満額より30%も少なくなる…それでも60歳で年金を受け取った方がいい人って?
ファイナンシャルフィールド / 2021年12月15日 21時10分
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国民年金(老齢基礎年金)が支給されるのは原則65歳からですが、それを待たずに繰り上げて受け取れることも可能です。希望すれば、60歳からでも老齢基礎年金は受け取れます。 ただし60歳で受け取った場合、支給額は満額よりも30%も少なくなってしまうので注意が必要です。 では、これだけ減額されるのにも関わらず、60歳で年金を受け取った方がいいのはいったいどんな人なのでしょうか。
年金を繰り上げて受け取る場合の減額率
老齢基礎年金は基本的に、65歳になった時点で支給が開始されます。65歳になるより前に受け取ることも可能ですが、その場合は請求時の年齢に応じて支給額が減額されてしまいます。減額率は、ひと月あたり0.5%です。
例えば64歳11ヶ月の時点で繰り上げ請求した場合、減額率は0.5%ですし、64歳10ヶ月なら1%です。また、64歳0ヶ月なら6%減額されることになります。繰り上げの請求は60歳からできますが、その場合の減額率は5年×12ヶ月×0.5%=30%です。日本年金機構によると、令和3年4月分(6月15日(火曜)支払分)らの年金額は6万5075円です。
これを基準として計算すると、64歳0ヶ月時点の支給額は6万1172円ですし、63歳0ヶ月時点で5万7267円、60歳0ヶ月時点では4万5554円となります。
30%というとさほどの差にはならないと考えてしまうかもしれませんが、60歳と65歳では2万円弱違ってく64歳0ヶ月時点の支給額は6万1172円ですし、63歳0ヶ月時点で5万7267円、60歳0ヶ月時点では4万5554円となります。
しかも一度減額されてしまうと、支給額は固定されたまま二度ともとには戻りません。60歳0ヶ月で繰り上げ請求した場合、支給額は4万5553円のままです。
年金は、トータルで考えるのが大事です。満額支給された状態と、30%減額された状態を比較したとき、総支給額は76歳8ヶ月の時点で両方とも約911万円とほぼ横並びとなります。そしてそれ以降は、満額支給された状態の方が多くなり、その差は開く一方です。年金の受け取り年齢を考える際、この76歳8ヶ月という分岐点はひとつの判断材料となるでしょう。
繰り上げて受け取る際の注意点とは
年金を繰り上げて受け取る際の、主な注意点は次の4つです。繰り上げ請求をする場合には、これらについても考慮しておく必要があります。
・国民年金の任意加入被保険者になれない
60歳以降も国民年金に任意加入して、老齢基礎年金の額を満額に近づけるという方法があります。ところが年金を繰り上げ請求した場合、これが不可能になってしまいます。年金の額を満額に近づけたいのならば、繰り上げ請求はしない方がよいでしょう。
・寡婦年金が失権してしまう
夫が老齢年金をもらう前に亡くなった場合、条件次第で妻が60~64歳の間もらえる年金があります。それが寡婦年金です。寡婦年金は、妻が国民年金の繰り上げ請求をした時点で権利を失ってしまいます。また、すでに老齢基礎年金を繰り上げ受給している人は寡婦年金の申請ができません。
・障害基礎年金を受け取れなくなる
障害基礎年金とは、病気やけがなどで障害が残ったときに、支給される年金のことです(給付要件を満たす必要あり)。繰り上げ請求をすると、障害基礎年金が受け取れなくなってしまいます。けがや病気の心配がある場合には、繰り上げ請求は控えた方がよいかもしれません。
・老齢厚生年金と老齢基礎年金の片方だけを繰り上げることはできない
老齢厚生年金と老齢基礎年金は、ふたつ同時に繰り上げとなります。片方だけを繰り上げることは基本的にできません。
60歳で年金を受け取った方がいいのはどんな人?
60歳の時点で収入が少なく、生活するのが困難な人は、60歳で年金を受け取ることを検討したほうがよいかもしれません。毎月生活するのがやっとの場合、たとえ30%減額されたとしても、定期的に支給を受けられるのは助かるのではないでしょうか。
また、寿命を考えると早めに年金をもらった方が良い場合も考えられます。人生は何が起こるか、予想はできませんので、自分が納得できるのであれば年金を繰り上げて受け取ることを検討してみてもよいでしょう。
出典
日本年金機構繰上げ減額率早見表
日本年金機構令和3年4月分(6月15日(火曜)支払分)からの年金額
日本年金機構繰上げ請求の注意点
日本年金機構老齢厚生年金の繰上げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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