非正規雇用の人の老後はどうなる? 年金の平均受給額はいくら?
ファイナンシャルフィールド / 2022年1月16日 0時0分
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いくつかの雇用形態の中で、非正規雇用として働いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 その場合、将来受け取れる年金額はいくらになるのか、非常に気になるところだと思います。また、不足分については自分で準備しなければなりません。 今回は、非正規雇用者の現状と課題をお伝えするとともに、受け取れる年金の平均額について紹介します。
非正規雇用の実態
厚生労働省「『非正規雇用』の現状と課題」によると、2020年度の雇用者全体数5620万人のうち、非正規雇用者の数は2090万人と全体の約37%を占めています。そしてその内訳は以下のとおりです(カッコ内の数値は非正規雇用者全体に対する割合を示す)。
・パート:1024万人(49%)
・アルバイト:449万人(21.5%)
・派遣社員:138万人(6.6%)
・契約社員:279万人(13.3%)
・嘱託:116万人(5.6%)
・その他:85万人(4.1%)
非正規雇用者数は2010年より増加傾向にありましたが、2020年は減少に転じています。とはいえ、全体の雇用者数全体の4割弱を非正規雇用者が占めているという実態は見逃せません。
■非正規雇用者の課題
正規雇用を希望しているにもかかわらず、その機会がなく非正規雇用となっている割合は年々減少しており、2020年には非正規雇用者全体のうち11%程度にとどまっています。したがって、現在非正規雇用で働いている人の多くは、自分から希望して非正規雇用を選んでいることが分かります。
しかし、非正規雇用にも課題があります。それは「正規雇用労働者に比べ、賃金が低い」ということです。一般労働者(正社員・正職員)の平均賃金(時給額)が2021円であるのに対し、一般労働者(正社員・正職員以外)の平均賃金は1337円と大きく差があります。
また、短時間労働の場合も正社員もしくは正職員の場合は1639円であるのに対し、正社員もしくは正職員以外の場合は1128円となっています。
さらに、「正規雇用者と比べ、教育訓練を受けられない」といった課題もあります。正社員以外に教育訓練を実施している事業所は、計画的なOJT、OFF-JTのいずれも、正社員の約半数となっています。
非正規雇用者の年金平均受給額
平成29年の調査によると、65歳以上の公的年金平均受給額は1人あたり12万3000円(月額)となっています。しかし現役時代の雇用形態別に見ると、以下のように差が出ていることが分かります。
・正社員中心:16万6000円(月額)
・常勤パート中心:9万円(月額)
このように、正規雇用者と非正規雇用者では平均受給月額に8万円弱の差があり、年間にすると平均約91万円の差となります。また、夫が正社員、妻がパート・アルバイト中心だった場合の世帯での年金受給月額は、60歳以上の場合24万2000円となっています。
家計収支から見た不足額
総務省の統計によると、65歳の夫婦2人世帯の公的年金収入月額は約22万円です。また、単身世帯の場合だと、約12万円となっています。
■夫婦世帯と単身者世帯で不足額が異なる
夫婦2人世帯の公的年金収入月額約22万円に対する支出額との差は約+1000円となっており、赤字にはなっていないもののギリギリの生活レベルであることが分かります。
そして、単身世帯の場合は約12万円の年金収入月額に対し、毎月8000円近くの赤字となっています。ただし、妻がパート・アルバイト中心だった場合は24万2000円の収入があることから、若干の余裕があるといえるでしょう。
■単身で非正規雇用者だった場合の不足額
総務省の統計には、現役時代に正規雇用だった人の数も含まれていることから、前述の非正規雇用者の年金月額9万円よりも多くなっています。それでも月8000円の赤字となっていることから、非正規雇用者の老後の生活がかなり苦しくなることが予想されます。
年金収入が3万円少ないと毎月の赤字もその分増え、4万円程度になると考えると、年間不足額は48万円。もし65歳から年金の受け取りを開始し、85歳まで生きるとした場合、20年間の不足額合計は960万円です。最低でも1000万円の老後資金は自分で用意しなければいけません。
また、趣味などに使う資金を考えるともう少し上乗せする必要があるでしょう。
まとめ
老後の生活スタイルは人それぞれですので、老後に必要な資金は「どのような老後を送りたいか」によって異なります。ただし、現役時代を非正規雇用で過ごした人にとっては、公的年金だけで生活していくことは難しいでしょう。
したがって、自分で老後生活していくための資産を形成は必須です。iDeCo、NISAやつみたてNISAなどの制度を上手に活用しながら資産形成を行うことがポイントです。
早めに資産運用に取り組むことで、時間を味方にした効果的な資産形成が望めます。あくまでも余剰資金で行うことが大切ですが、家計を見直すなどで貯蓄もしくは運用にまわせるお金が少しでもできるのであれば、安心した老後生活を送れるよう考えていきましょう。
出典
(※1)厚生労働省「「非正規雇用」の現状と課題」
(※2)厚生労働省「公的年金受給者に関する分析」
(※3)総務省「家計調査報告(2020年)」
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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