孫の教育資金の贈与をするならどっち? 教育資金贈与の特例 vs 暦年贈与
ファイナンシャルフィールド / 2022年1月19日 0時30分
![孫の教育資金の贈与をするならどっち? 教育資金贈与の特例 vs 暦年贈与](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_126709_0-small.jpg)
祖父母が孫の大学等の教育資金を支払うケースがあります。その場合、支援の仕方を間違うと思わぬ税金を払うことになります。教育資金を贈与する場合の2つの制度をご紹介します。それぞれの特性を知り、お得な方法を活用しましょう。
教育資金の一括贈与の非課税の特例
教育資金の一括贈与の非課税の特例とは、両親や祖父母などの直系尊属(贈与者)から30歳未満の子や孫(受贈者)に対して、信託銀行などの金融機関を通じて教育資金の贈与を行った場合、1500万円(うち、学校以外へ支払われる金額は500万円)非課税になる制度です。
この制度を使わず、1500万円を孫に贈与すると366万円の贈与税が課税されますので、大変お得な制度です。
贈与は、1回で1500万円全額贈与しなければならないわけではなく、複数回で贈与しても構いません。
令和3年度税制改正において、適用期限が令和5年3月31日まで2年間延長されるとともに、贈与者が死亡した場合の残高に対する相続課税が変更になりました。
▽契約途中で贈与者が亡くなった場合
契約途中で贈与者が死亡した場合、(1)受贈者が23歳未満である場合や(2)在学中、(3)教育訓練受講中を除き、死亡日現在の管理残額が相続税の課税対象となります。また、受贈者が孫などであれば、相続税額の2割加算の対象です。
▽使い残しに贈与税が課される場合
孫などの受贈者が30歳になった時点で使い残しがあれば、その残額に贈与税が課税されます。ただし、30歳の時点で在学中の場合や教育訓練受講中の場合は贈与税が課税されません。その後、学校を卒業したときや、教育訓練を終了したときに、その年の12月31日時点の残高があれば贈与税が課されます。
また、在学中や教育訓練受講中であっても40歳になったら、その時点の残額に贈与税が課されます。なお、相続税を支払っている場合には、贈与税は課税されません。
暦年贈与(教育資金のその都度贈与なら非課税)
贈与税は、原則として個人から個人が贈与によって財産を取得した場合に課税されます。贈与税の基礎控除額は110万円ですので、1年間に贈与で取得した財産の価額の合計額が110万円以下であれば課税されません。
税率には、特例税率と一般税率があります。直系尊属から20歳以上の人が取得した財産については特例税率が適用されます。それ以外は一般税率が適用されます。贈与税の課税対象となる財産には、本来の贈与財産のほか、生命保険金などのみなし贈与財産があります。一方、香典などの非課税財産もあります。
ところで、祖父母や夫婦、親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるものをその都度贈与した場合は、110万円を超えても贈与税が課税されないのをご存じでしょうか。
ただし、贈与を受けた金銭を預金したり、株式や不動産などの買入資金に充てたりしている場合には贈与税がかかります。また、数年間分の生活費や教育費を一度に贈与した場合も同様ですので気を付けましょう。
なお、贈与は契約なので契約書を締結しておくとよいでしょう。また、教育資金などに使ったことを証明するために振込用紙などの証拠をとっておきましょう。
まとめ
高齢の人で健康状態や認知症の不安がある人は、毎年コツコツと暦年贈与をしていくことができなくなります。認知症になることが心配であれば、元気なうちに非課税制度を使って一括で贈与すると安心です。
しかし、多くの金額を一括贈与してしまうと、老後の資金が不足する事態になるというリスクがあります。そこで、一括で贈与する額を減らし、暦年贈与を併用して、様子を見ながら贈与していくのも
1つの方法です。
一括で贈与するよりその都度贈与したほうが孫から感謝される回数が増えるかもしれません。贈与者と受贈者の年齢や状況に応じて最適のプランは違います。ご自身の最適プランを考えてみましょう。
(出典)
国税庁「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」(令和3年5月)
国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。
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