妻と子ども2人。夫の死亡保険金が「非課税」で受け取れる範囲とは?
ファイナンシャルフィールド / 2021年9月27日 11時30分
![妻と子ども2人。夫の死亡保険金が「非課税」で受け取れる範囲とは?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_116998_0-small.jpg)
遺族が受け取る死亡保険金は相続税の対象になることがあります。 その場合、死亡保険金は相続人の人数によって一定額まで非課税にて受け取れる範囲が決められています。妻と子ども2人の事例を元に、死亡保険金が非課税で受け取れる範囲について見ていきます。
相続税の対象となる死亡保険金は?
いわゆる生命保険金をはじめ、特定の対象となる方が亡くなったことに起因して支払われる死亡保険金は相続税の対象となることがあります。
具体的には、亡くなった方が死亡したことを理由に支払われる生命保険金や損害保険金などのうち、その保険の保険料のうち一部でも亡くなった方が負担していて、相続人が受け取ったものは相続税の対象となります。
死亡保険金を相続税で受け取れる範囲は?
相続税の対象となる死亡保険金であっても、1円から相続税が発生するわけではありません。なぜなら死亡保険金には、受取人が相続人(相続放棄をした人や廃除などにより相続権を失った人を含まない)である場合、全ての相続人が受け取った死亡保険金の合計額が非課税限度額までであれば相続税がかからないとされているからです。
非課税限度額=500万円×法定相続人
少しややこしいのですが、非課税限度額の計算における相続人には相続放棄をした人については放棄をしなかったものとして計算します。
また、法定相続人の中に養子がいる場合、非課税限度額の計算上カウントできる養子には人数制限があり、実子がいる場合は1人まで、実子がいなければ2人までカウントできます。
妻と子ども2人が相続人の場合、非課税で受け取れる死亡保険金の範囲は?
では、先の計算式を基に妻と子ども2人が相続人である場合に非課税で受け取れる死亡保険金の範囲について計算してみましょう。他に相続人がおらず、子が2人とも養子ではなく実子という場合は下記のとおり1500万円までとなります。
500万円×3=1500万円
そして、この1500万円を各相続人の生命保険金の相続額に応じて案分していきます。
例えば、生命保険金が3000万円あり、妻と2人の子が法定相続分(妻2:子がそれぞれ1ずつ)で相続した場合、この1500万円の非課税枠は次のように割り振られます。
妻:750万円
子1:375万円
子2:375万円
これとは逆に誰か1人が相続人となる場合、その相続人が1500万円の非課税枠全額の適用を受けることができます。
生命保険の非課税枠の特例を超えた部分は即座に課税対象?
生命保険の非課税限度額を超えたとしても、そこから直ちに相続税が発生するわけでもありません。
相続税には3000万円+法定相続人の数×600万円まで非課税となるという基礎控除が定められており、生命保険のうち非課税限度枠から外れた部分はその他の財産とまとめて課税対象となるものの、他の財産との合計額がこの基礎控除の範囲内であれば相続税が発生しないのです。
例えば、今回の事例である、妻と子ども2人の合計3人が相続人で死亡保険金が3000万円あるという場合、非課税限度枠を超える1500万円超えの部分が他の財産と合わせて課税対象となるが、その合計額が4800万円以内であれば、相続税がかからないということになります。
死亡保険金を活用して賢く相続対策を
遺族が受け取る死亡保険金は通常の相続財産とは異なる非課税枠が用意されており、妻と2人の子の合計3人が相続人となる場合であれば1500万円までが非課税となります。
死亡保険金の非課税枠は強力な節税効果を持っています。死亡保険金について遺族の生活保障という観点からだけではなく、相続税の節税という観点からも考えてみると、より効果的な相続対策ができることかと思います。
出典
国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
執筆者:柘植輝
行政書士
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