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60歳以上が利用できる住宅ローン「リ・バース60」って? 利用上の留意点は?

ファイナンシャルフィールド / 2021年12月22日 12時10分

60歳以上が利用できる住宅ローン「リ・バース60」って? 利用上の留意点は?

年を取ると、賃貸マンションの契約をすることが難しいケースなどがあります。とはいっても、60歳を過ぎてから、新たな住宅ローンを組むのはなかなかに悩みどころです。   なぜなら、役職定年や定年などで、60歳代までの若年期に比べると収入が下がることも考えられます。さらに、返済の途中で年金生活に入ることなどを考えると、その後の返済能力も低下することが想定され、現役時代のようなキャッシュフローを維持することが難しく、住宅ローンを組むことが難しくなるからです。   また、そもそも年齢ゆえ、団体信用生命の健康告知をクリアできるか否かも、心配ですよね。

リ・バース60という選択肢

住宅金融支援機構には、民間の金融機関を通じて提供しているリ・バース60というものがあります。一般的な住宅ローンとは異なり、毎月の返済は利息のみで、元本の返済は行いません。元本の返済は亡くなった時に、相続人が一括して返済するか、担保物件を売却して返済に充てます。
 
リ・バース60を利用することができるのは、満60歳以上の方に限られます。年金生活の方はもちろん、持病等がある、健康状態に不安があるという方でも利用できます。
 
融資資金の使い道は、ご本人の住まいの建設・購入、リフォーム、借り換えなどのための資金の他、サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金、そして子ども世帯が住まいを買うため資金にも充てることもできます。
 
保証人や保証料は不要です。
 

リ・バース60の利用上の留意点

融資の対象となる建物と土地が担保になります。この担保はリ・バース60を利用する人が所有する他の建物や土地(3物件まで)を共同担保できます。なお、いずれの担保も第一順位の抵当権を設定する必要があります。
 
融資を受けることができる金額は8000万円、かつ担保の評価額の50~60%(長期優良住宅は55~65%)です。そして、年収に占めるリ・バース60を含むすべての借り入れに対する年間返済額、および年間支払額の合計額の割合が以下の基準を満たしている必要があります。

年収400万円未満の場合:30%以下
年収400万円以上の場合:35%以下

元本の返済は亡くなった時に、住まい(他の担保物件を含む)の売却で返済することになりますが、もし、売却額が元本に満たなかった場合は、どうなるのでしょうか?
 
リ・バース60の利用がノンリコース型でしたら、売却額が元本に満たなくても、その差額を遺族が負担する必要はありません。しかし、リコース型でしたら、その差額を遺族が負担しなくてはなりません。
 
ノンリコース型の場合、支払う金利が高くなることがあります。先述の基準(=年収に占めるリ・バース60を含むすべての借り入れに対する年間返済額、および年間支払額の合計額の割合に対する基準)を満たすことができるのか、仮に満たせても、日々の暮らしが苦しくならないのか、ライフプランニングと併せて、確認が必要です。
 
なお、ご夫婦などで連帯債務を組んでリ・バース60を利用する場合には、主債務者と連帯債務者がともに亡くなった時に返済となります。
 
人生100年時代といわれて久しいですね。60歳でリ・バース60の利用を始め、100歳まで生きたとすると、40年間ひたすら利息のみを払い続けることになり、元本が減ることはありません。先述の例では、40年間利率が変わらなければ、利息だけの支払いの合計が3200万円にもなります。
 
加えて、固定資産税や都市計画税などの租税公課の負担もあります。所有している以上、不具合や劣化等の場合には、自身の負担で修理が必要です。年齢や住み替える物件にもよるかもしれませんが、修繕が面倒だからといって、住まいを転居することは難しいかもしれません。リ・バース60は賃貸マンションの感覚で利用するわけにはいかないですね。 
 
日本は長く超低金利が続いていますが、超低金利がずっと続くかは分かりません。リ・バース60の利率には固定金利と変動金利があるとはいえ、利用にあたっては先々のライフプランや資産の状況を見ながら慎重に判断する必要があります。
 

サービス付き高齢者向け住宅の入居にリ・バース60の利用

融資資金をサービス付き高齢者向け住宅の費用に充てる場合、入居一時金は対象になりますが、毎月の家賃や使用料、生活費、サービス料などは対象になりません。では、住まいをサービス付き高齢者向け住宅に入居してしまったら、「前の住まい」は、どうしたら良いのでしょうか?
 
先述のとおり、「前の住まい」は担保として必要ですので、売却はできません。「前の住まい」はお子さまなどの親族に無料で貸し出したり(使用貸借)、第三者に3年以内の定期賃貸借できます。
 
3年以内の定期賃貸借することができれば、家賃収入を得ることができ、毎月の返済や生活費に充てることができます。
 

郊外の一戸建てを処分して、駅近のタワーマンションに

郊外一戸建てを処分して、駅近のタワーマンションに転居するにあたり、リ・バース60を利用する、という方法が考えられます。この場合、留意しなくてはならないのはお子さまのことです。
 
「万が一の時には駅近のマンションなら相続したい」と考えるお子さまがいらしても不思議ではありません。リ・バース60を利用して良い物件に住めるのは良しとして、相続人の皆さまのご理解も欠かせません。
 
出典
住宅金融支援機構「60歳からのリフォーム、建替え、住替えに。」
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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