学生の子どもの国民年金保険料を、親が代わりに支払う場合の節税効果って?
ファイナンシャルフィールド / 2021年12月16日 0時10分
![学生の子どもの国民年金保険料を、親が代わりに支払う場合の節税効果って?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_123832_0-small.jpg)
日本国内に居住している20歳以上60歳未満の人は、本人の意思にかかわらず、国民年金の被保険者(加入者)となります。 そして、20歳になった方には、おおむね2週間以内に日本年金機構から国民年金(第1号被保険者)に加入した旨の連絡と、国民年金保険料納付者などが送付されてきます。 しかしながら、学生などのように保険料を納めることが経済的に困難な場合には、保険料の学生納付特例制度や免除・納付猶予制度を活用したり、親が代わりに支払うことも可能です。 今回は、国民年金の概要を振り返るとともに、学生の親が子どもの国民年金保険料を支払ったときの節税効果について解説してみます。
国民年金とは
(1)対象者
20歳以上60歳未満の学生・農林漁業者・自営業者・無職の方等(国民年金第1号被保険者)は、国民年金に加入することが義務づけられています。
(2)メリット
国民年金に加入して保険料を納め続けることで、次のような大きなメリットがあります。
A. 老後を支える終身保障
「老齢基礎年金」を一生涯受け取ることができます。
B. 万が一の障がいや遺族も保障
万が一病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合には、「障害基礎年金」を受け取ることができます。また、国民年金の被保険者であった方が亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族は「遺族基礎年金」を受けることができます。
C. 保険料が控除される
納めた保険料の全額が所得から控除されますので、節税効果もあります。
D. 基礎年金の半分は国(税金)が負担
基礎年金の半分は、国(税金)から支払われます。
(3)国民年金の保険料
国民年金の保険料は、月額1万6610円(令和3年度)です。
なお、保険料を早めに納めること(前納)により、保険料が割引となる制度があります。また、定額の保険料に月額400円の付加保険料を上乗せして納めると、将来の老齢基礎年金に付加年金が加算されます。
付加年金額(年額)は「200円×付加保険料を納めた月数」で計算し、2年以上受け取ると、支払った付加保険料以上の年金が受け取れます。
親が代わりに支払う場合の節税効果
(1)国民年金の節税について
社会保険料控除については、法令にて以下のように決められています。
「納税者が自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができる。そして、控除できる金額は、その年に実際に支払った金額または給与や公的年金から差し引かれた金額の全額となる」
つまり、国民年金も社会保険料の対象となっていますので、親が国民年金保険料を代わりに支払う国民年金保険料として支払った全額が、控除の対象となります。すなわち、節税効果が期待できます。
(2)節税効果
では、具体的にどのような節税効果があるのかを確認してみます。先ほど確認したように国民年金保険料は、月額1万6610円(令和3年度)ですので、年額で19万9320円となり、その分が控除の対象です。
節税額は、親の所得(所得税率)によって変わってきますが、所得税率を10%(住民税は全国一律10%)とした場合には、
19万9320円×20%=3万9864円
の節税効果(1年間)があります。
親が子どもの国民年金保険料を支払うことで、子どもの将来のためにもなるだけでなく、親自身も節税ができるので、前向きに検討しても良いと思います。
出典
日本年金機構「20歳到達時の国民年金の手続き」
日本年金機構「20歳になったら国民年金」
国税庁「No.1130 社会保険料控除」
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー
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