親の死後、タンスから遺言書が見つかった。勝手に開けてもいいの?
ファイナンシャルフィールド / 2021年10月25日 0時0分
親の死後、遺品を整理していたところ、タンスなどから遺言書が見つかることがあります。遺言書があれば当然、その後の相続については遺言書の内容に従うことになるのですが、この遺言書、勝手に開封してもよいものなのでしょうか。 遺言書が見つかった場合の取り扱いについて解説していきます。
遺言書を勝手に開封するのはNG
遺言書は見つかったとしても、勝手に開封してはならないものだと考えてください。当然、タンスなどから見つかった遺言書も勝手に開封してはいけません。なぜなら、遺言書は開封前に家庭裁判所に提出し、検認と呼ばれる手続きを経なければならないからです。
検認というのは遺言書の存在と内容を相続人に知らせ、遺言書の形状や署名、日付など検認日における内容を確認し、偽造や隠匿などを防止する手続きです。検認によって遺言書が本物なのか、誰かの手が加えられていないかなどが判断され、いわば遺言書という相続における重大な証拠を確認するための手続きといえます。
しかし、検認の手続きには例外があり、公証人が関わって作成・保管される公正証書遺言であれば、偽造などの恐れがないことから検認は不要とされています。
一方で、一般的によく利用されている自筆証書遺言や、公証人が関わるものの内容や形式について法的に有効かは判断されない秘密証書遺言の場合は、検認を受けなければなりません。
ちなみに遺言書についてはタンスのほか、金庫の中や仏壇の付近、貴重品の保管場所など、普段大切なものを置いていた場所にあることも多く、当然これらの場所で見つかった遺言書も検認が必要です。
勝手に開封された遺言書はどうなる?
もし万が一、検認を受けないまま遺言書を開封したり、遺言書に記載された内容を実行してしまうと、5万円以下の過料となる場合があります。
基本的に遺言書は勝手に開封されたとしても、その効力に影響はないのですが、相続人の間でもめ事が起きるなど相続争いの原因にもなります。遺言書がタンスなど公証役場以外で見つかった、あるいは誰かが保管していたという場合は、速やかに家庭裁判所で検認を受ける手続きを進めなければなりません。
検認はどこで受ける?
検認は家庭裁判所で行います。しかし、どこの家庭裁判所でもよいわけではありません。検認は遺言者、つまり亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で受ける必要があります。申立人となるのは遺言書を発見した人、または遺言書を保管していた人です。
遺言の検認に当たっては、検認を受ける遺言書のほか、申立人の印鑑や相続関係を示す戸籍謄本なども必要になります。特に、遺言者の死亡時までの全ての戸籍謄本など、取り寄せには思ったよりも時間や手間を要することとなる書類もあるため、検認の手続きを受ける際は時間的に余裕をもって提出書類の収集などの準備を進めたほうがいいでしょう。
詳細については家庭裁判所へ確認・相談するようにしてください。
検認を受ける前に遺言書を開けたくなったら?
遺言書を発見した場合、開封して内容を確認したりしないようにしてください。
遺言書がそこに存在する以上、遺言書の内容は既に決まっており、いまさら開封して確認したところで内容は変えられません。検認が必要なものだと考え、もし検認前に開けたくなっても、遺言書を守るため、不要な相続争いを起こさないためにも開封は思いとどめるようにしてください。
遺言書は開封前に検認を受けるのが原則
遺言書は公正証書遺言を除き、原則、家庭裁判所で検認を受ける必要があります。検認前に開封してしまうと過料を科せられてしまったり、相続争いが起こる原因にもなる場合があります。
遺言書は亡くなった方の意思が記載された、とても大切な書類です。遺言書が見つかったら、まずは検認の手続きを急ぎ、大切に取り扱うようにしてください。
執筆者:柘植輝
行政書士
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