「健康増進型保険」とは?その特徴やメリット、デメリット
ファイナンシャルフィールド / 2021年10月23日 23時30分
昨今の健康志向の高まりを受けて、「健康増進型保険」というカテゴリーの商品が注目を集めています。ただし、「健康増進型保険」という単独の保険商品ということではなく、多くの場合は、医療保険や収入保障保険などの生命保険に特約として付帯されるケースがほとんどです。 ここでは、「健康増進型保険」の特徴やそのメリット、デメリットについて確認してみたいと思います。
健康増進型保険の特徴
健康増進型保険とは、契約時の健康状態に応じて、その後の健康診断の結果や健康増進への取り組みにより、保険料が割引される保険のことをいいます。保険会社によって内容には違いがあり、保険料の割引ではなく、還付金を受け取ることができる商品もあります。
契約後には、一定期間ごとに健康状態(健康診断の結果など)を確認し、その結果によって、保険料の割引適用などについて再審査される仕組みとなっています。
保険会社によっては、健康増進に向けた日々の取り組みや健康状態についての情報を収集することを目的に、ウエアラブル端末を貸し出し、例えば1日当たりの平均歩数が一定の数値以上であれば還付金が支給されるという商品もあります。
また、肥満度を表す指標として用いられる指数であるBMIや血圧などの健康診断結果を評価し、その結果が改善されるとキャッシュバックを受け取れる保険のほか、非喫煙者(ノンスモーカー)や禁煙達成者(一定期間以上、喫煙していない方)に対する割引などもあります。
健康増進型保険が増えてきた背景
ここ数年で、こうした健康増進型保険の広告やテレビCMなどを目にする機会が増えてきました。その背景として、日本の高齢化や長寿命化に伴う課題の1つとなっている「平均寿命と健康寿命の差」の問題が挙げられます。
健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことで、簡単にいえば、健康でいられる期間ということです。平均寿命から健康寿命を差し引いた後の期間は入院や介護の必要性が高まるなど、医療費や介護費の支出が増えることが想定されます。
「平均寿命と健康寿命の差」は、男女差や個人差はありますが、おおむね平均で9~12年程度といわれています。その対策として、日本でも健康寿命を延ばすための取り組みが始まっており、流れを受ける形で生命保険業界もさまざまな保険商品を提供することとなっています。
さらに、スマートフォンやウエアラブル端末の普及、アプリの機能進化によって、従来よりも正確、かつ簡単に契約者の健康状態を数値化できるようになったことも、健康増進型保険が増加している要因の1つといえるでしょう。
健康増進型保険のメリット、デメリット
健康増進型保険の最大のメリットは、保険会社が設定する一定の健康基準を満たすことで保険料の割引や還付金など、直接的な恩恵を受けることができることでしょう。
また、一定期間ごとの健康増進に向けた自身の取り組みが、はっきりとした結果として評価されるため、目標をクリアするという達成感を得ることもできます。
前述したように一部の保険では、一定期間で喫煙が行われなかったことで保険料が割引となる商品もあるため、これまで何度か禁煙にチャレンジしたが長続きできなかった方が、保険の契約をきっかけとして禁煙を成功させたという事例もあるようです。
このように、保険料の割引などの直接的なメリットを契機として、健康そのものに対する意識が自然と高まることも健康増進型保険の利点といえるでしょう。
デメリットとしては、一定期間ごとの健康状態の結果が悪化してしまった場合には、保険料の割引が適用されず、逆に保険料が増えてしまうケースもあり得ることです。
そもそも健康状態が良くない方や、不慮の事故や病気などで健康増進の取り組みが全くできなくなったような場合にも、この保険の恩恵を受けることは難しいといえます。
また、健康増進型保険は元々の保険料が高く設定されていることがあります。その場合、たとえ保険料の割引が適用されても、他の保険と比べて保険料にそれほどの差が生じないケースもあります。
保険商品の選定の際には、健康増進による割引のみに惑わされることなく、主契約の保険内容を含めて総合的に判断することが重要です。
まとめ
最近では、企業においても禁煙やダイエットが奨励されるなど、独自の取り組みを始めているケースもあるようです。
健康増進型保険には、上記で説明したようなデメリットや注意点もありますが、保険の契約をスタートとして、これまで健康増進に向けた活動や取り組みに躊躇していた方や長続きできなかった方などが、さらなる一歩を踏み出すきっかけとなることもあるでしょう。
また、このような活動を無理なく続けていくためには少々のゲーム性があることも大切であり、具体的な成果が数値となって表れ、それに目標をクリアする達成感が加われば、健康増進への取り組みを継続できる可能性も高まるのではないでしょうか。
出典
厚生労働省 平均寿命と健康寿命をみる
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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