日経平均株価指数の上昇局面をエリオット波動理論で見た場合、どのようなシナリオが描けるか。
ファイナンシャルフィールド / 2021年12月13日 12時0分
前回は、エリオット波動理論における「衝撃波」の特徴やルールについて簡単に言及しました。投資初心者にとってはイメージしにくい点が多々あるかと思いますが、衝撃5波は、基本的には上昇波動であるということを押さえておくだけで十分のように感じています。 あくまでも波動の理解につなげるためにエリオット波動理論についてお伝えしているだけですので、詳しいところはあまり気にせず、ざっくりとしたイメージで捉えていただけると良いかもしれません。
衝撃波のイメージのおさらい
毎回確認していますが、取りあえず衝撃波について再度おさらいしておきます。
衝撃波は5つの波で構成されており、下の図の点線の左側の波のように「第I波」・「第II波」・「第III波」・「第IV波」・「第V波」といった波でカウントされていきます。
※筆者作成
衝撃波は、必ずしも正確な表現ではありませんが、簡単にいってしまうと上昇波です。第I波で上昇した後、第II波で下落、第III波で再び上昇後、第IV波で下落し、最後に第V波の上昇を遂げて一連の上昇局面が終わるという波をいいます。
日経平均株価指数で衝撃波を描いてみる
それでは、衝撃波が実際のチャートでどのように形作られているのか見てみましょう。
下のチャートは1965年から続く日経平均株価指数の推移ですが、2008年のリーマンショック後の底値を脱した後の上昇局面において衝撃波が形作られていると仮定しています。
○日経平均株価指数(日足)
※筆者作成
第I波、第II波、第III波と続き、コロナショックの底値を第IV波の終点と捉え、現在進行中の波を衝撃波の最終局面である第V波と位置づけてシナリオを描いています。
必ずしもこの波形取りが正しいというわけではなく、より大きなレベル(階層)でとらえた場合、このような波形取りにならなかったり、波形取りを仮説として想定していても、その後の波形によってはルール上、シナリオが打ち消されたりする場合があるため、あくまでも一例としてとらえてみてください。
あらためて、基本的なルールを以下で確認しておきます。
○第I波・第III波・第V波は「上昇波」である
○第II波・第IV波は「調整波(下落波)」である
○第III波は、第I波・第V波と比べ最も短い波にはならない
○第IV波の終点は第I波の終点を下回らない
○第II波が単純な波の場合、第IV波は複雑なパターンの波になる
○第V波は延長(エクステンション)することがある
その他に例外的なものもあるため、基本的なルールの下、先ほどのチャートでエリオット波動理論における衝撃波の捉え方を見ていきたいと思います。
まず「第I波・第III波・第V波は上昇波である」、「第II波・第IV波は調整波である」の2つの点については、チャート上に記した数字で確認すると分かりやすいかもしれません。
次に「第III波は、第I波・第V波と比べ最も短い波にはならない」ですが、上のチャートでは第III波を、取りあえず最も幅の長い波として捉えています。そして「第IV波の終点は第I波の終点を下回らない」に関しても、チャートに記してあるとおりです。
また、「第II波が単純な波の場合、第IV波は複雑なパターンの波になる」という点については、この逆の捉え方をしており、例外ルールとして「第II波が複雑な波の場合、第IV波は単純なパターンの波になる」という法則を適用させています。
最後に「第V波は延長(エクステンション)することがある」という点ですが、現在進行中の波が第V波であると捉え、(1)近々、第V波が完全に終了するか、(2)第V波において延長が発生するか、といった判断の分かれ目に位置しているというシナリオの下、波形取りをしています。
まとめ
エリオット波動理論は、実際のチャートに照らし合わせて解釈を試みると、慣れるまでかなりの混乱を来すように思います。なぜならば、波形取りにおいて「この場合はどうなんだ」といった解釈の違いが往々にしてあるからです。
先ほど見た日経平均株価指数のチャートでも、波が5つではなく、それよりも多く存在しているため、正確な波形取りは困難といえるでしょう。
しかし、あくまでもシナリオを描くために用いる理論であるため、複数のシナリオを描く上では、あえて異なる波形取りも想定しておくことで、臨機応変に対応できる可能性を保てるという長所があります。
個人的には、長期投資を行う上で使い勝手が良いと考えていますが、長期投資は短期投資の積み上げであるため、短期的な投資にふさわしいテクニカルツールも併用し、興味があれば、エリオット波動理論による波動理解につなげていただければと思います。
次回は、衝撃波のうち、第V波における上昇パターンについて見ていきたいと思います。
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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