大掃除で出た不用品を売ったら思わぬ収入に。確定申告の対象になるの?
ファイナンシャルフィールド / 2022年1月4日 9時40分
大掃除で出てきた不用品。掃除の規模によってはかなりの不用品が出てくる可能性があります。それらの不用品がまだ使えるものであれば、フリマサービス等を利用し出品することでお金に換えることができます。 では、そのような形で収益を得た場合、それは収入として確定申告する必要があるのでしょうか?
譲渡所得とは?
一般的にものを売り、それで得た収入はそれに伴う経費を引いた額が譲渡所得となります。また、譲渡するものによって、課税もしくは非課税に分けられており、課税される場合、確定申告の方法は譲渡したものによって異なります。
■不用品を売った場合
不用品を売った場合の収入は、譲渡所得の対象外とみなされます。なぜなら、それらは「生活用動産の譲渡による所得」とされ、所得税の課税対象外として位置付けられているからです。ただし、その不用品の中に、貴金属や宝石、書画、骨とうなどがあり、1個もしくは1組の価額が30万円を超えるものを売った場合に関しては、譲渡所得の対象となり、確定申告が必要です。
(参考:国税庁「譲渡所得の対象となる資産と課税方法」(※1))
確定申告の対象となるケースとは?
資産の譲渡を継続かつ繰り返して行う場合は事業となり、事業所得もしくは雑所得として課税対象となる可能性があります。
■事業所得となるケース
個人事業主として行っている場合は、事業所得となり、収入から経費を引いた額を申告する必要があります。
■雑所得となるケース
会社員でも副業として「課税対象となる資産を仕入れて販売」したことによって得た場合は、雑所得となります。ただ、その場合、収入からその販売における経費を引いた額が20万円を超えない場合は、確定申告の必要はありません。
確定申告の際の注意点
原則として不用品を売った際の収入は課税対象外となり、確定申告の必要はありません。ただ、前述した一定のものについては課税対象ですので、忘れずに確定申告を行うようにしましょう。
■譲渡所得の計算
譲渡所得の課税対象となる「1個もしくは1組の価額が30万円を超える貴金属や宝石、書画、骨とうなど」を売り、収入があった場合の所得額の計算は、その貴金属などを取得してから売却するまでの期間によって異なります。
取得してから5年以内に売却した場合は「短期譲渡所得」となり、5年を過ぎて売約したものについては「長期譲渡所得」となります。
譲渡所得金額は、譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-50万円で計算され、短期所得の場合はこの全額が課税対象です。長期譲渡所得の場合は譲渡所得の2分の1が課税対象です。
(参考:国税庁「譲渡所得の計算のしかた(総合課税)」(※2))
申告しなかったらどうなる?
課税対象であるにもかかわらず確定申告を行わなかった場合、法定申告期限から1ヶ月以内に気づいて申告した場合は、延滞税以外の罰則はありません。しかし、1ヶ月以上過ぎて申告した場合や、指摘を受けて納税する場合は、納付すべき納税額に無申告加算税を合わせ納税する必要があります。
■無申告加算税とは?
原則として、納付すべき税額が50万円までの部分については15%、50万円を超える部分に対しては20%の割合を乗じて計算した金額です。なお、税務署の指摘を受ける前に自主的に申告した場合は、5%の割合となります。
■期限後に提出した場合は延滞税も
また、期限後に申告した場合は、延滞税もかかります。延滞税は、本来納付すべき期限から2ヶ月とそれ以上の期間で適用される割合が異なります。
2ヶ月までであれば、「年7.3%もしくは延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合が適用され、2ヶ月を過ぎると「年14.6%もしくは延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合ですので、注意が必要です。
延滞税特例基準割合とは、前の年の11月30日までに財務大臣が告示した割合に、年1%の割合を加算した割合のことです。
(参考:国税庁「確定申告を忘れたとき」(※3))
まとめ
不用品を売った場合は基本的に課税対象外です。したがって、確定申告の対象外です。ただし、不用品でも一定のものは対象となるほか、事業として行っている場合などでは確定申告の対象となりますので注意が必要です。
また、譲渡所得の計算は取得から5年たっているかどうかで異なることも覚えておきましょう。そして、副業として行った場合で雑所得にあたる場合でも、雑所得金額が20万円を超えなければ確定申告は不要です。
ただし、不要となるのは所得税の確定申告のみであり、住民税の確定申告は別途必要です。忘れないようにしましょう。
(※1)国税庁「譲渡所得の対象となる資産と課税方法」
(※2)国税庁「譲渡所得の計算のしかた(総合課税)」
(※3)国税庁「確定申告を忘れたとき」
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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