自然災害による車の被害、自動車保険で補償される?
ファイナンシャルフィールド / 2021年10月4日 11時10分
近年、全国各地でゲリラ豪雨や台風など自然災害が増えています。これは温暖化による気候変動が原因ともいわれますが、住まいや車の損壊はその後の生活に大きく影響します。万一への対策として「保険」で備えることが考えられます。 ただし、保険に加入していればよいということではなく、「どんなときに」「どのくらい」補償されるのか、また補償されないのかについて知っておきたいものです。
台風で被害を受けた自動車は保険でカバーできる?
自然災害により被害を受けた場合、住まいの損害は「火災保険」、車の損害は「自動車保険」、けがの場合は「傷害保険」で補償されます。火災保険では「建物」と「家財」を保険の対象とすることができますが、自動車は家財に含まれません。
自動車については、自動車保険の「車両保険」でカバーされることになります。一般的に、自動車保険は、(1)人に対する補償、(2)モノに対する補償、(3)クルマに対する補償の3つで構成されています。
(3)契約する自動車の損害に対して保険金が支払われる車両保険は、各保険会社や商品設定によりますが、補償範囲の広い「一般」と限定的な「エコノミー」の2つのタイプがあります。
「エコノミー」の場合には、電柱に衝突するなど単独事故による損害は対象外となるものの、「一般」と比較すると保険料が低く設定されています。いずれにしても、台風などの自然災害による被害に対しては補償の対象です。
自然災害による車の被害事例
どのような車の被害が対象となるのかについては、具体的には以下のような事例が挙げられます。
●台風による河川の氾濫で車が水没した
●台風により近隣から飛来物が車体に当たりへこんだ
●ゲリラ豪雨で道路が冠水し、車に浸水した
●土砂災害で車が押し流された
●ひょうが降って車のフロントガラスが割れた など
災害時には、精神的にも身体的にも消耗しますが、可能なかぎり、事故状況を正確に記録に残すようにしましょう。
地震の場合は?
地震および地震を原因とする噴火・津波の被害には、残念ながら、車両保険の対象外であり補償されません。住宅や家財の地震保険も同様ですが、これらの被害は一度に巨大な損害が発生する可能性から、保険会社が補償できる金額を超えてしまうおそれがあるため免責とされています。
保険会社によっては、特約を付帯することで備えることができる場合もあります。一時金として受け取ることのできる臨時費用特約(名称もそれぞれ)などが例として挙げられますが、契約要件や支払い要件、補償内容については、各損害保険会社のホームページ等でご確認ください。
保険を使うと等級に影響する?
通常、自動車事故で保険請求した場合には、翌年の更新時「3等級ダウン」となり、保険料が上がります。ただし、自然災害で保険を使った場合には、無過失であるため、全保険会社共通ルールとして、1等級ダウンし、事故有期間1年がつきます。
等級は、初めて自動車保険に加入する際には6等級からスタートし、無事故であれば1等級アップ、決まった係数により保険料が割り引かれるしくみです。無事故で等級が上がった人と、事故により下がった人では同じ等級でも「無事故」「事故有」の区分を設定することで割引率に差をつけています。
事故有期間経過後は、期間中に無事故であれば、元の割引率(無事故係数)に戻ります。
車両保険は必要なの?
最近では、インターネットでの比較や申し込みが容易であるため、専門家のアドバイスを聞く機会は少ないのが現実で、自動車保険を選ぶ際には「保険料」を重視する傾向がみられます。車両保険を付帯しない選択をするケースも多いようです。
経済的負担が重くなるほど無駄な補償をつける必要はありませんが、万一の場合に備えるのが保険です。相手や相手のモノに対する補償とともに、所有する車の補償も備えておきたいものです。
自損事故などの偶発的な事故に加えて、自然災害を自分ごととして検討してみてはいかがでしょう。
保険会社による違いも……
地震・噴火・津波の場合の特約有無、全損をどう判断するか、支払い要件など保険会社によってさまざまです。同じ保険会社でも複数の自動車保険がある場合もあるため、加入にあたっては悩むことが多いかもしれません。
各保険会社のホームページやネット申し込み画面の説明文などを参照のうえ、ご自身のリスクについて優先順位をつけて検討したいものです。お客さま窓口やチャットの活用も効果的です。
せっかく加入した自動車保険でも、補償の対象であるにもかかわらず、知らずに自費で修理してしまう事例も多くあります。特に自然災害による損害は、対象外と思い込みがちですので、自動車保険加入中であれば、内容を確認のうえ、必要であれば見直しをしておきましょう。
自然災害については、地理的要因により発生リスクの高い地域もありますので、国土交通省のハザードマップを確認しておくこともおすすめします(※)。
いうまでもありませんが、自然災害発生時は、生命を守る行動が最優先です。
出典
(※)国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士
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