会社員でもできる節税対策。給料の「手取り」を増やす3つの控除
ファイナンシャルフィールド / 2021年10月27日 12時30分
会社員の場合、節税はなかなか難しいのではと思っている方もいらっしゃるかもしれません。 そこで会社員でもできる節税対策の中から、一度手続きをすれば、対象となる間はずっと手取り給料を増やせる方法を3つご紹介します。
「控除」を増やして節税
会社員の場合、毎月の給料から所得税、住民税が源泉徴収されているため、税金の計算方法に触れる機会は少ないかもしれません。年末に源泉徴収票を受け取っても、見方がよく分からないという方も多いでしょう。
所得税や住民税の額は、収入から「控除」という非課税の枠を引き、残った課税所得額に定められた税率をかけて算出されます。
控除には、給与所得控除、社会保険料控除、扶養控除、生命保険料控除、寄付金控除などいろいろな種類があるので、控除制度をうまく利用し、控除額を増やせば、節税ができて手取り収入が増えることになるのです。
(1) 扶養控除
子どもが16歳になると、扶養控除の対象となります。その際、共働き夫婦なら年収が高いほうが扶養控除を受ければ、控除額が多くなります。特に子どもが大学生(19歳以上23歳未満)の期間は、控除額が63万円なので節税効果が大きくなるでしょう。
ただし、アルバイトで年収が103万円を超えると扶養控除の対象から外れてしまうので、注意してください。
また、親が年金生活であれば税務上の扶養に入れられるかもしれません。扶養に入れるには「生計を一」にしていることが要件ですが、同居の場合はもちろん、別居の場合も定期的な仕送りで生活を支えていれば認められるでしょう。自分の親だけでなく、配偶者の親も対象となります。
ただし、親の収入に制限があり、例えば収入が年金のみの場合、年158万円以下でなければ対象となりません。もしも親が介護状態であれば、障害者控除を併せて使える可能性もあるので、対象となりそうな方は検討してみてはいかがでしょうか。
(2) iDeCoを始める(社会保険料控除)
老後のために貯蓄をしたいなら、iDeCoで積み立てれば掛け金が全額社会保険料控除の対象です。iDeCoなら、運用で増えた部分も非課税となるうえ、60歳以降に積み立てたお金を受け取るときも、退職金控除や年金控除の対象となるので、大きな節税効果を得られる可能性があります。
ただし、積立金は60歳になるまで引き出せないので、無理のない積み立て計画を立てましょう。また、退職金や年金が多い人は受取時に課税されることもあるので、注意が必要です。
なお、iDeCoの掛け金の限度額は勤務先の会社の年金制度によって異なります。会社の確定拠出年金制度が充実している場合など、iDeCoを利用できないケースもありますので、勤務先に利用できるか問い合わせてみてください。
iDeCoとともに、税制メリットがある制度として挙げられるのがNISA・つみたてNISAです。NISA・つみたてNISAも運用益は非課税ですが、社会保険料控除の対象とはならない点で区別が必要です。
ただ、勤務先に関係なく利用できて、必要なときにいつでも解約できますし、老後資金だけでなく、教育資金や住宅取得資金など、さまざまな目的に利用できるのが大きなメリットです。
(3) 住宅ローン控除
現在、賃貸の家に住んでいる人は、住宅ローンを借りてマイホームを購入すれば、原則として10年間は住宅ローン控除の対象となり、毎年末のローン残高の1%(限度額あり)が戻ってきます。
住宅ローン控除は扶養控除や社会保険料控除と違って税額控除ですので、控除額は収入から引くのではなく、所得税や住民税の金額から引かれるので、節税効果が大きくなります。共働き夫婦の場合、ペアローンを組めば2人がそれぞれ借入額に応じて控除を受けることができます。
住宅ローン控除の利用を前提に住宅購入プランを立てるときは、購入物件が住宅ローン控除の対象となるかどうかも確認しましょう。また、控除は自分の所得税・住民税額を超えて受けることはできません。
例えば計算上の控除額が40万円でも、自分の所得税・住民税額が20万円であれば、実際の控除額は20万円となってしまうので、注意が必要です。
節税で増えた手取りをどう使う?
会社員の場合、基本的に年末調整で税額が調整されます。住宅ローン控除も初年度は確定申告で行いますが、2年目からは年末調整で受けられます。
節税効果を実感として感じられないので、うっかりするといつの間にか使って消えてしまうかもしれません。控除を活用して増えた手取り額は源泉徴収票を受け取ったときに確認し、目的を決めて貯蓄したり、使ったりするようにしましょう。
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者
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