世帯年収1000万円、片働き・共働き別に見る住民税額。一体なぜこんなに高い?
ファイナンシャルフィールド / 2021年12月22日 3時0分
会社で働いていると住民税は給与から天引きされるため、いくら支払っているのか正確に把握していない人も多いでしょう。 住民税は前年の所得額をベースにして、個々の事情に応じた所得控除や税額控除を加味して税額が決まります。ここでは、年収1000万円の世帯を例に、住民税をどのくらい支払うのかケース別に試算しました。 年収に対して住民税がどのように決まるのかを理解して、ご自身のケースに当てはめてみましょう。
住民税はどうやって計算する?
住民税は、前年の所得をもとに税額が決まる「所得割」と、一律で課税される「均等割」から成り立っています。基本の計算方法は、次のとおりです。
所得割額=(総所得金額-所得控除)×税率10%-税額控除+均等割額5000円
給与所得者の場合、給与所得(年収)から支給額に応じた給与所得控除を差し引いた額が、総所得金額となります。主な所得控除には、図表1のようなものがあります。
【図表1】
基礎控除 | 43万円 |
配偶者控除・配偶者特別控除 | 最大33万円※ |
扶養控除 (16~19歳未満の扶養親族がいる場合) |
33万円 |
特定扶養控除 (19~23歳未満の扶養親族がいる場合) |
45万円 |
社会保険料控除 | 前年中に納めた社会保険料の額 |
※給与収入が1120万円(合計所得金額900万円)を超える場合、配偶者控除と配偶者特別控除の控除額が段階的に減少・消失します。また配偶者控除について、70歳以上の配偶者は最大38万円です
税額控除には、住宅ローン控除や寄附金控除、配当控除などがあり、当てはまるものがあるときに税額から差し引きます。
世帯年収1000万円の片働き家庭の住民税額は?
世帯主が年収1000万円の片働き家庭の住民税額は、いくらくらいになるのか計算してみましょう。
・世帯主は40代の給与所得者
・収入は給与所得のみ、月額給与83万円でボーナスなし
・基礎控除、配偶者控除、社会保険料控除、扶養控除以外の控除は考慮しない
■ケース1:夫婦のみの世帯
前年の社会保険料を130万円と仮定すると、住民税額は次のように計算できます。
{年収1000万円-給与所得控除195万円-(基礎控除43万円+社会保険料控除130万円+配偶者控除33万円)}×10%+均等割5000円=60万4000円
■ケース2:夫婦+19歳の子の世帯
19歳の子がいる場合、特定扶養控除45万円が適用されます。この場合の住民税額は次のとおりです。
{年収1000万円-給与所得控除195万円-(基礎控除43万円+社会保険料控除130万円+配偶者控除33万円+特定扶養控除45万円)}×10%+均等割5000円=55万9000円
子どもがいない世帯と比べて、住民税額は4万5000円少なくなる計算です。16歳以上の子どもやそのほかの扶養親族が増えるほど、住民税額は安くなります。
世帯年収1000万円の共働き家庭の住民税額は?
共働きで世帯年収1000万円の家庭では、どのくらいの住民税を払っているでしょうか。ケース別に計算してみましょう。
・40代の給与所得者夫婦
・収入は給与所得のみ、夫:月額給与59万円、妻:同25万円で双方ボーナスなし
・基礎控除、社会保険料控除、扶養控除以外の控除は考慮しない
■ケース1:夫婦のみ、夫:年収700万円、妻:年収300万円の世帯
前年の社会保険料が夫:110万円、妻:50万円だったと仮定すると、住民税額は次のようになります。
夫の住民税額={年収700万円-給与所得控除180万円-(基礎控除43万円+社会保険料控除110万円)}×10%+均等割5000円=37万2000円
妻の住民税額={年収300万円-給与所得控除98万円-(基礎控除43万円+社会保険料控除50万円)}×10%+均等割5000円=11万4000円
夫婦合わせた住民税額は48万6000円となり、片働き世帯より10万円以上少ない計算です。
■ケース2:夫婦+16歳の子、夫:年収700万円、妻:年収300万円の世帯
16歳の子は、夫の扶養親族とし、夫に扶養控除33万円が適用されます。この場合の夫婦それぞれの住民税額は以下のとおりです。
夫の住民税額={年収700万円-給与所得控除180万円-(基礎控除43万円+社会保険料控除110万円+扶養控除33万円)}×10%+均等割5000円=33万9000円
妻の住民税額={年収300万円-給与所得控除98万円-(基礎控除43万円+社会保険料控除50万円)}×10%+均等割5000円=11万4000円
夫婦の住民税額は45万3000円で、子どもがいない世帯より3万3000円少なくなります。
住民税額は家族構成や夫婦の働き方で異なる
計算結果からわかるように、同じ世帯年収1000万円でも、片働きと共働き、子どもの有無などの条件によって、払う住民税額が異なります。自分の世帯ではどのくらいの住民税を負担しているのか、しっかり把握しましょう。
また、税額控除が適用されると住民税額は減ります。税金の負担を軽くしたい場合は、住宅ローン控除やふるさと納税をはじめとする寄附金控除のほか、配当控除などの活用を検討するとよいでしょう。
出典
個人住民税 | 税金の種類 | 東京都主税局
No.1410 給与所得控除|国税庁
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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