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相続で知っておきたい遺留分。遺留分を侵害している遺言書はどうなる?

ファイナンシャルフィールド / 2021年9月6日 23時10分

相続で知っておきたい遺留分。遺留分を侵害している遺言書はどうなる?

「遺産はCに全額相続させる」という、相続人の遺留分の存在を無視するような遺言書があったとき、その遺言書はどのように取り扱うべきなのでしょうか。今回は、遺言書と遺留分の矛盾について事例形式で解説します。

兄弟の1人に全額相続させるという父親の遺言

3人兄弟であるAさん、Bさん、Cさんには資産家の父親がいますが、その父親が亡くなってしまいました。亡くなる直前に父親から渡されていた遺言書を3人で開封したところ、遺言書には「遺産はCに全額相続させる」と記載がありました。
 
納得いかないAさんとBさんは、Cさんに対して「僕たちには遺留分があるので、その遺言は無効」と主張しましたが、Cさんは「遺言書には財産は全て私にという記載があるから、遺言どおり財産は全額もらう」と対抗しました。この場合、遺言書は有効なのか無効なのか、法律はどう判断するのでしょうか。
 
なお、今回の例では兄弟3人の他に相続人となる方は存在しないものとします。
 

遺言書の効力について確認

遺言書は、亡くなった方の最後の意思が示された書類です。遺言書は有効なものである限り、法的な効力を持ちます。基本的に遺産分割は、遺言書に記載があれば、その内容に従って進めていくことになります。
 
遺言書は様式の不備や、遺言をした方に十分な意思能力がなかったなどの理由で効力が生じないケースはあるものの、遺留分を侵害しているという理由では無効にはなりません。
 
今回の例でいえば、相続財産は遺言書に記載のあるとおり、全てCさんが相続することになります。
 

遺留分の存在で遺言書の記載に待ったがかかる

ここまでの流れだと、AさんとBさんは相続財産を何も受け取ることができず、泣き寝入りするしかないように感じてしまいます。しかし、民法には遺留分の規定があります。
 
遺留分とは、亡くなった方の兄弟姉妹以外の相続人に認められた最低限保証される相続分になります。遺留分を侵害された方は、自身の遺留分を主張することで、遺留分相当額について金銭で支払いを受けることができるのです。
 
この遺留分について権利を主張し、侵害された相当額の金銭の支払いを請求することを、遺留分侵害額の請求と呼びます。
 
遺留分侵害額の請求の方法に規定はなく、書面はもちろん、口頭での請求も有効になります。ただ、実務上は口頭で行われることはなく、内容証明郵便など書面で行われることが通常です。
 
つまり、今回の例の結論としては下記のようになります。
 

(1)遺留分を侵害する遺言書は有効であり、結果としてCさんが財産を全額相続する
(2)しかし、遺留分の規定もまた有効であり、AさんとBさんは遺留分侵害額の請求をして、遺留分の相当額についてCさんから金銭で支払いを受けることができる

 
なお、遺留分は勝手に適用されることはなく、遺留分を侵害された相続人が行使することによって初めて効果が生じます。
 

遺留分を侵害する遺言書も有効な遺言書である

遺留分を侵害している遺言書も、その他の無効となる事由が生じていない限りは有効となります。仮に遺留分侵害額の請求がなされたとしても、その有効性に影響を及ぼしません。
 
遺留分はあくまでも、遺留分相当額について金銭で支払いを受けられる権利にすぎないからです。
 
ただ、遺言や遺留分をめぐっては民法の規定や過去の判例から、似た事例であっても必ず同様の結論に至るとは限りません。遺言や遺留分について疑問に思ったときは、弁護士をはじめとする相続の専門家に相談するようにしてください。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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