典型的な三角持ち合い、チャートのどの場面で現れやすい?
ファイナンシャルフィールド / 2021年9月7日 10時30分
投資初心者にとってテクニカル分析を実践していくのは難しそうという印象を持つかもしれません。 これまで、日本を代表するテクニカル分析の考え方として、「ローソク足」や「酒田五法」を紹介してきましたが、知れば知るほど頭の中がこんがらがってしまうようにも思います。 そこで今回からは、もう少し分かりやすくするために、チャート上に比較的よく現れる「三角持ち合い」を通じて、相場の世界に慣れ親しんでいただければと考えています。
エリオット波動理論におけるチャート波形の捉え方
それでは、まず初めに、チャートがどのように形作られているのかについてお伝えしていきます。
つまり、チャート波形の考え方ですが、私が実際に活用している「エリオット波動理論」というテクニカル理論に基づき、基本的なチャート波形がどのようなものか触れていきましょう。
〇エリオット波動理論におけるチャート波形の基本的な考え方
※筆者作成
エリオット波動理論ではチャートの波を大きく2つに分けて捉えています。1つが衝撃波、もう1つが修正波です。衝撃波は、I・II・III・IV・Vの連続する5つの波からできており、修正波は、A・B・Cの連続する3つの波からできているという考え方です。
エリオット波動理論では基本的な波形取りをこのように考えますが、この波形イメージを頭の中に持っておくと、いわゆる「三角持ち合い」がどこに現れるかで、その後の相場がどのようになるか比較的予測しやすくなります。
あくまでも参考として、このような考え方もある程度にイメージしてみてください。
三角持ち合いのイメージ
「三角持ち合い」は、端的にいうと、相場が煮詰まっていることを示す波形パターンです。具体的にいうと、チャートの波が三角形を作るようにもみ合っている場面を指します。典型的な三角持ち合いのパターンは次のようなイメージでしょう。
※筆者作成
この三角持ち合いでは、それまで続いていた上昇相場がいったん天井を着け、その後、もみ合いを繰り返しながら、最後の波が赤色の上値抵抗線(レジスタンスライン)を抜け、再び上昇基調に転じていく様子を描いています。
相場が上に行ったり下に行ったり、もみ合っているため、この期間中の相場は、投資家心理としては気迷いが生じている、つまり、買うべきか、売るべきかを投資家が迷っており、この状態が長引けば長引くほど、三角形が右に延びていくことになります。
この間、相場にエネルギーがたまり、上値抵抗線を抜けると、一気にたまっていたエネルギーが放出されるといったイメージです。
典型的な三角持ち合いパターンは、一連の波のうち、どこで現れるのか
さて、この三角持ち合いパターンが、先ほど確認したエリオット波動理論における波形のどの段階に現れやすいかを説明していきます。
※筆者作成
エリオット波動理論では、I・II・III・IV・Vの一連の波を衝撃波と呼びます。これに対し、A・B・Cの一連の波を修正波と呼びます。衝撃波は上昇トレンドを描く波、修正波は上昇トレンドの調整であるため、下降トレンドを描く波と捉えてください。
衝撃波のうち、第II波と第IV波は下落を示しますが、先ほどの三角持ち合いパターンは、どちらかというと第IV波で出現しやすい形状で、場合によっては第II波でも出現することがあるとされています。
あくまでもエリオット波動理論での考え方ではありますが、今回伝えたいことは、三角持ち合いがどこで現れるかという傾向をつかんでおきましょうということなので、あえてこのような見せ方をしています。
絶対そうなるというわけではありませんが、参考程度に念頭に置くとチャート分析がしやすくなるかもしれません。
まとめ
投資初心者にとっては、チャート理論を用いた分析は理解し難いように映ると思います。このため、相場に慣れるまでは、パターン分析という視点でチャートを眺めていくのが一番分かりやすいかもしれません。
今回は、典型的な三角持ち合いパターンがチャートのどの場面で現れやすいかを視覚的に見てきました。
仮に、それがエリオット波動理論でいうところの第IV波で現れると、その後は第V波が続く可能性が高いため、上値抵抗線を抜けたら買いを入れるという判断ができたりします。
相場は、ずっと右肩上がりで推移すると考えるのではなく、上がったら下がる、下がったら上がるといった、いわば生き物のようなものなので、生き物のクセを知るのがチャート分析のコツといえます。
次回は、今回お伝えした典型的な三角持ち合いパターンの逆パターンが、チャートのどこで現れやすいかについて見ていきたいと思います。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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