみなされ、贈与税が1500万円に対してかかってしまいます。そこで、定期贈与とみなされないためには、贈与するごとに贈与契約書を作成し、毎年時期や金額を変えて贈与するなどの工夫が必要です。
連年贈与
連年贈与とは、毎年贈与を行うことです。1年間に110万円以下の贈与なら、贈与税が課税されません。そのため、毎年110万円以下に分けて贈与すれば節税になります。
一見すると定期贈与と似ていますが、定期贈与は贈与契約時に最終的に渡す金額が決められているのに対して、連年贈与は贈与のタイミングや金額をその都度設定します。あらかじめ決められた金額をいつまでに贈与すると決めてしまうと、連年贈与とみなされなくなるため気を付けましょう。
名義預金
暦年贈与は、基本的に1人の受贈者につき、1年間に110万円以下であれば贈与税がかかりません。したがって孫に対する贈与も、110万円以下なら非課税となることから、生前贈与の手段として利用されることもあります。
ただし、祖父母から未成年の孫に生前贈与する場合は、「親権者が財産をもらいます」という意思表示のため贈与契約書を作ってください。
未成年者への贈与は、税務署の調査で問題になりやすく、祖父母が孫の名義で預金している「名義預金」ではないかと疑われるケースが多いからです。
暦年贈与の注意点
暦年贈与は、正しい方法で行えば効率的に利用できますが、方法を間違えてしまうと定期贈与・連年贈与・名義預金などと間違えられてしまう可能性があります。
そのため、贈与する時期や金額を毎年変える、贈与契約書を毎回作成するなどして、暦年贈与以外の贈与を疑われたときに対応できるようにしておいてください。意識して、贈与しない年を作る手も効果的です。
暦年贈与はポイントを抑えて効率的に活用しよう
贈与税が非課税になる暦年贈与は、生前贈与を考えている方にとって、効率的に活用したい贈与方法です。しかし、正しい方法で暦年贈与を行わないと、定期贈与・連年贈与・名義預金などに間違えられる可能性があるため、注意が必要です。
暦年贈与を行うときは、贈与する金額や時期などを考えつつ、毎回面倒でも贈与契約書を作成するなどして、徹底した対策につとめましょう。生前贈与について不安がある方は、一度税理士など専門家に相談してみるのもおすすめです。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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