ビッグマック指数に見る日本の経済力
ファイナンシャルフィールド / 2021年10月1日 11時0分
![ビッグマック指数に見る日本の経済力](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_117539_0-small.jpg)
最近、ビッグマック指数という言葉を聞くことが少なくなったと感じますが、ビッグマック指数という経済指標があり、以前はよく耳にしていました。今回は、この指数のデータを見て、経済やお金の価値について考えてみました。
ビッグマック指数とは
ビッグマック指数とは、「エコノミスト」というイギリスの経済誌が毎年発表している、1986年から調査が開始されている経済指標の1つです。
世界100カ国以上で販売されているビッグマックは、ほぼ全世界で同一の品質ということで、一物一価の法則に基づいて、比較する国の通貨が過小評価されているのか過大評価されているのか判断するために使われます。
例えば、日本でビッグマックが400円、アメリカでは4ドルであれば400円÷4ドル=100となり、為替レートが1ドル=100円であれば、適正な価格ということになります。
このときの為替レートが1ドル=110円であれば、100÷110≒0.909となり、(0.909-1)×100=-9.1%がビッグマック指数として計算され、現在のドルに対する円が過小評価され、110円×(1-0.091)≒100円と、今後1ドル=100円と円が強くなる可能性があるという見方ができます。
最新の2021年7月の指数では、日本とアメリカのビッグマック指数は-37.2%となっています。2021年9月1日時点の為替レートは1ドル=110円程度ですので、110×(1-0.372)≒69となり、1ドル=69円くらいが妥当と考えられ、現在の円は非常に過小評価されていることになります。
ビッグマック価格に注目すると
※The EconomistとHistorical Data from the Economist’s Big Mac Indexより筆者作成
このデータで見るとアメリカのビッグマックの価格は右肩上がりになっています。日本のビッグマック価格は1991年のバブル崩壊後に値を下げて、2012年のアベノミクス以降に価格が戻ってきていますが、ほぼ横ばいなのが分かります。2021年にアメリカで価格が下がっているのは新型コロナウイルスの影響だと考えられます。
※IMFホームページより筆者作成
このグラフは、日本とアメリカの30年間の国内総生産(GDP)の推移です。先ほどのビッグマック価格と同様にアメリカのGDPは右肩上がりとなっていますが、日本ではほぼ横ばいとなっていることが分かります。
ビッグマック指数は、通貨の割安感や割高感を比較するものですが、こうやって経済成長しているアメリカと経済成長がほぼない日本を比較すると、経済成長も価格に影響することが見えてきます。経済が成長するということは、インフレが順調に進行していくと考えられます。
ではアメリカのビッグマックの価格同様に、日本がどれくらいインフレになっていないといけないかを計算してみます。現在の為替レートの1ドル=110円だとすると、2021年のアメリカのビックマック価格の5.65ドル×110≒622円となり、日本経済も順調に成長していれば、日本でのビッグマックの価格が620円程度になっていても不思議ではないということになります。
しかし2021年の日本でのビッグマックの価格は390円ですので622÷390=1.594となり、約160%のインフレとなって、やっとアメリカと肩を並べることになります
それでは日本でインフレは起きるのか
日本はバブル崩壊後、ほぼインフレがなかったことで、物価上昇について意識をする人が少なくなってきているように思います。また今回の新型コロナウイルスの影響で2020年から消費活動が少なくなりました。収入が減った人も多かったようですが、日本の市中に出ているお金の量(マネタリーベース)は、金融緩和や給付金によって過去最高を更新しています。
そう考えると、現在はコロナ禍で行動が制限されていますが、コロナ収束後には消費活動が一気に回復する可能性も高くなっているように感じます。
お金に余裕があると少し高い物の購買意欲やサービスも利用しようという意識が働き、物価も上昇しやすくなるのかもしれません。
また日銀は、安定的に物価上昇率が2%になるまで金融緩和を続けるという姿勢も見せていますので、今後の日本も健全なインフレになる可能性は高いのではないかと筆者は考えています。
さらに海外の国々は先進国も成長していますが、新興国といわれる国々の成長も考えておかなくてはいけません。
現在のようなグローバルな時代に、部品や材料を調達するのも海外から調達していることで、海外の国々の成長によって材料費が高くなります。こういう外部要因でインフレになることをコストプッシュインフレといい、今後このコストプッシュインフレの可能性は非常に高いと感じます。
まとめ
相談を受ける中、多くの方がインフレについて意識されていないと思うことがあったので、ビッグマック指数という経済指標を用いて今後のインフレについて考えてみました。日本も今後、経済が正常に成長すると考えておくことも大切だと思いますので、インフレに対応した資産形成を考えましょう。
出典
The Economist The Big Mac Index
Historical Data from the Ecomomist Big Mac Index
IMF GDP
日本銀行 マネタリーベース
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー
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