マイナンバーカードで変わる医療費の支払方法とは?
ファイナンシャルフィールド / 2021年9月16日 22時30分
![マイナンバーカードで変わる医療費の支払方法とは?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_116149_0-small.jpg)
一部の医療機関などで導入が始まっている、マイナンバーカードを健康保険証として利用することによって、今後私たちの医療費の支払方法が変わるかもしれません。 このマイナンバーカードを健康保険証として利用することにより、今後の医療費の支払いはどのように変わっていくのでしょうか。
マイナンバーカードの普及率
総務省の調査によると、令和3年5月1日時点での全国のマイナンバーカードの普及率は30%となっており、まだまだ低い水準です。とはいえ、自治体の中では7割を超えるところもあることから、今後のさらなる普及が期待されます。
(出典:総務省「マイナンバーカードの市区町村別交付枚数等について」(※1))
マイナンバーカードの健康保険証利用によるメリット
マイナンバーカードを健康保険証として利用することにより、以下のメリットがあります。
■就職や転職、引っ越しの際も変更手続きが不要
会社に就職・転職した際、さらには引っ越した場合などにおいては、勤務先の健康保険組合に健康保険証を発行してもらう必要があり、そのために国民健康保険の被保険者であれば、引っ越しの際には自治体に変更届を提出する必要があります。
健康保険組合や自治体によっては健康保険証の即時発行が難しいところもあり、新しい健康保険証が届くまで使用を延ばしたりする必要がありましたが、マイナンバーカードを健康保険証として利用することで、そのような不便さを解消できます。
■各種証明書の提出が不要
人によっては、健康保険以外の補助制度を利用している関係で、健康保険証と合わせてその証明書を提出する必要があります。しかし、マイナンバーカード1枚で健康保険証を含めたすべての証明書の代わりを担うことになるため、各種証明書を持ち歩く必要がなくなります。
■特定検診情報や薬剤情報などがサイトで確認できる
マイナポータルを利用することで、特定検診の情報や、薬剤情報、さらには支払った医療費などを閲覧することが可能になります。特定検診情報とは、40歳から74歳までの方を対象に、メタボリックシンドロームに着目して行われる健診結果の情報で、75歳以上の方については、後期高齢者健診情報を医師などが閲覧できるようになります。さらに薬剤情報では処方された薬の内容だけでなく、注射や点滴などの情報を知ることも可能です。
高額医療費の支払方法が変わる
マイナンバーカードを健康保険証として利用することで、高額医療費の支払方法が、これまでと変わることになります。これまで高額医療費制度を利用する際には、加入している健康保険組合に「限度額適用認定証」の交付申請を行い、その交付を待って医療機関の窓口に提出し、支払い済みの医療費の還付を受ける必要がありました。
しかし、マイナンバーカードを健康保険証として利用する場合では、「限度額適用認定証」がなくても、限度額を超える支払いが免除されます。高額医療については一時的ではあるものの支出が負担になるものですが、それが解消されるメリットは大きいといえるでしょう。
確定申告時の医療費の計算が楽になる
確定申告で医療費控除を行う際には、どの医療機関でどのくらい医療費を使ったかを一覧にした「医療費控除の明細書」を提出する必要があります。この作業は1年分の医療費の領収書を保管し、計算して入力しなければならないことから、通院が多い方などでは大変な作業です。
しかし今後は、医療費の領収書を管理しなくても、マイナポータルで医療費通知情報を管理することができるようになります。さらにマイナポータルをe-Taxに連携させることで、医療費控除の確定申告をオンラインで完結させることが可能となります。
マイナンバーカードを健康保険証として利用する方法
マイナンバーカードを健康保険証として利用するためには申し込みが必要です。申し込みは生涯1回のみとなっています。健康保険証利用の申し込みを事前に行うには、「マイナポイントアプリ」をインストールして申し込む方法と、「マイナポータルAP」をインストールして申し込む方法以外にも、セブン銀行のATMや各市区町村に設置されているマイナポータル用端末から申し込むことができます。
まとめ
健康保険証の代わりにマイナンバーカードを利用することで、さまざまなメリットがあります。特に国民健康保険の被保険者や後期高齢者医療制度の加入者は、毎年保険証が変わることから、その管理の負担も軽くなります。
まだ導入が開始されたばかりで、マイナポータルでの特定健診等情報の閲覧は令和3年10月から、薬剤情報の閲覧は令和3年10月から、医療費通知情報の閲覧は令和3年11月から開始予定となっており、これらの開始がずれ込むことも予想されます。
しかし、今後マイナンバーカードはマイナポイントや健康保険証機能だけでなく、お住まいの地域で受けられる行政サービスのオンライン申請など、活用の幅が広がることが期待されるといえるでしょう。
(出典:厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」(※2))
出典
(※1)総務省「マイナンバーカードの市区町村別交付枚数等について」(令和3年5月1日現在)
(※2)厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」(令和3年7月)
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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