医療費控除とセルフメディケーション税制ってどう違うの? あらためておさらい!
ファイナンシャルフィールド / 2021年12月17日 0時0分
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2021年もあとわずかとなり、会社員の方は年末調整の申請をされる頃かと思います。年末調整では、1月から12月までの給料に対して所得税がいくらなのかを清算します。 毎月支給される給料に対して、控除される所得税は所得により金額が決められていますが、あくまでもひと月単位での概算控除額ですので、1年間を通しての清算が年末調整になります。 年末調整で、生命保険の証明書などを準備して給与所得から控除してもらうために申請をする方もいらっしゃるでしょう。 通常、年末調整で申請できるのは支払った社会保険料(健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険)のほかに、自分で掛けている個人型確定拠出年金、個人で支払っている生命保険(生命保険、介護保険、年金保険)、地震保険などがあげられます。 年末調整で申請できるものとできないものがありますが、上記にあげたものは年末調整で申請できます。年末調整で申請ではなく、確定申告で所得税が還付されるものがいくつかあります。 住宅ローン控除(1年のみ確定申告、2年目から年末調整申請可能)、医療費控除(セルフメディケーションのどちらか)、配当所得控除などです。
医療費控除
医療費控除は、活用されたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
給与収入400万円で所得金額(給与所得から給与所得控除等を除いた金額)が250万円だった場合、1年間に支払った医療費が20万円あったなら、20万円から10万円(※1)を控除した10万円を収入金額から控除できます。
250万円-10万円=240万円
医療費控除前の所得税は 250万円×10%=25万円 ですが、
医療費控除を申請すると (250万円-10万円)×10%=24万円
つまり、1万円還付されることとなります。また、住民税も同額の1万円減額となりますので、1年間で20万円の医療費がかかった場合に申請をすれば、2万円税金が減るということです。
セルフメディケーション税制
医療費控除とは別に、セルフメディケーション税制というものがあります。
セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)は、医療費控除の特例として、健康の維持増進および疾病の予防への取り組みとして一定の取り組みを行う個人が、平成29年1月1日以降に、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品および一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができるものです。
医療費控除は医療機関に支払ったお金に対して還付される制度に対して、セルフメディケーションは対象となる医薬品の購入費用として、年間1万2000円を超えて支払った場合、その購入費用のうち1万2000円を超える額(上限金額:8万8000円)を所得控除できるというものです。
先の例で計算をすると対象医薬品を10万円購入支払った場合には
10万円-1万2000円=8万8000円
(250万円-8万8000円)×10%=24万2000円 (納付額)
セルフメディケーション活用前の所得税は 250万円×10%=25万円 ですが、セルフメディケーションを活用すると24万2000円となり、8000円還付されることになります。
セルフメディケーションの対象はすべての医薬品ではなく、レシートに対象かどうか表示されていますのでご注意ください。
選択と注意事項
医療費控除とセルフメディケーションの両方を利用することができないため、どちらを選択するかは、医療機関に支払った金額が10万円以上の場合は医療費控除、薬局などで1万2000円以上支払った場合はセルフメディケーションを活用すると思っていただければよいのではないかと思います。
どちらも所得課税の金額から控除になるため、そのまま支払った金額が返ってくるわけではないことにご注意ください。また、どちらの申請も領収書の添付は不要となっていますが、領収書等を5年間保存する必要がある点にも注意が必要です。
所得税の対象は1月から12月ですので、領収書等の保存をされていない方は申請する金額がわからず今年の所得に対する申告は難しいかもしれませんが、来年もどちらも適用可能ですので、来年に備えて医療費関係で支払う領収書を保管して活用していただければと思います。
(※1)その年の総所得金額が200万円未満の人は総所得×5%の金額
(※2)厚生労働省「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について」
執筆者:高畑智子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者
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