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2022年度(令和4年度)税制改正、住宅ローン控除はこれからどうなる?

ファイナンシャルフィールド / 2022年1月18日 0時0分

2022年度(令和4年度)税制改正、住宅ローン控除はこれからどうなる?

2021年12月10日に与党の2022年度(令和4年度)税制改正大綱が発表されました。現在、自公政権は安定多数を確保しているので、今後問題がなければ、この税制改正大綱の内容が来年の国会で可決され、施行されることになります。   マスコミからいろいろな問題点が指摘されていますが、この記事では、昨年2021年度の税制改正で今後の見直しの必要性が指摘された、住宅ローン控除が2022年度の税制改正大綱ではどうなったかについて解説したいと思います。  

住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除とは、住宅を取得するために返済期間10年以上の住宅ローンを借り入れた場合、取得時期・入居時期に関する一定の条件を満たせば、年末のローン残高の1%が10~13年間税額控除される制度です。
 
この制度は、住宅需要振興に貢献してきました。この税制は住居購入や増改築の契約時期や契約者の入居時期にリンクした時限立法でしたが、2021年度の税制改正でも、コロナ禍による住宅需要の減退を下支えするため、従来の契約時期および入居時期の期限が延長されていました。
 
それと並行して、2021年度(令和3年度)与党の税制改正大綱抄録では、「住宅ローン年末残高の1%を控除する仕組みについて、1%を上限に支払利息額を考慮して控除額を設定するなど、控除額や控除率のあり方を令和4年度(=2022年度)税制改正において見直すものとする」と1%の税額控除枠が今年の税制では見直されると「予告」されていました。
 
なぜ、1%が問題視されたかというと、超低金利下の現状、住宅ローン金利は変動金利では、年利0.4%程度で借り入れが可能となっており、1%の税額控除がなされると、0.4%-1%=0.6%のマイナス金利となってしまい、住宅ローン控除が受けられる10年から13年の間は、0.6%の利息がもらえることになってしまいます。
 
これに乗じて、自己資金で住宅を購入できる人もあえて住宅ローンを組むなどの動きが見られました。これを国の会計制度を管轄する会計検査院が問題にしたため、上記のような「予告」になった次第です。
 
「1%を上限に支払利息額を考慮して控除額を設定する」ことは、当時マスコミなどでも報道されましたが、年利1%を超える住宅ローンを借り入れた人は、税額控除額は年末の借入残高の1%、年利1%未満の借り入れの場合、税額控除額は年末の借入残高×借入金利と同率の%分を控除するという解釈でした。
 
すなわちそうすると、最大で実質金利ゼロとなり、マイナス金利を享受できる人はいなくなるわけです。
 

2022年度(令和4年度)の税制改正で住宅ローン控除はどうなるか?

その「予告」を受けて、今回の税制改正では、住宅ローン控除はどうなったのでしょうか?
 
結論からいうと、1%が0.7%に修正されて存続になりました。
 
これでも、「見直し」をしたことになったので、「予告」どおりであったといえますが、当初予想されたマイナス金利をなくすというところまで、踏み込むことはなかったということになります。

当初の予想 2022年度税制改正大綱
考え方 住宅ローン控除適用期間は、住宅ローン金利を最大ゼロにする(マイナス金利にはしない)。 住宅ローン控除適用によりマイナス金利が適用される可能性を狭める。
税額控除の上限金利 1% 0.7%
計算例 (1) 0.4%で住宅ローンを借り入れた場合
0.4%-0.4%=ゼロ
利息ゼロ
(2) 0.7%で住宅ローンを借り入れた場合
0.7%-0.7%=ゼロ
利息ゼロ
(3) 1.2%で住宅ローンを借り入れた場合
1.2%-1%=0.2%
契約者は0.2%の利息を支払う
(1) 0.4%で住宅ローンを借り入れた場合
0.4%-0.7%=マイナス0.3%
契約者は0.3%の利息をもらう
(2) 0.7%で住宅ローンを借り入れた場合
0.7%-0.7%=ゼロ
利息ゼロ
(3) 1.2%で住宅ローンを借り入れた場合
1.2%-0.7%=0.5%
契約者は0.5%の利息を支払う

※筆者作成
 
上記表から分かるとおり、今回の税制改正では0.7%未満の住宅ローン金利であれば、マイナス金利なので利息を受け取れる。0.7%超の金利で借り入れた場合は、支払利息は減少するものの、0.7%を超えた分については利息の支払いが必要になるということができます。
 
契約者の立場から見ると、住宅ローン控除は魅力が減少したが、まだ、いくらかの利用価値は残っているということになります。
 

まとめ

今回の税制改正は以前に予想されていた金融資産課税や暦年贈与の廃止などの大きな改正はなく、当面の微調整にとどまり、問題の先送り色の濃いものになったということができます。また時機を見て、今回の税制改正に関する解説をしたいと思います。
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
 

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