再婚したら遺族年金は受け取れなくなる…?! 内縁関係や事実婚の場合は?
ファイナンシャルフィールド / 2021年8月31日 13時0分
遺族年金を受け取るためには、受け取る人が定められた要件を満たしていることが必要です。 つまり、要件に当てはまらなくなった場合は遺族年金を受け取ることができなくなります。このことを「受給権の消滅」といいますが、どのような状況となった場合に受給権が消滅するのでしょうか。
遺族年金の受給権の消滅とは?
遺族年金を受給するためには、年金を受け取るための要件を満たす必要があります。請求時は要件を満たしており受給が始まったとしても、要件に当てはまらなくなった際には年金は受け取れなくなります。
<遺族基礎年金の受給権の消滅>
遺族基礎年金の受給権は、受け取る人によって異なります。遺族基礎年金を受け取っている人が次のいずれかに該当したときに消滅します。
■子のある配偶者が受け取っている場合
受給権者本人(亡くなった人の妻または夫)が以下の状況になった際に受給権が消滅します
1.受け取っている配偶者本人が死亡した時
2.配偶者が結婚した時(内縁関係を含む)
3.受け取っている配偶者が直系姻族以外の人の養子となった時
そして、受給権のあるすべての子どもが以下の状況となった際にも、受給権が消滅します。
1.死亡した時
2.結婚した時(内縁関係を含む)
3.受給権者(亡くなった人の配偶者)以外の人の養子となった時
4.死亡した人と離縁した時
5.受給権者(亡くなった人の配偶者)と生計をひとつにしなくなった時
6.18歳になった年度の3月31日に到達した時(障害等級1級・2級に該当する障害の状態にあるときは20歳に到達した時)
7. 18歳になった年度の3月31日後20歳未満で障害等級1級・2級の障害の状態に該当しなくなった時
■亡くなった人の子が受け取っている場合
亡くなった人の子が遺族基礎年金を受け取っている場合、以下の状況になった際に受給権が消滅します。
1.死亡した時
2.結婚した時(内縁関係を含む)
3.直系血族や直系姻族以外の人の養子となった時
4.亡くなった人と離縁した時
5.18歳になった年度の3月31日に到達した時(障害等級1級・2級に該当する障害の状態にあるときは20歳に到達した時)
6. 18歳になった年度の3月31日後20歳未満で障害等級1級・2級の障害の状態に該当し亡くなった時
遺族厚生年金の受給権の消滅
遺族厚生年金の受給権の消滅については、遺族基礎年金とは若干異なる点に注意が必要です。こちらについても、年金を受け取っている人が誰かによって扱いが異なります。
■亡くなった人の配偶者が受け取っている場合
受給権者本人である、亡くなった人の配偶者が遺族厚生年金を受け取っている場合、以下の要件に該当した際には受給権が消滅します。
1.死亡した時
2.結婚した時(内縁関係を含む)
3.直系血族または直系姻族以外の人の養子となった時
4.夫が亡くなったときに30歳未満の「子のない妻」が、遺族厚生年金を受け取る権利を得てから5年を経過した時(夫が死亡したときに胎児であった子が生まれ、遺族基礎年金を受け取ることができるようになった場合を除く)
5. 遺族基礎年金・遺族厚生年金を受け取っていた妻が、30歳に到達する前に遺族基礎年金を受け取る権利がなくなり、その権利がなくなってから5年を経過した時
■亡くなった人の子どももしくは孫が受け取っている場合
1.死亡した時
2.結婚した時(内縁関係を含む)
3.直系血族または直系姻族以外の人の養子となった時
4.子が受け取っている場合で、亡くなった人と離縁した時
5.18歳になった年度の3月31日に到達した時(障害等級1級・2級に該当する障害の状態にあるときは20歳に到達した時)
6. 18歳になった年度の3月31日後20歳未満で障害等級1級・2級の障害の状態に該当しなくなった時
7. 亡くなった人の死亡当時、胎児であった子が生まれた時(孫が受け取っている場合)
■亡くなった人の父母もしくは祖父母が受け取っている場合
1.死亡した時
2.結婚した時(内縁関係を含む)
3.直系血族または直系姻族以外の人の養子となった時
4.父母が受け取っている場合で、亡くなった人と離縁した時
5. 離縁によって亡くなった人との親族関係が終了した時(祖父母が受け取っている場合)
6. 亡くなった人の死亡当時、胎児であった子が生まれたと時
(参考:日本年金機構「遺族年金ガイド」(※))
再婚した場合はその後の遺族年金は受け取れない
再婚した場合は、受給権を消滅しますので、それ以降の遺族年金を受け取ることはできません。また、要件内に「内縁関係を含む」となっていることから、事実婚である場合も受け取ることはできません。
受給権が消滅したら手続きを忘れずに!
前述のような要因によって遺族年金を受け取れなくなった際には、遺族厚生年金を受け取っている場合は該当した日から10日以内に、遺族基礎年金を受け取っている場合は14日以内に、年金事務所に対して「遺族年金失権届」を提出する必要があります。
まとめ
遺族年金は、亡くなった人が国民年金もしくは厚生年金に加入していた場合に、その人と生計維持関係にあった配偶者や子どものいる配偶者が受け取れるものです。
遺族基礎年金と遺族厚生年金はそれぞれ受給要件が異なることから、受給権の消滅のケースも異なります。現在遺族年金を受け取っている人の状況や受け取っている年金の種類をよく確認し、受給対象ではなくなった場合には速やかに失権届を提出しましょう。
また、本稿で挙げたとおり、遺族年金を受け取っている配偶者が再婚した場合は、その後遺族年金を受け取ることはできなくなります。内縁関係や事実婚であっても受け取ることはできなくなる点に注意が必要です。
ただし、配偶者が受け取れなくなったとしても、条件を満たせば子どもが遺族年金を受け取ることができるケースもあります。子どもの場合は年齢の基準などがありますので、受給要件をしっかりと確認しましょう。
(※)(その他、本稿の参考・引用)
日本年金機構「遺族年金ガイド」
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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