頭痛薬や鎮痛剤を購入した年はセルフメディケーション税制でいくら戻ってくる? 医療費控除より有利になる?
ファイナンシャルフィールド / 2021年12月18日 12時0分
医療費控除を受けるほどの医療費は支払っていなくても、毎年の健康診断などを受けている人が頭痛薬や鎮痛剤などの医薬品を購入していると、セルフメディケーション税制の対象となって税金が還付されることがあります。 セルフメディケーション税制では実際にいくら還付されるのか、医療費控除との比較で確認していきます。
セルフメディケーション税制とは
セルフメディケーション税制は、健康の保持増進、および疾病の予防として一定の取り組みを行っている方が、その年に自分または自分と生計を一にする親族のために1万2000円以上の対象医薬品を購入した場合、課税所得から最大8万8000円までの控除を受けることができる制度です。
セルフメディケーション税制の適用を受けるために、まずは以下のような健康管理の取り組みを行っておく必要があります。
(1)保険者(健康保険組合等)が実施する健康診査(人間ドック、各種健(検)診など)
(2)市区町村が健康増進事業として行う健康診査
(3)予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)
(4)勤務先で実施する定期健康診断(事業主検診)
(5)特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
(6)市区町村が健康増進事業として実施するがん検診
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品とは、医師によって処方される医薬品のほか、ドラッグストアで購入できる転用された医薬品となります。
対象の医薬品の一部はパッケージの識別マークで確認することができますが、ドラッグストアではさまざまな商品が販売されているため、どれがセルフメディケーション税制の対象医薬品なのか購入した方が判断できるように、領収書(レシート)には対象である記載(★印など)がされます。
医薬品を購入した場合は、レシートは必ず保管しておきましょう。
セルフメディケーション税制による還付額
セルフメディケーション税制を利用した場合の還付額を試算してみましょう。
ここでは課税所得400万円のAさんが、セルフメディケーション税制の対象となる医薬品を年間5万円購入したと仮定して試算します。Aさんは配偶者、子どもと生計を一にしており、5万円には配偶者や子どものために購入した医薬品の費用も含まれています。
課税所得400万円のAさんのセルフメディケーション税制での還付額
・所得控除額
5万円(対象医薬品の購入金額)-1万2000円(下限額)=3万8000円
・還付額
(1)所得税:3万8000円(控除額)×20%(所得税率)=7600円
(2)個人住民税:3万8000円(控除額)×10%(個人住民税率)=3800円
(1)+(2)=7600円+3800円=1万1400円
Aさんはセルフメディケーション税制により、1万1400円の還付を受けることができます。
医療費控除との比較
セルフメディケーション税制は医療費控除と併用することができませんので、確定申告をする際には、いずれかを選択適用しなければなりません。
課税所得400万円のAさんが、年間5万円の医薬品を購入した場合のセルフメディケーション税制の還付額は1万1400円でした。
Aさんが医療費控除の対象となる治療を受けていたと仮定して、セルフメディケーション税制と同じ還付額となるのは、年間の医療費がいくらの場合でしょうか。
課税所得400万円のAさんの医療費控除での還付額
・所得控除額
13万8000円(医療費控除の対象となる額)-10万円=3万8000円
・還付額
(1)所得税:3万8000円(控除額)×20%(所得税率)=7600円
(2)個人住民税:3万8000円(控除額)×10%(個人住民税率)=3800円
(1)+(2)=7600円+3800円=1万1400円
セルフメディケーション税制の対象医薬品を5万円購入したAさんの場合、医療費控除の対象となる医療費の額が13万8000円のときに、医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらを選択しても還付額が同じ1万1400円となります。
今回の試算の条件では、Aさんは対象の医療費が13万8000円を超えたときは医療費控除を選択し、医療費が13万8000円未満のときはセルフメディケーション税制を選択すると還付額が多くなります。
出典
国税庁 No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
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