「積立定期預金」と「つみたてNISA」 増え方、リスクなど相違点をFPが解説
ファイナンシャルフィールド / 2021年9月7日 12時0分
人生にはまとまったお金が必要となるイベントがあります。例えば住宅購入での頭金や、子どもの大学の学費などです。また、老後資金として大きな金額を準備したいと考えている人もいるでしょう。 まとまったお金を貯めるには、毎月コツコツ積み立てていく方法があり、その場合に利用できる金融商品や制度として「積立定期預金」や「つみたてNISA」があります。 元本保証がある「積立定期預金」と、投資信託を利用する「つみたてNISA」では、特徴やリスクに違いがあります。今回は、その違いや目的に合わせた活用方法を紹介します。
「積立定期預金」は貯めることを重視
積立定期預金は、毎月一定の金額を普通預金口座から振り替えることによって、定期預金として積み立てるタイプの預金です。また、積立定期預金は元本保証の金融商品で、預金保険制度の対象となっています。
毎月積み立てる金額は、1000円や3000円、1万円からなど金融機関により異なります。積み立てるお金は、毎月、決まった日に普通預金から振り替えられますが、その振替日を預金者が指定できる場合もあります。
また、金融機関によってはボーナス月に増額できる場合や、スポットで追加できる場合もあります。定期預金として積み立てることになりますので、満期が設定されます。契約期間は6ヶ月以上5年以内が一般的ですが、期間を設定しないエンドレスタイプもあります。
現在の預金金利は全体的に低い状態であり、積立定期預金の金利も低く設定されています。
積立定期預金は、毎月定期的に積み立てができること、元本保証の金融商品であることが特徴ですが、金利は低いので、増やすよりも元本を確実に貯めることを重視する場合に有効ではないでしょうか。
「つみたてNISA」は非課税のメリットがあるが、あくまで投資の1つ
つみたてNISAは、少額からの「長期・積立・分散投資」を支援するため、2018年から始まった制度で、投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益について非課税になる特徴があります。
非課税で購入できる金額には限度があり、毎年40万円が上限です。また、非課税期間は20年となっており、非課税で投資できる金額は20年間で最大800万円となります。
つみたてNISAの対象商品は、「長期・積立・分散投資」に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されており、販売手数料や信託報酬などについて一定の基準が決められています。
つみたてNISAを利用する場合、投資信託を毎月積み立てで購入することになりますが、金融機関によっては、ボーナス月など特定の月で購入額を増額することも可能です。上限の年40万円を単純に12ヶ月で割ると、毎月3万3333円となります。
対象商品は株式投資信託ですので、元本保証はなく、運用の結果によっては大きく利益が出る可能性がある一方、元本割れになる可能性もあります。
リスクとしては、価格が変動するリスク、海外に投資する投資信託の場合は為替変動のリスクやカントリーリスク(投資対象国の政治・経済・社会情勢の変化によって資産価値が変動する可能性)などがあります。
つみたてNISAは、「長期・積立・分散投資」で、リスクを取って長期的なリターンを狙う場合に利用したい制度です。元本保証はありませんので、家計の余裕資金の範囲で利用しましょう。
違いを確認して、目的に合わせた活用を
「積立定期預金」と「つみたてNISA」は、積み立てという点では同じですが、対象となる金融商品の特徴に大きな違いがあります。
5年以内など近い将来で使う予定の資金は、目標とする金額を確実に貯めて、元本割れをしないようにしたいものです。その点では「積立定期預金」が向いているでしょう。
一方、当面は使う予定がなく、10年以上など長期間で運用が可能な資金については、長期的に増やすことを期待して「つみたてNISA」を利用するのも1つの方法です。
将来、積み立てたお金をいつごろ、どのように使うのかを考えて、それぞれの目的に合わせて商品や制度を選ぶとよいでしょう。
出典
金融広報中央委員会 預貯金
金融庁 つみたてNISAの概要
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
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