会社員が老後に受け取れる年金額。収入別の平均はいくらくらい?
ファイナンシャルフィールド / 2021年10月19日 23時30分
公的年金の保険料や医療費など、社会保障の負担割合は増加する一方で、受け取れる公的年金額は物価変動などによって調整がされるため、現時点で将来の年金額について不安になることもあるでしょう。 しかし、公的年金の支給額は基本的には法律で定められており、いきなり大幅な減額は考えにくいものでもあります。 少しでも将来に備え、会社員の方が老後にどの程度の年金を受け取れるのか、具体的に計算してみます。
公的年金はいくら受け取れそうか?
まずは年金額の計算式を把握しておきます。通常、会社員の方であれば厚生年金に加入している場合が多いので、「老齢基礎年金+老齢厚生年金」が老後に受け取る公的年金になるでしょう。
なお、老齢厚生年金については年齢により計算式の値が変わるため、令和3年時点で35歳(昭和60年生まれ)、年金の受給開始年齢は65歳と仮定して変動値を固定しています。
1. 老齢基礎年金(令和3年4月分~)
78万900円×[保険料納付済月数+(全額免除月数×4/8)+(1/4納付月数×5/8)+(半額納付月数×6/8)+(3/4納付月数×7/8)]÷40年(加入可能年数)×12月
老齢基礎年金は40年間、保険料を全額支払うことで年額78万900円が受け取れます。
2. 老齢厚生年金(令和3年4月~)65歳以降
(1)報酬比例部分
平均標準報酬月額×(7.125/1000)×平成15年3月までの被保険者期間月数
+平均標準報酬額×(5.481/1000)×平成15年4月以降の被保険者期間月数
計算式の「7.125」「5.481」の部分が変動値ですが、昭和21年4月2日以降生まれの方の場合は上記の値で固定です。35歳の方が大学卒業後に就職し、23歳から厚生年金に加入したとすると、計算式の後半部分のみが年金額の算出に必要となります。
(2)加給年金額
配偶者が65歳未満の場合:22万4700円
第1子、2子が18歳到達年度の末日まで:1人当たり22万4700円
第3子以降:1人当たり7万4900円
※子の対象年齢について、障害等級1級・2級の状態にある場合は20歳未満
具体的な年金額はいくらになる?
上記の計算式を用いて実際に計算します。年齢は現時点で35歳、厚生年金加入は23歳から65歳の定年まで42年間、基礎年金部分も満額と仮定した場合で、平均標準報酬額、加給年金の対象となる配偶者の有無、子の数に応じた年金額の例としています。
下表の金額は以下の合計となります。
・老齢基礎年金:78万900円(満額)
・老齢厚生年金:平均標準報酬額×(5.481/1000)×42年(504ヶ月)
・加給年金:配偶者、第1子、第2子:22万4700円、第3子:7万4900円
平均標準報酬額 | 独身 | 夫婦のみ | 夫婦+子1人 | 夫婦+子2人 | 夫婦+子3人 |
---|---|---|---|---|---|
¥200,000 | ¥1,333,385 | ¥1,558,085 | ¥1,782,785 | ¥2,007,485 | ¥2,082,385 |
¥300,000 | ¥1,609,627 | ¥1,834,327 | ¥2,059,027 | ¥2,283,727 | ¥2,358,627 |
¥400,000 | ¥1,885,870 | ¥2,110,570 | ¥2,335,270 | ¥2,559,970 | ¥2,634,870 |
¥500,000 | ¥2,162,112 | ¥2,386,812 | ¥2,611,512 | ¥2,836,212 | ¥2,911,112 |
¥600,000 | ¥2,438,354 | ¥2,663,054 | ¥2,887,754 | ¥3,112,454 | ¥3,187,354 |
¥700,000 | ¥2,714,597 | ¥2,939,297 | ¥3,163,997 | ¥3,388,697 | ¥3,463,597 |
¥800,000 | ¥2,990,839 | ¥3,215,539 | ¥3,440,239 | ¥3,664,939 | ¥3,739,839 |
¥900.000 | ¥3,267,082 | ¥3,491,782 | ¥3,716,482 | ¥3,941,182 | ¥4,016,082 |
¥1,000,000 | ¥3,543,324 | ¥3,768,024 | ¥3,992,724 | ¥4,217,424 | ¥4,292,324 |
※筆者作成
平均標準報酬額は収入の増減によって変動しますが、就労していた期間全体の平均な月収+ボーナスのイメージと思ってもらえればよく、年金を受け取る65歳時点で夫婦のみ(配偶者が65歳未満)という場合、平均標準報酬額が50万円だと年間約239万円(老齢基礎年金+老齢厚生年金+配偶者の加給年金)を受け取ることができる計算です。
今回は厚生年金の被保険者として勤務し続け、年金の未納も全くないという理想的な条件で計算しているため、学生期間の年金保険料の未納分や、転職などで厚生年金に加入していない期間がある場合、上記表より年金額が下がるという点には注意が必要です。
また、加給年金については、配偶者や子が受給対象外となった場合は支給が停止されます。
まとめ
以上、会社員の方が老後に受け取れる年金額を、平均標準報酬額と家族構成ごとに計算してまとめてみました。
年金額については、計算式やそれに関わる係数が複雑な上、個々人に合わせて計算する必要もあります。自分の年金額の目安を詳しく知りたい場合は、日本年金機構のホームページにある「年金見込額試算」で確認したり、社会保険労務士に相談するなどして、将来のライフプランの参考にしてみてはいかがでしょうか。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の変遷
日本年金機構 厚生年金保険料率と標準報酬月額等級の変遷表
日本年金機構 老齢基礎年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)
日本年金機構 老齢厚生年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)
日本年金機構 年金見込額試算
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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