退職金にかかる税金はどのくらい?受け取り方による課税方法の違いを解説
ファイナンシャルフィールド / 2021年12月21日 12時0分
退職金には「一時金で受け取る方法」と「年金として分割で受け取る方法」があり、受け取り方によって退職金にかかる税金が変わることをご存じでしょうか? 今回は退職金の受け取り方による課税方法の違いをご紹介します。
退職金にかかる税金とは
退職金には「所得税」と「住民税」、さらに2037年までは「復興特別所得税」がかかります。所得税や住民税については、給料やボーナスからも源泉徴収されているため、課税の仕組みについて知っている人も多いでしょう。
ただし退職金の場合には、他の所得と所得税や住民税のかかり方が異なります。税負担が軽くなるよう配慮されているからです。
退職金は、税法上の所得の分類では「退職所得」に該当します。退職所得の所得税額は、原則として他の所得と「分離」して計算する仕組みです。なお「退職所得控除」の額は、勤続年数が長くなるほど大きくなります。
「復興特別所得税」は、「東日本大震災復興からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」によって創設されたものです。
住民税額については「現年分離課税」となり、勤務先が計算し支給する退職金から差し引いて、退職金を支給した翌月の10日までに退職した年の1月1日に住んでいた住所地の区市町村に納入します。
退職金の受け取り方による課税方法の違い
退職金を受け取る方法によって、税金の扱いが次のとおり異なります。
●一時金で受け取った場合:退職所得・分離課税
●分割で受け取った場合:雑所得・総合課税
退職金を分割で受け取る場合には、雑所得・総合課税のため他の所得と合算して課税されます。公的年金をはじめ他の所得がある場合には、合算して税額を算出することを知っておきましょう。
「一時金」で受け取る場合の税金
ここでは、一時金で退職金を受け取った場合の税金の計算方法(令和3年)を見ていきましょう。
・課税退職所得の金額=(一般退職手当等の金額-退職所得控除額)×2分の1
なお特定役員の退職金の場合には「2分の1控除」は適用されません。
●基準所得税額=課税退職所得の金額×所得税の税率-退職所得控除額
●復興特別所得税=基準所得税額×2.1%
個人住民税の所得割の標準税率は10%と定められています。
退職所得控除額の計算方法は図表1のとおりです。
図表1
勤続年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円×勤続年数 |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
出典:国税庁「退職金と税」
勤続年数25年の退職所得控除額は、次のとおりです。
・800万円+70万円×(25年-20年)=1150万円
1500万円の退職金の場合、退職所得の金額は次のとおりです。
・(1500万円-1150万円)×2/1=175万円
175万円にかかる所得税の税率は5%ですので8万7500円の所得税がかかります。
住民税の標準税率は10%ですので、17万5000円の住民税がかかる計算です。
「年金」として受け取る場合の税金
年金として分割で退職金を受け取る場合、分割払いの退職金は「公的年金等」に該当します。所得税の計算では高齢者本人が受けられる特例が適用され、公的年金とともに合算され「公的年金等控除額」が適用される仕組みです。
退職金は確定申告の必要なし
退職金が支給されるまでに「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先など退職金の支払者に提出している場合は、所得税および復興特別所得税の課税は終了しています。そのため原則として確定申告の必要はありません。
「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合には、確定申告で精算します。退職金の収入金額から、一律20.42%の所得税および復興特別所得税が源泉徴収されるからです。
退職金の受け取り方によって課税が変わる
退職金にかかる税金は、所得税や復興特別所得税、住民税です。退職金の受け取り方によって分離課税や総合課税が適用されます。
税金を払いすぎないように、大切な老後資金となる退職金まわりの税金の仕組みや計算方法などの理解が大切です。
出典
国税庁 退職金と税
国税庁 No.1420_退職金を受け取ったとき(退職所得)
国税庁 高齢者と税(年金と税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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