今の50代から、年金繰り上げの受給額が0.1%緩和されるって本当?
ファイナンシャルフィールド / 2021年12月16日 22時10分
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年金の受給額にかかわる制度が、2022年4月から変更されます。これによって、今の50代の人は老齢年金の繰上げ受給の受給率(減額率)が月0.1%緩和されます。これによってどのような変化があるのでしょうか。 この記事では、年金の繰り上げと制度変更について解説します。
年金の繰り上げと年金の繰り下げについて
年金は原則的に65歳から受給が始まります。しかし、その受け取り時期はずらすことができます。受取時期を前倒しにして、65歳よりも早い時期に年金を受け取ることを「繰上げ受給」といいます。逆に、受取時期を65歳より遅い時期にすることは「繰下げ受給」といいます。年金繰上げや年金繰下げは、1ヶ月単位で受取時期を決められます。
年金の繰上げ受給額が0.5%から0.4%になった
2021年の時点では、年金を繰り上げると、1ヶ月ごとに0.5%ずつ受け取る年金額が減額されます。最短で60歳まで繰り上げできます。なお、60歳で年金を受け取った場合は、65歳で受け取る金額よりも30%減額されます。
一方で年金の繰り下げをした場合には、1ヶ月ごとに年金額が増額します。増額率は1ヶ月につき0.7%です。70歳までの5年間(60ヶ月)年金の繰り下げをすると、受け取れる年期は、65歳の時点と比べて42%増額します。
・2022年4月から年金制度が変わる
2022年4月以降では、年金制度の変更によって、年金繰り上げの減額率が変わります。減額率が1ヶ月あたり0.5%から0.4%になりました。そのため、2021年の時点でまだ50代の人が繰り上げをした場合、繰り上げできる全期間の減額率が0.1%ずつ緩和されることになります。60歳0ヶ月の時点で年金を受け取るとすると、その減額率は30%から24%に緩和されます。
他方、年金の繰り下げをした場合の増額率に変更はありません。
なお、新しい制度での減額率が利用できるのは、1962年4月2日以降生まれの人です。1962年4月1日以前に生まれた人は、この制度を使えません。仮に、2022年4月以降に年金の繰り上げをしても、減額率は0.5%のままなので注意してください。
・累計受給額の逆転時期が変わる
減額率の変更によって、年金を繰り上げたときとそうでない場合の累計受給額が逆転する時期が変わります。0.5%の減額率のときに、60歳0ヶ月で年金を受け取った場合と65歳で受け取った場合を比較すると、76歳8ヶ月の時点で累計受給額が逆転します。この時点以降は65歳で受給した方が累計受給額が大きくなります。減額率が0.4%では、逆転時期が80歳10ヶ月となります。
61歳0ヶ月で受給した場合の逆転時期は77歳8ヶ月から81歳10ヶ月に、62歳0ヶ月なら78歳8ヶ月から82歳10ヶ月になります。逆転するまでの期間がこれまでより50ヶ月間長くなるので、年金繰り上げのメリットが増したといえるでしょう。
年金繰り上げによるデメリット
減額率の緩和によってメリットが増したとはいえ、年金繰り上げにはデメリットも存在します。年金繰り上げをする際には以下の点に注意しましょう。
まず、国民年金に加入できなくなります。年金を満額受給するには480ヶ月間の納付期間が必要です。しかし、大学や大学院への進学や失業などで納付期間が足りない人も少なくありません。
そのような方は、60歳以降に年金を納付することで、年金額を満額に近づけることがあります。このような場合には国民年金の任意加入制度が利用できますが、年金繰り上げをしてしまうと国民年金に加入できなくなるので、それ以降は年金を納付できません。つまり年金額を満額に近づけることができなくなるのです。保険料を納めた期間が480ヶ月未満になっている方は気を付けてください。
また、年金繰り上げをするときは、老齢基礎年金だけでなく老齢厚生年金も繰り上げしなければなりません。どちらかだけ繰り上げるという選択ができないので注意しましょう。このほかに、障害年金の請求や、遺族厚生年金との併給、寡婦年金の受給もできなくなります。
年金繰り上げの判断は慎重に
2022年からの減額率が緩和されたことによって、年金繰り上げは受給額の面でメリットが大きくなったといえます。しかし、年金繰り上げを選択すると、年金が減額されるだけでなく、ほかの年金を受け取れなくなるといったデメリットもあります。一度繰り上げを決めると、後に変更はできません。繰り上げをするかどうかは、慎重に検討した上で決めるようにしましょう。
【出典】
日本年金機構老齢基礎年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)
厚生労働省年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要(令和2年法律第40号、令和2年6月5日公布)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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