収入が600万円・小学生の子どもがいる4人家族。ふるさと納税の控除上限額はいくら?
ファイナンシャルフィールド / 2021年10月22日 12時30分
ふるさと納税を行うなら、制度の理解は欠かすことができません。 ふるさと納税を行った場合、その金額がそのまま所得税や個人住民税から税額が控除されるわけではありません。控除額にはそれを行った方の年収や家族構成により上限があります。 節税対策の1つとして「ふるさと納税」に関心を持たれているのであれば、本記事をぜひ参考にしてみてください。
ふるさと納税の概要
ふるさと納税は、自治体に対して寄付を行ったとき、その金額のうち2000円を超える部分について、所得税と住民税からそれぞれ控除できるという制度です。
所得税については、ふるさと納税を行った年の所得税から控除できます。住民税については、ふるさと納税を行った翌年度の住民税から控除できます。
これらの控除を受けるため方法は、以下のいずれかです。
●ふるさと納税を行った年分において確定申告をする
●ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用する
なお、ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用するには一定の要件を満たす必要があります。
控除額の計算
例えば、1万円のふるさと納税を行った場合、所得税と住民税から控除できる金額はそれぞれ8000円(=1万円-2000円)かといったら、そうではありません。
所得税から控除できる金額は、以下のように計算します。
所得税からの控除額=(ふるさと納税額-2000円)×(所得税の税率)
住民税から控除できる金額は、「基本分」と「特例分」をそれぞれ計算し、その合計額となります。基本分の金額は、以下のように計算します。
住民税からの控除(基本分)=(ふるさと納税額-2000円)×10%
特例分の金額は、以下のように計算します。
住民税からの控除(特例分)=(ふるさと納税額-2000円)×(100%-10%-所得税の税率)
ただし、ここで計算した特例分が住民税所得割額の2割を超える場合は、以下の式により計算します。
住民税からの控除(特例分)=(住民税所得割額)×20%
これを、先の1万円のふるさと納税を行った場合の例に当てはめて計算すると、所得税からの控除額、住民税からの控除額は以下のようになります。なお、仮定として所得税率を20%、住民税からの控除額の特例分については、その金額が住民税所得割額の2割を超えないものとします。
所得税からの控除額=(1万円-2000円)×20%
=1600円
住民税からの控除額
={(1万円-2000円)×10%}+{(1万円-2000円)×(100%-10%-20%)}
=800円+5600円
=6400円
つまり、所得税からの控除額が1600円、住民税からの控除額が6400円、合計で8000円(=1万円-2000円)となります。
年収、家族構成ごとの控除上限額
年収、家族構成ごとの控除上限額については、その目安が総務省のふるさと納税ポータルサイト「ふるさと納税のしくみ」に掲載されています。ここでいう年収は、ふるさと納税を行う方の給与収入のことをいいます。
家族構成は、以下のように分けて考えます。
(1)結婚をしているか
(2)配偶者に収入はあるか
(3)子ども(高校生、大学生)はいるか
なお、「高校生」とは16歳から18歳の扶養親族を、「大学生」とは19歳から22歳の特定扶養親族を指します。中学生以下の子どもについては、控除額に影響がないため、ここでは考慮されません。
これらを踏まえ、先のポータルサイトで収入600万円、家族構成が「夫婦共働き+子ども2人(小学生)」である方の控除額の上限を確認すると、年間7万7000円となります(あくまで目安です)。
年収600万円で、家族構成が「夫婦(配偶者に収入が無い)+子ども2人(小学生)」であれば、控除額の上限は年間で6万9000円となります。
まとめ
収入が600万円、小学生の子どもがいる4人家族の場合、ふるさと納税の控除上限額は、目安として年間7万7000円(夫婦共働きの場合)または年間6万9000円(配偶者に収入が無い場合)であることが分かりました。
ただし、この金額がそのまま所得税と住民税から控除されるのではありません。この金額は、所得税からの控除額と住民税からの控除額の合計額であるということに注意が必要です。
本記事が「ふるさと納税制度」を理解するための一助となれば幸いです。
出典
国税庁 「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」
総務省 ふるさと納税ポータルサイト 「ふるさと納税のしくみ」
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
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