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【おさらい】株式投資の指標の1つといわれる「配当性向」。数字が低いと魅力がないし、高すぎても心配なのは、どうして?

ファイナンシャルフィールド / 2021年10月26日 7時0分

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株式投資の判断材料として、いろいろな数字の指標が挙げられています。企業の決算や業績予想の数値から計算できるものですが、その数字が高いほうがよいとされるものもあれば、低いほうが高評価につながる場合もあります。   その中で「配当性向」は数字が低いと魅力がないし、高すぎても心配になるといわれます。どうしてでしょうか。

判断材料の指標は、いろいろあります

例えば、ある企業の業績等が次のような数値だったとします。(1株当たりの数値は、それぞれの総額を発行済株式数で割ったものです)


◇発行済株式数    200万株
◇当期末純資産      14億円 (1株当たり700円)
◇当期利益       8000万円 (1株当たり40円)
◇当期配当総額    2400万円 (1株当たり12円)
◇株価         600円

まず高いほうがよいとされる指標として、「配当利回り」があります。
 
1株当たり配当額を株価(正確には買ったときの株価)で割ったもので、上記の事例では2%(12円÷600円)です。もしも株価900円のときに買っていれば1.3%あまり、400円のときだったら3%と、買値しだいで大きく変動します。
 
低いほうが高評価といわれる指標の1つが「株価収益率=PER(Price Earnings Ratio)」。株価が1株当たり当期利益の何倍になるかの数値で、事例では15倍(600円÷40円)となります。
 
もう1つが「株価純資産倍率=PBR(Price Book-value Ratio)」です。株価が1株当たり純資産額の何倍になるかの数値で、事例では約0.86倍(600円÷700円)。1倍以下ならば、その企業の今の解散価値よりも割安に株が買えることを意味します。
 
ちなみに、今年2021年10月13日の東証1部全銘柄の連結・前期実績数値ベースで、配当利回り1.73%、PER21.13倍、PBR1.31倍となっています。市場や業種によっても数字が違いますが、それぞれの平均値よりも高いか安いかが1つの判断材料になりえます。
 

「配当性向」とは

では、「配当性向」とはどんな指標なのか。当期利益(純利益)のうちどのくらいを配当金として株主に還元しているかを表し、先述の事例では30%になります。総額(2400万円÷8000万円)、1株当たり(12円÷40円)、どちらでも同じです。
 
この数字が低いと、純利益があるのに株主に配当をあまり還元していない状況といえます。新興や成長段階の企業が事業の拡大や新規創出のために設備・人材などへの投資を配当よりも優先することはありえますが、株主還元に積極的ではないと評価されかねません。
 
逆に、高すぎるのも心配につながります。もしも100%を超えると、直前1年間のもうけ(純利益)を上回る配当をしているわけです。先述の純資産の一部、いわば過去のもうけのプール部分を取り崩せばできなくはありませんし、実際にそうしたケースは多数あります。しかし、いずれも一時的なもので長くは続けられません。
 
こうしたものですが、では何%くらいだったら適正なのか。先述の配当利回り、PER、PBRでもそうですが、景気やその業界の置かれた環境や動向によって常に変動していますので、一概にはいえないでしょう。
 
1つのやり方として、[30%未満10点、35%未満8点、40%未満5点、50%未満2点、50%以上0点]といった具合に10点満点で各企業をスコアリングしている事例を見たことがあります。
 
ただし、直近10年間という長期の数字で分析し、かつ、ほかの多数の指標や視点の中の1つとして取り入れたうえで、各企業の配当期待度を総合的に試算したものでした。
 
また、企業側でも配当性向の目標値を具体的に表明しているところはたくさんあります。こちらも幅がありますが、30%から50%くらいのところが多いようです。あまり少ないと株主還元に後ろ向き、多すぎても逆イメージといった一種の“相場観”が形成されているのかもしれません。
 

まとめ

ネット検索すれば、いろいろな企業の配当性向の実績値や目標値は簡単に調べることができます。また、各企業の配当性向の高低を集計したサイトも見つかります。
 
長期保有か、あるいは短期間で配当や売却益をねらうか。株式投資に対するそんなスタンスの違いによっても、配当性向という指標を重視するかどうかは考えが分かれます。
 
とはいえ、配当性向を少し長めの期間の中で眺めてみると、企業の成長性や安定性、それらを踏まえての株主還元への取組姿勢などが浮かび上がってきます。
 
あくまでも株式投資のいろいろな判断材料の1つとしてとらえるべきですが、両極端を避けながらほどよい幅の中で考えてみる視点が役に立つケースも少なくないでしょう。
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士

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