介護士の生涯年収はどれくらい？ 男女別の平均年収も解説

介護士の処遇改善がニュースなどで取り上げられてきたこともあり、介護士の収入に興味をもつ人も多いでしょう。介護士の平均的な年収は日本の平均年収と比べてまだ低く、生涯年収も高いとはいえません。   ここでは、介護士の年齢別平均年収と推定される生涯年収を解説するとともに、男女別の平均年収の紹介や日本の平均年収との比較も行います。介護士の収入事情について、具体的にイメージしてみてください。

介護士の年代別平均年収と生涯年収

　
介護の仕事に携わる人を総称して「介護士」と呼びます。ここでは、厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」の結果をもとに、介護士の生涯年収を推計してみましょう。
 
同調査で介護職は「介護職員（医療・福祉施設等）」と「訪問介護従事者」に分かれています。
 
介護職員（医療・福祉施設等）の年代別の平均年収は、図表1のとおりです。
※以下、年収は全て、所定内給与額×12ヶ月に年間賞与その他特別給与額を加えた概算値です。
 
【図表1】

19歳以下	233万4000円
20代前半	300万2400円
20代後半	336万9100円
30代前半	352万2700円
30代後半	369万4500円
40代前半	371万7000円
40代後半	363万800円
50代前半	348万9800円
50代後半	347万2500円
60代前半	310万3300円
60代後半	273万4200円
70歳以上	252万4700円

 
年代別の平均年収をもとに、大学卒業後の22歳で就職して60歳で退職した場合の介護職員（医療・福祉施設等）の生涯年収を推計すると、おおよそ1億3500万円となります。
 
一方、「訪問介護従事者」の年代別の平均年収は、図表2のとおりです。
 
【図表2】

19歳以下	237万4100円
20代前半	308万8300円
20代後半	294万7500円
30代前半	354万8400円
30代後半	356万6800円
40代前半	365万100円
40代後半	348万9700円
50代前半	346万1400円
50代後半	326万9900円
60代前半	346万3900円
60代後半	293万3700円
70歳以上	306万5700円

 
年代別の平均年収をもとに、訪問介護従事者として、大学卒業後の23歳から60歳になるまで働いた場合の生涯年収を推計すると、おおよそ1億3000万円です。
 
施設勤務の介護士と訪問介護の介護士では、生涯年収にそれほど大きな差はないといってよいでしょう。
 

介護士の男女別平均年収

　
「令和2年賃金構造基本統計調査」の結果より、介護職員（医療・福祉施設等）と訪問介護従事者の、男女別の平均年収を見てみましょう。
 

	介護職員（医療・福祉施設等）	訪問介護従事者
男性	374万7900円	356万5800円
女性	328万9800円	334万7700円
計	345万400円	339万4700円

 
男性では介護職員（医療・福祉施設等）、女性では訪問介護従事者のほうが、平均年収が高いのが特徴です。また、いずれの職種でも男性のほうが平均年収が高く、特に介護職員（医療・福祉施設等）では40万円以上も差がついています。
 
続いて、日本の給与所得者の平均年収（男性：532万円、女性：293万円、計433万円）と比較してみましょう。女性は介護職員（医療・福祉施設等）と訪問介護従事者の両方で平均年収を上回っています。しかし、男性および男女計では、平均年収を大きく下回る結果です。
 
介護士は、女性にとっては比較的稼ぎやすい職業だといえます。
 

介護士の賃金は年齢や性別で違う

　
介護の仕事に携わる人の平均的な生涯年収は、1億3000万円程度です。しかし、職種や性別などで年収が変わるため、生涯年収も人により幅があるでしょう。
 
また、介護士の平均年収は日本の給与所得者の平均年収と比べてかなり低い水準です。ただし女性だけに絞ると、介護士の平均年収は女性全体の平均年収を上回っています。女性にとっては、比較的高い生涯年収を望める職業だといえるでしょう。
 
出典
令和２年賃金構造基本統計調査　結果の概況｜厚生労働省
（第10表 職種（小分類）、年齢階級、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額（産業計））
（第14表 職種（小分類）、性、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額（産業計））
国税庁「令和２年分 民間給与実態統計調査 －調査結果報告－」
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部