育児・介護休業法の改正により、育休が柔軟に取得可能になるってホント?
ファイナンシャルフィールド / 2021年12月7日 11時0分
2021年6月に育児・介護休業法が改正され、育児休業が男女ともに仕事と育児を両立できるよう柔軟に取得できるようになります。特に男性の育児休業取得を促すため、新たに創設された制度を中心に解説します。
育児・介護休業法とは?
育児・介護休業法とは、正式には「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といいます。育児または家族の介護を行う労働者が退職せずに雇用を継続しながら、希望に応じて仕事と育児等を両立できるようにする法律です。
今回の法改正では、子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設、育児休業を取得しやすい雇用環境整備および労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け、育児休業給付に関する所要の規定の整備等の措置を講ずることが盛り込まれています。
改正ポイントは3段階で施行
実際には2022年4月1日から順次3段階で施行されます。
・育児休業を取得しやすい雇用環境整備および妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
・有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
・男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設
・育児休業の分割取得
・育児休業の取得の状況の公表の義務付け
今回は2段階 2022年10月1日施行の男性の育児休業と分割取得にスポットをあてます。
産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
前段より、新たに創設される2022年10月1日施行の産後パパ育休(出生時育児休業)は、女性の産後休業期間に相当する子の出生後8週間以内に最長4週間を上限に取得できる制度です。
現行のパパ休暇(※1)に比べ、2回に分割して取得することが可能となり、短期間の育休を繰り返し利用できるようになります(図2例1、例2参照)。新しい産後パパ育休(出生時育児休業)の創設等に伴い、現行のパパ休暇は廃止されます。
(※1)パパ休暇とは
ママの出産後8週間以内にパパが育休を取得した場合には、特別な事情がなくても、再度、育休を取得できる制度(図1参照)
また、産後パパ育休(出生時育児休業)期間中、あらかじめ労使協定を締結している場合に、労働者と事業主の個別合意により、事前に調整した上で休業中に就業することが可能となります(就労可能日の上限あり)。
(出典:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」(※2))
育児休業の分割取得と1歳以降の延長時の夫婦交代も可能
育児休業の分割取得は、現行では分割不可となっていますが、法改正により男女とも2回まで取得が可能となります。前段の産後パパ育休(出生時育児休業)と育児休業の分割取得をあわせて利用すると、子が1歳に達する日までの間に最大4回に分けて育児休業を取得することが可能です(図2・例2参照)。
さらに保育園に入所できない等の理由により、1歳以降も育児休業を延長した場合、現行では育休開始日は1歳、1歳半の時点、つまり延長開始日の初日でしか夫婦の交代ができません。改正後は、開始日を柔軟化することで、各期間途中でも夫婦が交代して育休を取得できるようになります(図1・図2参照)。
まとめ
厚生労働省「2020年度雇用均等基本調査」によると、男性の育休取得率は12.65%と昨年と比べ増加しているものの、厚生労働省では男性の育休取得率を2025年には30%を目標に掲げ、ワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭の調和)の実現に取り組んでいます。
今回の法改正は、出産直後から育児に関わりたい男性が育児休暇を柔軟に取得できるように整備することにより、少子化問題やワーク・ライフ・バランス(の実現に向けて一歩踏み出したといえます。
事業主においても職場環境の改善が義務化されます。育児休業を取得しやすい雇用環境を整備することは、職場のイメージアップや人材確保につながるため、積極的な対応を期待したいです。
(※2)
厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」
(出典)
厚生労働省「育児・介護休業法について」
厚生労働省「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の概要(令和3年法律第58号、令和3年6月9日公布)
厚生労働省「「令和2年度雇用均等基本調査」結果を公表します 〜女性の管理職割合や育児休業取得率などに関する状況の公表〜」
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士
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