確定申告により配当控除で還付される税金ってホント?
ファイナンシャルフィールド / 2022年1月4日 22時40分
別稿で、年末調整で申請できないものに、医療費控除(もしくは、セルフメディケーション)について記載しました。年末調整で申請できないものとして、それ以外に配当所得控除があげられます。 みなさんは、「配当所得控除ってなに?」「私に何か関係あるの?」と思うかもしれません。まず、配当所得とは、その名前のとおり預金や株、投資信託などで受ける配当のことです。その配当に対し税金が課せられます。 NISAなどで株や投資信託を購入している人はその配当や売却益について課税はされませんが、特定口座や一般口座で株や投資信託を購入しており、配当を受けている場合は配当および売却益に対して課税されています。
口座の種類
個人が株式の売買や投資信託を始めようとするとき、金融機関でその取引をするための口座を作らなければいけません。その際に、NISA口座、特定口座、一般口座のいずれかの口座を選択する必要があります。
通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して、個人の場合20.315%の税金がかかります。
NISA口座は、毎年一定金額の範囲内で購入した株式や投資信託から得られる利益が非課税になる口座ですので、その口座内で受け取る配当や売却益に対して課税はされません。それに対し、特定口座と一般口座は株式や投資信託から得た利益や配当に対して税金がかかります。
特定口座は、申告分離課税が適用になる上場株式等の譲渡益課税について、証券会社が損益の計算を行い、「特定口座年間取引報告書」を交付する制度です。個人の選択により、証券会社が納税し確定申告不要とすることが可能です。
一般口座とは、特定口座やNISA口座で管理していない上場株式等を管理する口座になります。一般口座で管理している株式等は、投資家自らが1月1日から12月31日までの1年間の譲渡損益を計算し、翌年の2月16日から3月15日までに原則、確定申告をしなければいけません。
給与収入が2000万円以下で、給与の支払いが1ヶ所のみで給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円以下の人、もしくは公的年金等の収入が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下の人は、所得税の確定申告をする必要はありません(住民税は申告要)。
確定申告をする必要がありませんと記載しましたが、確定申告することにより還付される税金があるのです。それが配当控除です。特定口座においても、一般口座においても受領した配当金に対し税金が徴収されています。
源泉徴収税として、その配当金に20.315%(個人)の税金が徴収されています。例えば、配当金が1万円あった場合、2031円が税金として控除されているのです。
配当控除
国税庁のホームページ(※)には次のように記載されています。
「剰余金の配当などの配当所得があるときには、一定の方法で計算した金額の税額控除を受けることができます。これを配当控除といいます。配当控除を受けるためには、確定申告が必要です。その際には、この配当控除の額のほか、配当について源泉徴収された所得税の額が納付すべき税額の計算上控除されます。」
配当控除の計算は配当金が1万円であった場合(注)、次のように計算されます。
1万円×10%=1000円
(注)その年分の課税総所得金額等が1000万円以下の場合
前述で2031円の税金が徴収されていると記載しましたが、上記の計算により1000円還付されます。
もし、この配当金が年額10万円であるなら、1万円還付されます。還付されるというのは、配当を受領した時点で徴収されている税金が、確定申告を行うことにより戻ってくることです。
まとめ
上記のように、特定口座や一般口座で株式や投資信託を購入している方は、確定申告により配当控除で還付される税金があるので、1度確認してみましょう。もし、過去に配当金を受領しており確定申告による還付を受けていなかった場合は、5年間までさかのぼって申告することが可能です。
なお、外国法人から受け取る配当金等については対象にならないことにご注意ください。
(※)国税庁「No.1250 配当所得があるとき(配当控除)」
執筆者:高畑智子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者
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