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つみたてNISAとiDeCo。税制上どちらが有利か? その2

ファイナンシャルフィールド / 2022年1月20日 3時10分

つみたてNISAとiDeCo。税制上どちらが有利か? その2

「その1」では、つみたてNISA、iDeCoの税制全体と掛金拠出時、および運用時における課税の考え方について説明しました。今回は、受取時の課税の考え方について説明したいと思います。

受取時の違い

つみたてNISAは受取時、元本と運用益の全額を受け取ることができます。従って受取時において、つみたてNISAは非課税(Exempt)です。
 
これに対してiDeCoは、掛金拠出時のように受取額の全てが非課税となるわけではありません。そのため、iDeCoは受取時において課税(Taxed)なのですが、実際にはいくつかの所得控除が適用されています。それらの所得控除にどのくらいの効果があるのか見ていきましょう。
 

iDeCoの受取金を年金で受け取った場合

この場合はiDeCoの年間の受取金額全体を収入としてとらえ、それに対して公的年金等控除が適用されます。
 
公的年金等控除では、公的年金等にかかる雑所得以外の所得の合計金額が1000万円以下の場合、65歳未満の方は60万円、65歳以上の方は110万円までが非課税となっており、それ以上の収入があれば課税されることになります。
 
特に65歳以上の場合は公的年金も受け取るので、iDeCoと合算すると110万円以上の受取金額になる方がほとんどです(2019年度の厚生年金の平均受取金額は約175万円です)。
 
すなわち、iDeCoの受取金を年金で受け取った場合、課税になる方が多いということができます。それに加えて企業年金を受け取っている方は、さらに相当の税金を支払うことになります。
 

iDeCoの受取金を一時金で受け取った場合

この場合は退職所得控除が適用されます。退職所得控除は本来、会社を退職したときに受け取る退職一時金に対する税制ですが、iDeCoの受取金に対しても適用されています。
 
これもかなり大きな控除で、iDeCoが税制的に優遇されているといわれる理由は、このような納税者に有利な控除が適用されるためです。
 
退職所得控除が適用されると、iDeCoの積み立てを20年行った方には800万円、それ以降、積立期間が1年増えるごとに1年当たり70万円が控除額として加算されます。
 
控除額が大きいことに加えて、退職金から上記の控除額を引き去った金額の1/2にしか課税されません。退職所得控除が適用されると、控除額はかなり大きくなるのです。
 
事実上、非課税ではないかと思われるかもしれませんが、会社を退職して退職一時金を受け取った場合、iDeCoの一時金と会社の退職金が合算されるので、800万円の非課税枠は超えることもあります。
 
また、会社の退職一時金とiDeCoの一時金を14年以内に受け取った場合は、同じ退職所得控除が適用されるので、1つの非課税枠は楽に超えてしまうことになりかねません。
 
iDeCoの受取金を一時金で受け取った場合でも、実質非課税ということにはならないようです。
 

まとめ

上記をまとめてみると、税制上、iDeCoの方がつみたてNISAよりも有利とは一概に言い切れないようです。問題は受取時で、本人のもらう年金や企業退職一時金の金額次第では、受取時にかなり課税されてしまいます。
 
もし、iDeCoの受取金が実質非課税であれば、つみたてNISAは「TEE」、iDeCoは「EEE」で(証券税制上の課税・非課税の説明は「その1」を参照してください)、税制上はiDeCoが断然有利といえますが、実際そうなるとはいえないことが分かっていただけたかと思います。
 
ただし、一般的にはiDeCoは実質「EEE」だと誤解をしてしまうこともあり得るので、その点に注意すべきということです。これは、マスコミや金融機関がiDeCoの受取時の税制に関して、詳しく解説をしていないことにも一因があると思います。
 
結論をいうと、iDeCoに加入する場合、自らの公的年金や企業年金、退職一時金についても詳しく調べ、どの程度の税金が課せられるかを確認する必要があるということになります。
 
出典
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
厚生労働省 令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

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