年末調整、記載を誤って提出してしまった……そんな場合どうすればいい?
ファイナンシャルフィールド / 2021年12月24日 3時10分
会社員や公務員の人は、年末に「年末調整」の手続きがあります。 年末調整では、毎月の給料や賞与などで源泉徴収された税額と、その年に納めなければならない所得税の金額を比較して、その過不足を精算する手続きが行われます。年末調整をすると一般的に確定申告が不要になるので、便利な制度です。 年末調整では、勤務先に数種類の書類を提出しますが、その記載を誤って提出したことに気付いたら、どのように対応すればよいのでしょうか。間違いが起こりやすいケースと訂正の方法について紹介します。
年末調整とは
会社員や公務員の人は、毎月の給料や賞与から所得税が引かれていますが、この所得税の金額は「源泉徴収税額表」を基に決められています。そのため、年の途中での給料の変動や、扶養家族の変化までは考慮されていません。
また、生命保険料や社会保険料などの負担は人それぞれですので、実際の所得税の税額には違いが生じます。年末調整では、源泉徴収した税額と納めなければならない所得税との差額が調整され、還付や追加徴収が行われます。
年末調整で提出する書類は主に3種類
年末調整で提出する書類には主に次の3つがあります。
・給与所得者の扶養親族等(異動)申告書
・給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
・給与所得者の保険料控除申告書
また上記以外に、住宅ローン控除を受けている方は「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 兼 (特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書」も提出します。
勤務先により違いはあるものの、書類は11月頃に配布され、12月上旬に提出期限が設定されるケースが多いのではないでしょうか。これらの書類は年末調整に必要な情報ですので、間違いがないように正確に記入する必要があります。
年末調整で間違いをしやすいケース
年末調整で間違いをしやすいケースについて、いくつか例を紹介します。
1つ目は、扶養する家族が変わったケースです。年末調整では、翌年分の扶養親族についての申告書を同時に提出するケースが多く、前回の年末調整から扶養親族に変化がある場合は見直しが必要です。
具体的には、子どもが生まれたケース、子どもが就職するなどして扶養から外れたケース、新たに親を扶養するケース、扶養していた親が亡くなったケースがあります。特に年末調整の時期である12月から1月にかけて出産を控えているケースでは、書類提出後に訂正が必要になるかもしれません。
2つ目は、給与所得者本人の収入、配偶者の収入が変わったケースです。収入によって適用される基礎控除額や配偶者(特別)控除額が変わりますので、年間の収入を把握する必要があります。
特に配偶者(特別)控除額は、給与所得者本人の収入と配偶者の収入が両方の組み合わせで控除額が決まるため、12月末時点で収入がいくらになるかを把握しなければなりません。12月の収入が想定より大きく変わってしまうと、書類提出後に訂正が必要になるかもしれません。
3つ目は、生命保険、地震保険に関する項目です。保険会社から送られてくる保険料控除証明書に気付かず、年末調整での手続きを忘れてしまうケースや、年末に新たに保険に加入するなどして証明書の到着が間に合わないケースが考えられます。
最後は、家族の健康保険料や国民年金を払っているケース、個人型確定拠出年金制度(iDeCo)の掛け金を払っているケースです。これらも年末調整で手続きすることができますが、初めて加入したケースなどでは、年末調整で手続きを忘れてしまうことも考えられます。
年末調整の書類の記載の誤りに気付いたら
年末調整の書類を提出した後、記載の誤りに気付いた場合や、記載内容に変更が生じた場合は訂正する必要があります。
勤務先によって提出期限が決められているケースが多いですが、提出期限内であれば、記載内容を訂正することができます。二重線で消し訂正印を押して訂正する、または、新たに書類を書き直すことになりますが、詳細は勤務先に確認しましょう。
また、訂正用の申告期間を設けている場合がありますので、その場合は期間内に訂正の手続きをするとよいでしょう。
確定申告をする方法もある
勤務先が源泉徴収票を発行すると、原則として年末調整の訂正はできません。その場合は、自分で確定申告をする必要があります。
生命保険料控除などの手続きを忘れたケースで、期限の間近で訂正するのは気が引けると感じる方もおられるかもしれません。その場合には自分で確定申告をする方法もあります。
また、医療費控除や寄附金控除などは、年末調整では対応できないので確定申告が必要です。このとき、年末調整の訂正内容も合わせて手続きする方法もあります。
年末調整は、年末の忙しい時期に手続きがあるので、記載漏れや間違いが発生する可能性があります。その場合は、まず提出書類の訂正ができるか勤務先に確認し、もし訂正できない場合は確定申告をしましょう。
出典
国税庁 令和3年分 年末調整のしかた
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
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