年収500万円と年収800万円、年金受給額は毎月約4.1万円しか変わらない? 一体どうして?
ファイナンシャルフィールド / 2021年11月24日 23時30分
将来の年金額を調べていて、「年収500万円と800万円で受給額の違いはどれくらいあるのだろう」「受給額にあまり差がないように感じるけどどうしてだろう」など疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。 老後資金の柱とも言える年金の仕組みについて理解しておくことは大切です。 ここでは、年金受給額の計算方法や、年収500万円と800万円の受給額の違いについて解説します。
厚生年金は年収が高いほど受給額が多くなる
厚生年金は、年収が高いほど受給額が多くなる仕組みです。厚生年金の受給額は、4月〜6月の給与や手当などの支給額平均に基づいて保険料の額が決まるからです。収入が高いほど厚生年金受給額も多く、低い場合は少なくなる可能性が高くなります。
年金受給額のシミュレーション方法
年金受給額のシミュレーションをするには「自分で計算する」「シミュレーションサイトを使う」などの方法があります。シミュレーションサイトを使うと簡単に年金額を算出できますが、計算方法も知っておくと年金額の仕組みについて理解が深まります。
ここでは、国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)の受給額の計算方法について見ていきましょう。
国民年金(老齢基礎年金)
国民年金(老齢基礎年金)の受給額は、以下の方法で計算できます。
・年金額(満額)×保険料納付済月数÷480
令和3年度の老齢基礎年金の満額で78万900円(月額6万5075円)です。保険料納付済月数は、定額保険料を納めた月数になります。保険料免除期間がある場合は、以下の計算を行い、保険料納付済月数と合算します。
免除・納付内容 | 計算式 |
---|---|
全額免除 | 免除月数×1/2 |
4分の1納付 | 納付月数×5/8 |
半額納付 | 納付月数×3/4 |
4分の3納付 | 納付月数×7/8 |
厚生年金(老齢厚生年金)
65歳以降で厚生年金を受け取る場合の受給額の計算方法は、次のとおりです。
・厚生年金受給額=報酬比例年金額+経過的加算+加給年金額
年金額の大部分が報酬比例年金額で決まります。報酬比例年金額は、過去の報酬や年金加入期間に応じて算出され、その計算方法は以下のとおりです。
平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月以前の加入期間の月数
(平均標準報酬月額=平成15年3月以前の加入期間中の標準報酬月額の総額を平成15年3月以前の加入期間で割った額)
平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以後の加入期間の月数
(平均標準報酬額=平成15年4月以後の加入期間中の標準報酬月額と標準賞与額の総額を平成15年4月以後の加入期間で割った額)
次に、特別支給を受けていた方が65歳に達した場合に支給される経過的加算の計算は以下の方法で行います。
・定額部分に相当する額−厚生年金保険に加入していた期間について受け取れる老齢基礎年金額
※定額部分は「1628円 ×1.000×被保険者期間の月数」
また、加給年金は、厚生年金加入期間が20年以上ある方が65歳になったときに、生計を維持されている配偶者や子どもがいる場合に加算される年金のことです。例えば、子どもが1人いて加給年金の条件を満たす場合、加給年金額は22万4700円です。
このような方法で厚生年金の受給額を計算できます。
年収500万円の年金受給額
では、年収500万円の場合、年金受給額はいくらになるでしょうか。三井住友銀行「年金試算シミュレーション」を用いて計算してみます。
・年金受給額:14.7万円/月
(厚生年金:8.3万円/月)
(国民年金:6.4万円/月)
※現在の年齢は40歳、23歳〜60歳まで就業し年収500万円、年金受取開始時期は65歳、すべて保険料納付をした場合
※独身で配偶者・子どもがいない場合
※概算のため実際の年金額とは異なる場合があります。
上記のとおり、年収500万円の年金受給額は厚生年金と国民年金を合わせて14.7万円/月です。
年収800万円の年金受給額
次に、年収800万円の場合の年金受給額を、三井住友銀行「年金試算シミュレーション」で計算してみます。
・年金受給額:18.8万円/月
(厚生年金:12.4万円/月)
(国民年金:6.4万円/月)
※現在の年齢は40歳、23歳〜60まで就業し年収800万円、年金受取開始時期は65歳、すべて保険料納付をした場合
※独身で配偶者・子どもがいない場合
※概算のため実際の年金額とは異なる場合があります。
上記のとおり、年収800万円の年金受給額は厚生年金と国民年金を合わせて18.8万円/月です。年収500万円の受給額より毎月4.1万円高くなります。
国民年金では差がつかないため年金額にそれほど大きな開きはない
年収500万円の年金受給額は14.7万円/月で、年収800万円の年金受給額は18.8万円/月、その差額は4.1万円/月です。年収には300万円の差があるにもかかわらず、年金額にはそれほど大きな開きはないように見えます。
厚生年金は過去の収入で年金受給額が変わりますが、国民年金は収入に関係なく保険料納付済月数などで受給額が変わる仕組みです。40年間保険料を全額納めていれば、国民年金の受給額は誰でも同じになります。
同じ加入状況であれば年収が高いほうが受給額は多くなりますが、国民年金の額で差がつかないため、それほど大きな差は開きません。自分の年金額はどれくらいになるのか気になった方は、シミュレーションなどを使ってぜひ計算してみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
この記事に関連するニュース
-
「年収450万円」の場合、老後は年金だけでは暮らせない!? 何歳まで働けば「年金だけ」で暮らせるの? 必要な期間を試算
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月10日 4時30分
-
60歳から「月10万円」を稼ぐと、年金額はどれだけ増える? 受給額について“注意点”も踏まえ解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月30日 2時55分
-
夫婦で「月30万円」の年金を目指していますが、年収いくら稼ぐ必要がありますか? 専業主婦だと難しいでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月30日 2時20分
-
夫より私の方が、年収が高いです。現時点在で100万円ほど違うのですが、将来受け取れる年金はどれくらい変わりますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月24日 22時30分
-
夫は「年収1000万円」ですが、妻の私は専業主婦なので将来の年金は「6万円」程度です。少ない金額ですが、夫の年金もあわせれば問題なく生活できるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月16日 2時20分
ランキング
-
1【注意】母の日に贈ってはいけない「カーネーション」の色は? NGカラーは3色あった!
オールアバウト / 2024年5月10日 21時15分
-
2すき家、14日から復活する“人気メニュー”が話題に 「復刻まじか」「通常メニューにして…」
Sirabee / 2024年5月9日 4時0分
-
3市販薬の箱に書かれた「第一類」「第二類」「医薬部外品」ってどういう意味? 薬剤師が購入時の注意点も解説
オトナンサー / 2024年5月10日 20時50分
-
4“激安焼肉食べ放題店”の元店員が暴露。「客に“得させないようにする”3つのワナ」
日刊SPA! / 2024年5月8日 15時54分
-
5今年結婚予定の30代の彼は貯金「0円」…30代で「貯金がない人」ってどれくらいいるの?
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月9日 4時20分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください