成年年齢18歳はいつから? 変わること、変わらないこと
ファイナンシャルフィールド / 2021年11月8日 0時10分
民法の改正によって、成年年齢が20歳から18歳に変わることは、多くの方がすでにご承知かと思います。それでは、その変更はいつからでしょうか? 答えは、2022年4月1日からです。約140年間、20歳とされていた成年年齢の変更によって、変わること、変わらないことについて、あらためて整理してみたいと思います。
2022年4月から成年年齢が18歳に
わが国では、明治時代から民法で成年年齢を20歳とすることが定められてきました。このたびの民法改正で、約140年間続いた成年年齢が20歳から18歳に変更となります。
具体的には、2022年4月1日時点で、19歳(2002年4月2日~2003年4月1日生まれ)の方と18歳(2003年4月2日~2004年4月1日生まれ)の方は成人に達します。また、2004年4月2日以降の生まれの方は、18歳の誕生日を迎えた時点で成人となります。
民法の改正に先立ち、2015年(平成27年)には公職選挙法の改正により、選挙権年齢が満18歳に引き下げられています(2016年6月19日施行)。今回の成年年齢の変更によって、選挙権年齢と成年年齢がいずれも18歳となります。
成年になると変わること
「成年者」の反対は、当然ながら「未成年者」です。未成年者は民法で制限行為能力者と定められ、さまざまな制限が設けられています。
未成年者の行う法律行為は、法定代理人が代理して行うか、未成年者が法定代理人の同意を得て行う必要があります。もし、これに反して行った法律行為は、原則取り消すことができるとされています。ここでいう法定代理人とは、通常は親権者(父母など)となります。
2022年4月以降、18歳に達した成年者は、親権者の同意なしに1人で法律行為ができるようになります。
身近な例でいえば、アパートやマンションなどの賃貸借契約を締結すること、クレジットカードを作ること、高額のため一括では購入できない商品などをローンを組んで購入することなどの行為が、一定の条件の下、自分の意思で行えるようになります。
当然ながら、これまでは親の同意なしに未成年者が1人で勝手に行った契約は、いったん契約してしまったものでも一定の要件で取り消しできましたが、成年者による契約の場合には、原則取り消すことができなくなります。
その他の変わること、変わらないこと
2022年4月以降も20歳にならないとできないものとして、飲酒および喫煙のほか、競馬、競輪、競艇といった公営ギャンブルの投票券の購入、養子を迎えることなどは、これまでと変わらずに年齢制限は20歳以上です。
これらについては、健康面への影響や青少年の保護などの観点を考慮し、現状のままとなっています。
また、成年年齢とは直接関係しませんが、同じく民法改正によって、2022年4月から女性が結婚できる年齢(婚姻開始年齢)が現行の16歳から18歳に引き上げられます。これにより男女の別なく、婚姻開始年齢は18歳に統一されることになります。
成年者のトラブル防止に向けて
成年年齢が18歳に引き下げられるということは、早い人では高校在学中に成年者となります。
自分の意思で法律行為(契約)ができるという、ある種、自由を獲得したという思いを持つ方もいるかもしれませんが、必ず留意すべきなのは、自由という権利を得たその代償として、それと同じ、あるいはそれ以上の責任が生じるということを自覚しなくてはなりません。
最近は「〇〇詐欺」などの新たな犯罪が次から次へと横行する時代です。また、インターネットやSNSから入手した情報を、信ぴょう性について確認することなく、そのまま信じ込んでしまうことも非常に危険です。
2022年4月以降は、おそらく新成人をターゲットとした詐欺犯罪などの件数も増加してくることでしょう。
まとめ
未成年者が成年者になるということは、ある意味では、これまで法律の下に保護されていた制限が取り払われ、無防備の状態となるということです。社会経験がほとんどなく、知識にも乏しい状態で安易な契約を行うことで、後々トラブルとなるケースも想定されます。
社会全体として、18歳から成年となる方に対する犯罪行為を未然に防ぐ取り組みも重要ですが、各個人が成年者としての自覚を持って対処することが最も大事でしょう。
また、信頼して相談できる人は誰なのか、いざというときの公的な相談窓口などを確認しておくことも大切だと思います。
出典
政府広報オンライン 18歳から“大人”に!成年年齢引き下げで変わること、変わらないこと。
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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