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夫を亡くした妻がもらえる「寡婦年金」。「死亡一時金」とどう違う?

ファイナンシャルフィールド / 2021年12月23日 12時40分

夫を亡くした妻がもらえる「寡婦年金」。「死亡一時金」とどう違う?

自営業者などの国民年金第1号被保険者の夫が死亡したときに、一定の要件を満たすとその夫に生計を維持されていた妻は、「寡婦年金」または「死亡一時金」を受け取ることができます。今回は、「寡婦年金」と「死亡一時金」の仕組みとその違いについて解説します。

「寡婦年金」の仕組み

1.寡婦年金とは

寡婦年金とは、国民年金の第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)として以下の要件を満たす夫が死亡したときに、その夫と10年以上継続して婚姻関係(事実婚を含む)にあり、死亡当時にその夫に生計を維持されていた妻に対して、その妻が60歳から65歳になるまでの期間に支給される年金です(※)。

(1)死亡した夫に保険料を納めた期間および保険料免除期間(学生納付特例期間、納付猶予期間を含む)が10年以上(平成29年7月31日以前の死亡の場合は25年以上)あること
(2)死亡した夫が障害基礎年金の受給権者でなかったこと
(3)死亡した夫が老齢基礎年金を受けたことがないこと

 

2.寡婦年金の金額

寡婦年金の年金額は、夫の第1号被保険者期間(任意加入被保険者期間を含む)について計算した老齢基礎年金額の4分の3の額になります。なお、学生納付特例期間と納付猶予期間については、保険料を追納しない限り老齢基礎年金額には反映されません(※)。
 

3.寡婦年金の注意点

寡婦年金については、以下の点に注意してください(※)。

(1)妻が繰上げ受給の老齢基礎年金を受け取っている場合は請求できません。
(2)妻が他の年金を受け取っている場合は、一方を選択することになります。
(3)「寡婦年金」と「死亡一時金」の両方を受け取ることができる場合は、どちらか一方を選択して受け取ることになります。

 

「死亡一時金」の仕組み

1.死亡一時金とは

死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)の保険料納付済期間(注)が36月(3年)以上ある方が死亡したときに、一定の要件を満たす妻を含む遺族が受け取ることができます(※)。
 
(注)保険料免除期間については、免除割合に応じた月数となります。例えば、1/2免除の期間は1/2に相当する月数となります(※)。
 

2.死亡一時金の金額

死亡一時金の額は、保険料納付済月数に応じて下表の額となります(※)。
 

保険料納付済月数 死亡一時金の額
36月以上180月未満 12万円
180月以上240月未満 14万5000円
240月以上300月未満 17万円
300月以上360月未満 22万円
360月以上420月未満 27万円
420月以上 32万円

(※を基に筆者作成)
 
なお、国民年金の付加保険料を36月以上納付していた場合は、上記の金額に8500円が加算されます(※)。
 

3.死亡一時金の注意点

死亡一時金については、以下の点に注意してください(※)。

(1)死亡一時金を受け取ることができる遺族は、死亡当時に死亡した方と生計を同一にしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順となります。
(2)死亡した方が老齢基礎年金または障害基礎年金のいずれかを受け取っていたときは死亡一時金を受け取ることはできません。
(3)死亡した方の遺族年金を受け取ることができる方がいる場合は、死亡一時金を受け取ることはできません。
(4)死亡一時金は、死亡日の翌日から2年間を過ぎると請求することができなくなります。

 

「寡婦年金」と「死亡一時金」の違いは

1.保険料納付済期間の違い

寡婦年金は、死亡した方が国民年金の第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)として保険料を納めた期間および保険料免除期間(学生納付特例期間、納付猶予期間を含む)が10年以上(平成29年7月31日以前の死亡の場合は25年以上)必要なのに対して、死亡一時金は、保険料納付済期間(注)が36月(3年)以上あれば受け取ることができます(※)。
 

2.受給対象者の違い

寡婦年金の対象は、その夫と10年以上継続して婚姻関係(事実婚を含む)にあり、死亡当時にその夫に生計を維持されていた妻に限られるのに対して、死亡一時金は、死亡当時に死亡した方と生計を同一にしていた配偶者(妻または夫)に加え、子や父母などの遺族も対象となります(※)。
 

3.年金と一時金の違い

寡婦年金は、対象となる妻が60歳から65歳になるまで年金を受給することができますが、死亡一時金制度で支給されるのは、あくまで一時金になります(※)。
 

まとめ

国民年金の第1号被保険者の夫が、老齢基礎年金または障害基礎年金を受給せずに死亡し、保険料納付要件など一定の要件を満たす場合、残された妻に「寡婦年金」や「死亡一時金」が支給されます。ただし、「寡婦年金」と「死亡一時金」の両方を受け取ることはできませんので、受給額を比較して多い方を選択されると良いでしょう。
 
出典
(※)日本年金機構 遺族年金ガイド 令和3年度版
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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