iDeCoの受け取り方「年金」「一時金」の違いって?それぞれのメリット・デメリット
ファイナンシャルフィールド / 2021年12月18日 22時10分
iDeCoは原則60歳以降に受け取ることができますが、その際に税金が発生することがあります。受け取り方によって税額も異なりますので、年金で受け取る場合と一時金で受け取る場合、それぞれの計算方法やメリット・デメリットを見ていきましょう。
年金で受け取る場合
iDeCoを年金で受け取る場合は、公的年金等と同じ雑所得扱いです。受け取った金額から公的年金等控除額を差し引いたものが課税対象となりますが、既に公的年金を受給している場合はそちらと合算するため、ほとんど控除できない可能性もあります。公的年金等控除額は、受取時の年齢や年金等の収入額によって異なります。
また、雑所得は総合課税で他の収入と合算して所得税を算出しますので、総所得額が大きい場合は税率も高くなります。
・メリット
年金として受け取る場合、年金分を差し引いた資産はそのまま非課税で運用されます。そのため、運用成績次第では一時金で受け取るよりも受取額を増やすことが可能です。また、継続的に一定額を受け取れるので、家計の状況によっては公的年金の受給なしに生活ができる場合もあり、公的年金を繰り下げ受給して年金額を増やすといった選択肢も取れるようになります。
・デメリット
多くのケースで一時金として受け取るよりも税額が高いため、公的年金の受給が始まるまでに受け取るなどの工夫が必要です。また、国民健康保険に加入している場合はiDeCoで受け取った金額も所得として扱われるため、翌年度の国民健康保険料が高額になる恐れもあります。
加えて、全額受け取るまでは口座管理手数料や給付手数料を毎月負担しなければなりません。運用益が大きい場合は年金として受け取るのも一つの方法ですが、ほとんど運用益が出ない場合は資産が目減りする可能性もあります。
一時金で受け取る場合
一時金として受け取る場合は、退職所得として扱われます。退職所得は分離課税のため、課税対象額に対して税率が異なり、他の収入等の影響を受けません。受け取った金額から退職所得控除額を差し引いたものに2分の1を乗じたものが課税対象です。
退職所得控除額は勤続年数によって異なり、端数の月がある場合は1年として扱います。勤続年数が20年以下の場合はその年数に40万円を乗じた額、20年を超える場合は800万円+70万円×(勤続年数-20年)が退職所得控除額です。iDeCoの場合は拠出した年数を勤続年数として扱うため、実際の勤続年数は関係ありません。
・メリット
勤続年数(拠出期間)が長くなるほど退職所得控除額が大きくなり、さらに控除後の金額を半分にするため、年金で受け取るよりも税金の負担が軽減されます。また、一括で受け取ることになるため、継続的な口座管理手数料や給付手数料が発生しません。
分離課税で国民健康保険料にも影響しないため、国民健康保険に加入している人でも安心して受け取れます。
・デメリット
勤続年数が短い場合は退職控除額が少額になるため、一時金で受け取るメリットがあまり得られません。また、継続して運用することができないので、運用成績が良い場合には将来的な利益を諦める必要があります。
同時期に勤務先などから退職金が支給される場合には、iDeCoと合算して退職所得の税額計算を行わなければなりません。そのため、場合によっては退職所得が高額になり、税額が大きくなるケースもあります。住民税や復興特別所得税も課税されるため、他の退職金についてもしっかり確認しておきましょう。
さまざまな視点から検討を
このように、iDeCoの最適な受け取り方は本人の収入状況や加入期間等によって異なります。とはいえ、元々老後資金として拠出していますので、必要な時にまとまった額を受け取ることも重要です。所得税だけでなく翌年の健康保険料や60歳以降の運用益などの違いもありますので、さまざまな視点から検討して、自分に合った受け取り方を選択しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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