ゴルディロックス相場とテーパリング
ファイナンシャルフィールド / 2021年11月22日 13時0分
![ゴルディロックス相場とテーパリング](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_121731_0-small.jpg)
ゴルディロックス相場とテーパリングという言葉を、耳にしたことがあるかもしれません。 ゴルディロックスとは経済用語で、過熱しすぎでなく、かといって閑散でもない適度な相場のことをいいます。「適温相場」ともいいます。 英国の有名な童話「3匹のくま」に出てくる「熱くもなく冷たくもないスープ」を例えたもので、主人公の少女の名前「Goldilocks」に由来しています。 テーパリングとは、量的金融緩和政策における資産買い入れ額の縮小を意味する言葉です。テーパリングは、英語でtaperingと表記し、taperは先細りを意味する単語となります。出口戦略の1つと考えられています。 直近では、コロナで経済が落ち込む中、主要国を中心に経済の下支え支援策として実施されており、特に米国では国債や住宅ローン担保証券(MBS)などリスク性のある金融資産を中央銀行が直接買い入れ、量的緩和策(QE:Quantitative Easing)を行うことで、市中への資金供給を増やし景気を刺激することを行ってきました。 しかし、経済の回復とともに、この量的緩和策による金融資産の買い入れ額を順次減らしていくことを指しており、雇用統計などの指標の改善に一定の成果が上がった時点で、量的緩和策における資産買い入れ額を縮小していくことを示す用語として使われます。
ゴルディロックス相場
過熱しすぎでなく、かといって閑散でもない適度な相場とはどのような相場のことでしょう?
一般的には、景気が過熱も失速もせず、加えて緩やかな経済成長と長期金利の低位安定が続くほどよい状態にある相場のことを指します。
現在、ゴルディロックス相場の状況にあると筆者は思いますが、それがいつまで続くかは誰にもわからないところだと思います。
テーパリング
テーパリングとは、金融緩和策における出口戦略の1つですが、米国においては、国内の雇用統計などの指標の改善や中央銀行が定めるインフレ目標に対して、一定の成果が上がった時点で量的緩和策を縮小していくことが1つの目安となっています。
テーパリングが行われるとどのような影響があるのか? 量的緩和によって市場に流入する資金が減っていくことになります。急激なテーパリングは市場に大きなインパクトを与えるため、米国の中央銀行は慎重にそのタイミングと規模を図っているところだといわれています。
2013年5月、バーナンキFRB議長(当時)が予期せぬタイミングでテーパリングを示唆する発言をしたことで、長期金利が1.6%台から3%台に大きく上昇し、これを受けて株価も下落しました。S&P500もバーナンキFRB議長が発言をする前日の5月22日の終値1655.35から6月24日の安値1560.33と5.7%下落しました。その後、2013年12月にテーパリングが開始されると、株価は再び上昇局面になりました。
これは「バーナンキショック」といわれ、まだ実施されていないテーパリングが示唆されたことにより長期金利や株価に大きな影響を与えたことは、今でも市場関係者の間で注目すべき出来事として語られています。しかし、実際にテーパリングが実施されると再度株価が上昇局面になったことは注目すべき点でもあると考えます。
このようにテーパリングが市場に与える影響は大きいため、市場関係者はその行方を観察し、どのようなタイミングがいいのか、市場はそれを織り込んでいるのかというような意見を述べているのです。
ゴルディロックス相場とテーパリング
ゴルディロックス相場とテーパリングについて、上記のように記載しましたが、2つはどのような関係にあるのか。ゴルディロックス相場が続いていくなかで、出口戦略といわれるテーパリングである量的緩和縮小により金融引き締めが行われると、市場のお金が減少し、このゴルディロックス相場は終焉(しゅうえん)を迎える可能性があるということになります。
以上の点から投資をされる方は、テーパリングという言葉に少し意識を傾けて、注意をしていただきたいと思います。
執筆者:高畑智子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者
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