免除された国民年金保険料。追納しなかったら、受給額はどれくらい減る?
ファイナンシャルフィールド / 2021年9月16日 23時0分
![免除された国民年金保険料。追納しなかったら、受給額はどれくらい減る?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_116141_0-small.jpg)
国民年金保険は加入している期間、保険料を払い続ける必要があります。しかし、収入の減少など不測の事態によって保険料を払えない場合は、保険料を免除してもらえる制度があります。 通常、免除された保険料については、追納することで受給額を満額にできますが、追納しなかった場合、受給額はどのくらい減ってしまうのでしょうか。
国民年金保険料の免除制度とは?
経済的な理由により、保険料を納めることができない場合は、保険料を「全額免除」または「一部免除」する制度があります。全額免除の場合は、文字通り保険料の全額が免除され、一部免除の場合は4分の3、半額、4分の1のいずれかが免除となります。具体的な免除額は以下のとおりです。
■全額免除の場合の将来年金額の計算は?
保険料の全額免除の適用を受けた場合、将来の受給額を計算する際には、保険料を全額納めた場合の半額として計算します。ちなみに一部免除の場合は、4分の3免除の場合であれば8分の5、半額免除の場合は8分の6、4分の1免除の場合は8分の7で計算されます。
■学生の場合は学生納付特例制度を利用
上記で紹介した免除制度は、学生の方は利用できません。学生の場合は「学生納付特例制度」を利用することになります。この制度は、学生本人の所得が一定額以下の学生であれば、申請することで在学中の保険料の納付が猶予されます。
■免除制度を受けた期間は受給資格期間に算入される
免除制度を受けた期間分は将来受け取る年金額に反映されることとなるため、そのままにしておくと受け取る年金額は少なくなります。ただ、未納と異なり、受給資格期間としては換算されます。したがって、免除制度や納付猶予制度を受けた場合であっても、その期間は受給資格期間に算入される点を覚えておきましょう。
(出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(※1))
国民年金保険料の追納制度とは?
国民年金保険料の免除もしくは猶予の適用を受けた場合、支払わなかった保険料はあとから納めることができます。ただし、追納できるのは過去10年分までで、それ以前のものについては追納ができません。また、過去3年以上の免除分については、一定額が加算される点にも注意が必要です。
■追納額はどのくらいになる?
これまで10年間全額免除を受けていた場合、その追納額は以下のとおりです。
このように、追納する場合は年数がたつにつれ加算されることから、なるべく早めに行うようにしましょう。また、すでに老齢基礎年金の受給権が発生している場合は、追納ができませんので注意してください。
(出典:日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」(※2))
追納しなかった場合の年金受給額
では、40年間の加入期間のうち、全額免除があった期間分について追納しなかった場合の年金受給額はいくらになるのでしょうか。
追納ができる過去10年間分を1年ごとに見てきましょう。計算に用いる式は、令和3年度の老齢基礎年金額を基にした、78万900円×((480ヶ月-免除期間(月数)+免除期間(月数)×1/2)/480ヶ月とします(小数点以下切り捨て)。
10年間分追納しなかった場合、満額受給額の78万900円に比べ、9万7613円少ない68万3287円となることが分かります。一見、追納しなかった場合の受給額と追納年額を比べると、追納しないほうが得のように見えがちですが、年金は生きている間ずっともらえるものです。平均寿命が延びている今、最終的には追納しておいたほうが受取額は多かったという結果になるケースも多くなると思われます。
まとめ
追納できる期間は10年間ですが、60歳から65歳まで任意加入制度に加入することで年金の受取額を増やすことも可能です。ただ、国民年金保険料は毎年上がっていますので、できれば国民年金保険料の少ない時期の部分を追納するほうが最終的にはお得となります。
もちろん、経済的な理由などがあるからこその免除制度ではありますが、経済的な困難が解消された際には、できるだけ追納を行うことをおすすめします。
出典
(※1)日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
(※2)日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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