孫への生存贈与ってどうやればよいの? 注意点を解説
ファイナンシャルフィールド / 2021年11月22日 9時40分
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相続対策の1つとして、孫への生前贈与の利用が注目されています。孫への生前贈与には、相続対策以外にも非課税制度などさまざまな優遇制度があります。今回は孫への生前贈与の方法と、行う際の注意点について解説します。
孫への生前贈与の方法とは?
孫に対する生前贈与については、以下に挙げる方法で行うことが可能です。
■暦年贈与
暦年贈与とは、年間110万円までの贈与については課税対象外とするものです。したがって、毎年110万円以内の範囲で贈与を行うことで孫への財産移転、さらには相続時の財産を減らす効果もあります。
■相続時精算課税制度
相続時精算課税の制度とは、贈与する側が60歳以上で、孫が20歳以上の場合の生前贈与において選択できる制度です。この制度を利用することで、合計2500万円まで非課税で贈与できます。
ただし、この制度を利用する際には、贈与を受けた側が贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に「相続時精算課税選択届出書」を受贈者の戸籍の謄本などの一定の書類とともに贈与税の申告書に添付して管轄の税務署に提出する必要があります。また、一度この制度を利用した場合は、暦年贈与との併用ができなくなりますので注意が必要です。
■資金贈与の非課税制度
祖父母から孫に対する資金贈与の非課税制度を利用することも可能です。対象となる資金には以下のものがあります。
1.住宅取得資金:住宅用家屋の新築等に関わる契約の締結日が令和2年4月1日~令和3年12月31日の間であって、住宅用の家屋の新築等に関わる対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合、その住宅が省エネ住宅の場合は1500万円、省エネ住宅以外の場合は1000万円までが非課税となります。
ただし、孫の年齢が贈与を受けた年の1月1日に20歳以上であることと、その年の孫の合計所得金額が2000万円以下であるという要件を満たす必要があります。
2.教育資金:孫が本契約を締結する日において30歳未満である場合、教育資金として贈与を行った場合、1500万円までが非課税となります。この制度を利用する際には、金融機関に届け出を行い、所定の用紙を提出する必要があります。また、専用の口座の開設および、資金使途についても明確にしなくてはなりません。
3.結婚・子育て資金:孫の年齢が本契約を締結する日において20歳以上50歳未満の間に結婚資金や子育て資金の名目で資金を贈与した場合、総額1000万円まで(結婚に際して支払う金銭は300万円)が非課税となる制度です。この制度も教育資金の非課税制度と同様に、金融機関を通じて税務署に所定の届け出を行う必要があります。専用の口座開設および資金使途の明確化についても同様です。
孫への生前贈与における注意点
孫に対する生前贈与の方法はさまざまですが、それぞれ利用の際には注意すべき点があります。
■暦年贈与
毎年110万円までであれば非課税となる暦年贈与ですが、これを毎年続けていると定期贈与とみなされ、課税対象となる可能性があります。
■相続時精算課税制度
相続時精算課税制度は、贈与時に贈与税が課税されない代わりに、相続発生時にさかのぼって相続税の課税対象となることを忘れないようにしましょう。
■資金贈与の非課税制度
さまざまな資金贈与の非課税制度においては、きちんと要件を満たす必要があります。特に贈与の時期や孫の年齢、さらには孫の合計所得金額などには注意が必要です。
さらに、教育資金や結婚・子育て資金の贈与については、契約中に自分(贈与者)が亡くなった場合は、孫に対する相続の対象となり、相続税が課税されます。さらに、その対象が孫であることから、相続税が2割加算となる点にも注意しておきましょう。
贈与契約書の作成を忘れない
孫に対して生前贈与を行う際には、「贈与契約書」をその都度作成するようにしましょう。孫への贈与については税務調査でも追及される点ですので、その際の証拠となるようにきちんと契約書を作成し、保管しておくことが大切です。
まとめ
通常、死亡する3年前の生前贈与については相続税の課税対象ですが、孫の場合は法定相続人ではないため、対象外となるというメリットがあります。ただし、この際も法定相続人ではないという要件を満たしていることが大切です。
例えば、子ども(孫にとっての親)が先に亡くなってしまい、代襲相続が発生した場合は、孫は法定相続人となるため相続税の課税対象になります。生前贈与は、相続時の課税対象額を圧縮するだけでなく、受贈側が資金を必要な時に支援できるという点からもメリットがある方法ですが、どのような方法で生前贈与を行うのか、そして行う際にはどのような点に注意する必要があるのかをきちんと把握しておきましょう。
いざ、相続の際に相続税が課税されると、孫は自分の資産から相続税を払う必要があります。そういった意味では、相続対策の一環として利用する際には納税資金の確保についても考慮する必要があるといえるでしょう。
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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