夫婦で20万の年金を受給するためには、平均年収がいくら必要?
ファイナンシャルフィールド / 2021年11月19日 12時10分
![夫婦で20万の年金を受給するためには、平均年収がいくら必要?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_121318_0-small.jpg)
老後の資金について具体的にイメージしづらく、足りるのだろうかと漠然とした不安を抱いている人もいるでしょう。夫婦で受け取る年金額は、加入している年金の種類や加入年数、年収などに左右されます。 ここでは、現役時代の年収と年金額について具体的にイメージするために、夫婦2人で20万円の年金を受給するために必要な年収を試算します。ぜひ、将来もらえる年金額について考えるきっかけにしてください。
夫婦二人の標準的な年金受給額は?
日本年金機構は、令和3年度4月分からの年金月額をもとにした夫婦2人の標準的な年金受給額を、22万496円と公表しています。この数字は、次の条件下での給付水準です。
・夫婦いずれかの老齢厚生年金と満額の老齢基礎年金(国民年金)×2人分
・平均的な収入(賞与を含めた平均標準報酬43.9万円/月額)で40年間就業
ちなみに、厚生労働省「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平均年金月額は次のとおりです。
・老齢厚生年金⇒全体:14万4268円、男性:16万4770円、女性:10万3159円(いずれも基礎年金月額を含む)
・老齢基礎年金⇒全体:5万5946円、男性:5万8866円、女性:5万3699円
つまり、夫婦両方が平均的な年金額を受給している場合の年金月額の合計は次のようになります。
・夫婦ともに老齢厚生年金:26万7929円
・妻が老齢基礎年金のみ:21万8469円
・両方が老齢基礎年金のみ:11万2565円
20万円の年金をもらうのに夫の平均年収はいくら必要?
夫婦で月額20万円の年金を受け取るために必要な年収はいくらでしょうか。ここでは、次の条件に当てはまる夫婦に絞って考えます。
・夫は老齢厚生年金、妻は満額の老齢基礎年金を受給する見込み
・夫の厚生年金被保険者期間は40年(猶予期間等なし)の見込み
・夫の生年月日は昭和56年4月2日
・受給開始年齢は65歳
この場合、妻がもらう満額の老齢基礎年金の月額は令和3年度で6万5075円です。したがって、2人の年金が合わせて20万円になるには、夫の老齢厚生年金は、基礎年金を含めて月額約13万5000円、年額約162万円が必要です。
老齢厚生年金の受給額は基本的に、平均標準報酬額と生年月日に応じた率、被保険者期間の月数から求められます。上で設定した条件のもとで夫が約13万5000円の老齢厚生年金を受給するには、370~380万円の平均年収が必要です。
また、平均年収が380万円の場合の年間の年金受給額の内訳は、次のようになる見込みです。
・老齢厚生年金の報酬比例部分:84万円
・老齢基礎年金:80万円
ただしこれはあくまでも令和3年度時点の制度に即して概算した金額なので、必ずこの金額がもらえるわけではありません。
年金額を増やせる「任意加入」とは?
国民年金保険料を納められなかった期間があったり、未加入の期間があったりすると、受給できる年金額が少なくなります。そのようなケースを救済する制度の一つが「国民年金任意加入制度」です。
任意加入制度では、60歳から65歳になるまでの5年間に、最大で納付月数が480月(40年間)になるまで国民年金保険料を納めると、65歳から受給する老齢基礎年金の金額を底上げできます。
制度を利用できるのは、次の条件を満たす人です。
・日本国内に住所がある60~65歳未満の人
・老齢基礎年金を繰上げ受給していない人
・20~60歳未満の保険料納付月数が480 月に満たない人
・日本国籍を有しない場合、在留資格が医療滞在や観光目的の長期滞在ではない人
※年金受給資格期間を満たしていない65~70歳未満の人も任意加入可能
任意加入制度を利用した場合、60ヶ月保険料を納めると、99万6600円の納付額に対して、年金の年額が9万7613円増加します(令和3年度の保険料の場合)。
65歳から年金の受給を開始したとして、75歳を過ぎたあたりで、任意加入の納付額よりも年金の増加額が大きくなる計算です。任意加入を希望する場合は、住んでいる自治体の市区町村役場の担当窓口、または管轄の年金事務所に問い合わせましょう。
年金を十分にもらうにはできるだけ長く保険料を納めることが大切
厚生年金は平均年収が高く、加入期間が長いほど受給額が増加する仕組みです。国民年金も、加入期間が長いほど受給額が多くなります。十分な年金額を受給するには、できるだけ長く働くことや、夫婦ともに未納や免除などで支払っていない期間がないようにすることが大切です。
現在の納付状況をしっかり把握して、抜けや漏れがある場合は、その分貯蓄したり任意加入制度を利用したりするなど、対策を考えましょう。
【出典】
日本年金機構 令和3年4月から年金額等について
令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 (P29、30)
日本年金機構 合算対象期間
社会保険労務士PSRnetwork 簡易年金試算
日本年金機構 老齢厚生年金
日本年金機構 あなたも国民年金を増やしませんか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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