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年金記録に誤りがあるケースとは? もし誤りを発見したらどうすればいい?

ファイナンシャルフィールド / 2021年12月1日 23時10分

年金記録に誤りがあるケースとは? もし誤りを発見したらどうすればいい?

誕生月になると届く「ねんきん定期便」。まれに年金記録に誤りがあり、将来の年金受給に影響をおよぼす可能性があります。   誤りが起こりうるケースとはどのようなものなのか、将来どのような事態が起きるのか、誤りを発見したらどのように対処すべきか、詳しく解説します。

ねんきん定期便でわかること

ねんきん定期便は、年齢によって記載内容が異なります。50歳以上になると、今後の年金保険料納付もシミュレーションした年金見込額が記載されています。より実際に近い年金額を理解できるということです。
 
ただ、過去の「すべての」保険料納付記録が確認できるのは、35歳、45歳、59歳の節目の年に送付されるねんきん定期便になります。この時は、封書で届きます。概要をまとめると表1のとおりです(※1.)。
 
【表1】


 
この節目のねんきん定期便はとりわけ大事です。ここで、記憶にない未納期間や、厚生年金の加入日・喪失日が事実と異ならないかなど、見逃さぬようしっかり目を通す必要があります。
 

記録に誤りがあるケースとは?

年金記録に誤りがある例としては、2007年に発覚した旧社会保険庁の「失われた年金記録」にあるような関係機関による記録漏れや、勤め先の事務処理ミスなどがあります。
 
「失われた年金記録」の記録訂正の結果、2021年6月時点で少なくとも約397万人もの年金額が増え、その生涯額は2.8兆円に上ります。また、同年8月現在、国民年金の紙台帳にある約3000万人分の記録と、コンピューターの記録が一致しない件数は約30万件あります。このうち、「本人にお知らせすることが可能なもの」は約55%であり、自ら確認しないと誤記録に気付けない方が多く存在することがわかります(※2.)。
 
具体的な例を見てみましょう。日本年金機構の資料には、年金記録の「訂正請求」が行われるケースが記載されています(※3.)。訂正請求とは、国の年金記録が事実と異なる場合に(個人の納付漏れを除く)、国に対して訂正を求めることを指します。
 
【表2】


 
勤め先で誤記録が生じる理由としては、転職(入社)の際の手続きミス、パートで社会保険料を徴収されていたのに納付されていなかったケース、60歳以降の再雇用の手続きの際に生じるミスなどがあります。また、民間企業から官公庁等への出向期間中、社会保険加入を一時的に出向先に移す手続きの前後で、年金加入の空白期間が生じる例もあります。心当たりはないでしょうか?
 
年金記録が誤ったままだと、自分の将来の老齢年金額が減ることはもちろん、万一の場合の障害年金の金額や受給要件としての保険料納付済期間に影響をおよぼします。また、遺族年金にも影響します。遺(のこ)された家族の生活に関係しますから、しっかり確認したいものです。
 
上記の事例以外にも、年金手帳が手元に2冊以上ある場合、「基礎年金番号」が同じなら問題ありませんが、もし違う番号の場合は要確認です。
 
節目の封書では「年金加入記録回答票」と「返信用封筒」が同封されているので、疑問に思った記録があれば遠慮なく確認しましょう(年金事務所が調査します。この段階では正式な訂正請求とはなりません)。
 
節目の定期便が届く年齢ではない場合は、ねんきんネットか、年金事務所への問い合わせで確認できます。
 

誤りを発見した時の対処

年金記録を訂正するには、前項で説明したとおり「訂正請求」の手続きを行います。
 

1. 訂正請求を行うために必要な書類

必要書類は次の表(※3.)に記載のものを用意します。4に挙げられている、訂正が認定されるための確証をどれだけ明らかに示せるかが決め手となります。
 
【表3】


 
明らかな確証がない場合は、当時の関係者に証言してもらうなどの協力を仰ぐことが必要となる場合もあります。
 

2.請求できる方

●年金加入者本人(過去に加入していた方を含む)
●本人が死亡している場合はその遺族(死亡者の未支給年金または遺族年金等を受給できる方)

 

3.請求対象期間

年金給付を受ける権利は、その支給事由が生じた日から5年を経過した時に時効で消滅します。
 
ただ、国や日本年金機構の事務処理誤りの場合などは、訂正請求に期限はありません。なお、訂正請求は手数料不要です。
 
これまで訂正請求した年金受給者の年金額の増額(年額)は、平均で1.4万円、最高で38.2万円になります(※2.)
 
まさか自分は……と思わず、毎年のねんきん定期便、特に節目の定期便は必ず確認することをお勧めします。
 
出典
(※1.)日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」
(※2.)日本年金機構「年金記録問題についてのこれまでの取組状況(主要データ)(令和3年10月報告)」
(※3.)日本年金機構「年金記録の訂正手続きのあらまし」
 
執筆者:伊藤秀雄
CFP(R)認定者、ファイナンシャルプランナー技能士1級、第1種証券外務員、終活アドバイザー協会会員、相続アドバイザー。

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