健康保険が「1割」や「2割」で済む場合はどんなとき?健康保険の仕組みとは
ファイナンシャルフィールド / 2021年12月16日 23時0分
![健康保険が「1割」や「2割」で済む場合はどんなとき?健康保険の仕組みとは](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_124098_0-small.jpg)
健康保険では、医療費の自己負担割合が決められており、その割合は人によって異なります。そのため、「どのような条件で決まっているのだろう」と感じる人もいるのではないでしょうか。 ここでは、健康保険の仕組みや、負担が1割や2割で済むケースなどについて触れていきます。
健康保険とは何か
まず、健康保険の概要や仕組みについて説明していきます。
健康保険の概要
日本には、健康保険という制度があります。病気やけがをした時や、出産をした時、亡くなった時などに、保険給付を行う制度です。国民の生活の安定や、福祉の向上を目的とした制度だといえるでしょう。
この制度によって、私たちは本来よりも少ない医療費で高度な医療を受けられるようになったのです。健康保険の加入先にはいくつか種類があり、勤めている企業の規模によって異なります。
加入先としては協会けんぽや共済組合、組合健保などが挙げられるでしょう。扶養している家族も、同じ健康保険に加入します。一方、これらの健康保険に加入できない場合は、国民健康保険に加入します。自営業者や年金生活者などが、この対象者となっています。
健康保険の仕組み
健康保険の仕組みは、次のようになっています。
(1)被保険者(患者)が保険料を医療保険者に支払う。
(2)病院や調剤薬局などの保険医療機関で診療サービスを受けた際は、被保険者がその場で自己負担額を支払う。
(3)保険医療機関が、審査支払機関へ診療報酬の請求を行う。
(4)審査支払機関は、医療保険者へ審査済みの請求書を送付。
(5)医療保険者は、審査支払機関へ請求金額の支払いを行う。
(6)審査支払機関が、保険医療機関へ診療報酬を支払う。
医療費の自己負担の割合について
医療費の自己負担割合は1割から3割で、年齢層や所得額などによって定められています。
自己負担割合が3割になるケース
義務教育就学後の6歳から70歳未満までの間は、最も高い3割を負担する必要があります。また、70歳以上であっても、現役並みの所得がある場合は3割負担です。
現役並みの所得かどうかは、現役世代の平均的な課税所得以上か否かで判断されます。令和3年2月時点では、年間145万円以上の課税所得がある場合に、現役並みの所得があるとみなされているようです。
自己負担額が2割になるケース
6歳未満(義務教育就学前)の場合は、医療費の自己負担割合が2割になります。平成14年10月に3歳未満の乳幼児が2割負担に軽減され、さらに平成20年4月に、その範囲が拡大されました。子供たちの医療費負担割合が、時代の流れと共に減ってきたと言えるでしょう。
また、70歳(平成26年4月以降に70歳になった人)から74歳までで、現役並みの所得がない場合も、2割に定められています。
自己負担額が1割になるケース
現役並みの所得がある人を除き、75歳以上の場合は、1割の負担が求められています。平成20年4月から後期高齢者医療制度という仕組みがスタートし、75歳以上の場合は全員この制度に加入することになったのです。
自己負担割合は段階的な見直しも
多くの人が安心して医療を受けられるよう、高齢者と若者の間や、高齢者間での公平性を築けるよう、保険料軽減特例については段階的に見直しがされています。2022年度以降は、団塊の世代が後期高齢者となり始め、若い世代の負担を少しでも減らすことが求められるでしょう。
厚生労働省が発表した、令和2年12月15日に閣議決定された時の関連資料によると、後期高齢者、つまり75歳以上の場合は、課税所得が28万円以上かつ年収200万円以上であれば、2割負担になることが盛り込まれています。
施行日は令和4年度10月以降で、詳細については今後政令で定められる予定となっているため、今後の動向には注目が必要です。
私たちの生活になくてはならない存在
日本の医療水準はとても高く、平均寿命もかつてに比べるとグンと長くなりました。これには、健康保険の制度が大きな影響を与えたとされています。
国民の生活に密接な影響を与える健康保険ですが、そこには少子高齢化という大きな問題が立ちはだかっているのも事実です。健康保険制度への理解を深めることで、この国の本質が見えてくるかもしれません。
出典
厚生労働省我が国の医療保険について
厚生労働省国民皆保険制度の意義
厚生労働省後期高齢者の窓口負担割合の見直しについて(概要)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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